劇場公開日 2025年12月5日

手に魂を込め、歩いてみればのレビュー・感想・評価

全38件中、21~38件目を表示

4.5タイトル無し

2025年12月9日
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ファトマさんから伝えられるガザの惨状…延々続く瓦礫の山や心臓に響く空爆音、途切れない飛行音、飢えや乾き、身近すぎる死…全てが重すぎて、観てる間ずっと感情がごちゃごちゃでした。
ほぼ全編、途切れ途切れの通話画面なのですが、その途切れ具合すら現地の悲惨さを伝える要素になっています。
地区の名前とかはさすがに分かりにくく、その辺の補足くらいは入れても良かったんでは?とは思いましたが…

写真の中にそこそこ刺激の強いものがあったり、そもそも語られる戦地の悲惨さ自体が相当に重いので、免疫が全くない人が観るとトラウマ抱えるかも知れません。
それでも、出来る限り広く多く観られてほしい一本です。

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克晴

4.0破壊された街に光を見出したい

2025年12月9日
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24歳のフォトジャーナリストのファトマさん

今ガザで起きていることを記録し世界に後世に伝えたい
ガザが私を必要としている

あの笑顔は自分を鼓舞するためなんだろう
NHKのドキュメンタリー番組でガザのジャーナリストが口封じのために標的になっていることを知った
ファトマさんが残した写真と強い意志は世界に広がり、ずっと語り継がれる

「ファトマ・ハッスーナ写真展」
12月11日(木)~ユニセフハウス

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m m

3.5スマホ越しのドキュメンタリー

2025年12月9日
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なかなか電話がつながらない時のセピデの不安感が伝わる。今日会えてるが明日も会えるが確実ではない。

翌日に死ぬなんて、殺されたんだろう。

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Oyster Boy

5.0一種の“定点観測”

2025年12月9日
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鑑賞方法:映画館

“ドキュメンタリー”というジャンル。公開規模が大きくないため観やすくはなかったり、或いは、いざ鑑賞したところでレビューを書くのが難しい(ほぼ“あらすじ”説明になってしまう)作品も多いため、ついつい劇場鑑賞を見送ってしまうことも少なくありません。ところが、そもそもジャンルとして商業性が高くない事や、内容によっては権利関係が理由で配信サービスでは扱われないことも往々にしてあって観逃してしまうことも。そのため、「これは観なければならない“must作品”だ」と思えば煮え切らなさを振り切って劇場鑑賞を選択するのが得策だと言え、本作についても紛れもなくその手の作品だろうと判断し、ヒューマントラストシネマ有楽町にて鑑賞です。
作品冒頭、セピデ・ファルシ監督によるこれまでの簡単な経緯説明に始まり、間もなくガザ地区に暮らすフォトジャーナリスト、ファトマ・ハッスーナ(当時24歳)とのビデオ通話画面が大写しになります。時は2024年4月。前年10月7日に開戦となった“2023年パレスチナ・イスラエル戦争”の影響で既に周辺は瓦礫の山で、通話中にも飛び交う戦闘機や戦闘ヘリ、そして断続的に周囲を襲うミサイル攻撃の音を背景に、驚くほど意外なのはそこにいるファマトから溢れる“笑顔”と“ポジティブさ”。更には、現状を考えれば「相応しくない」のかもと戸惑いつつも、時より映り込む家族たちの様子に“安全地帯”にいるこちらが癒されて自然と口角が上がります。ところが、ファトマによって共有された“爆撃時の録音音声”を、シェルター内さながらに真っ暗の画面で聞かされれば、想像をはるかに超える現実の恐ろしさに震えるほど。それでも、「自分の身を挺してでも、外の世界へそれを伝える」と言う強い使命感と、僅かとはいえ信じて捨てることのない希望を胸に、諦めることなく立ち向かうファトマの姿に胸が熱くなります。ところが、ビデオ通話も回を重ね、イスラエル側からの通信遮断による接続状態の悪さ、止まることのない一方的な攻撃、支援妨害によって底をつく食料品、など状況は悪化の一途。そのため、毎回のファルシ監督からのビデオ通話呼び出し時は“ファトマからの応答”を気が気でなく感じてしまいます。そして、そんな状況に当然のことながらファトマの様子も見るからに変わり始め…
と、やはり今回もどうしたって“あらすじ”を追ってしまうレビューになりそうなので内容についてはこの辺で。兎に角、本作を観て心に焼き付くのは何より“ファトマの笑顔”。観終わってからも不意に彼女を思い出し、それに囚われてしまいそうで正直怖さすら感じます。そのため、自分では前述に違わず「これは観なければならない“must作品”だ」と言い切れますが、一方で、容易に他者へ推薦することに躊躇も感じるほど心が揺さぶられる作品。当然、状況だけを淡々と伝えるだけのニュース番組では見えてこない部分ですし、戦場の様子を中心に直接的な暴力性や悲惨さを見せる作品性とは異なり、あくまで“一人の若い女性を通して感じる世界観”という一種の“定点観測”。そしてまたそれを、何倍増にも拡張して見せるファトマの人間性は“凄み”が強すぎ、観ているこちらは最早動揺さえも禁じ得ません。素晴らしい作品であり、知るべき真実ではありますが、それだけに心してご覧いただければと思います。

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TWDera

5.0歴史の1ページを見る

2025年12月9日
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鑑賞方法:映画館

先日観た『ネタニヤフ調書 汚職と戦争』がイスラエル側の視点から今般のイスラエル対ガザ紛争を描いていたのに対し、本作はガザ側の視点に立ったドキュメンタリーでした。イラン人のセピデ・ファルシ監督が、ガザ在住の24歳のフォトジャーナリストであるファトマ・ハッスーナにテレビ電話でインタビューしながら、戦時下のガザの様子を伝えていく構成で、2023年10月に始まり現在も続く紛争の実態を、2024年4月から1年間にわたる2人の対話を通して克明に描き出していました。

日々イスラエルの攻撃に晒されながらも、ガザの現状を記録し続けたファトマのレポートは、まさに歴史そのもの。その報告は胸を締めつける内容ばかりで、観ていても聞いていても涙を誘うと同時に、イスラエルへの怒りが改めて込み上げて来ました。特に「ネタニヤフ調書」によれば、イスラエル側が戦争継続に拘る理由はネタニヤフ首相の汚職に関する裁判を中断し、自らが牢獄に繋がれることを避けるためのものであると聞いているだけに、改めてネタニヤフ首相に対する怒りが込み上げて来ました。
時間の経過とともに通信状況も悪化し、最後に彼女は家族とともにイスラエル軍に殺されてしまうという結末には、悲しみ以上に無力感に襲われてしまいました。

「ネタニヤフ調書」と併せて観るべき作品であり、紛争の両側面がより鮮明に理解できる作品でした。

そんな訳で、本作の評価は★4.8とします。

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鶏

5.0なんとも言いようもなく

2025年12月7日
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鑑賞方法:映画館

私が観たのはシネ・リーブル池袋。映画館のある8階は飲食店街。終映後、師走の賑わいの中、駅までの道々、映画の中の風景と目の前の賑わいと、どちらが現実か、しばらくの間分からなくなりました。

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tomtom

3.5手に魂を込め、歩いてみれば(映画の記憶2025/12/6)

2025年12月7日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

心痛い実話。セピデ監督と前のトークイベント出る前にチラリと拝見させていただいたが、小柄なお姉様でした。
内容的には連絡を時折とった内容をそのまま録画、ガザの状況を1年ちょっと、現地カメラマンのファトマさんがレポートするという内容。

ファトマさんが徐々に元気がなくなっていくが、それでも明るくレポートする姿が痛々しい。
今のイスラエルはやってることナチスと変わらんな。詳細は映画を見て欲しい。
「普通じゃないのが普通」、友達が空爆でなくなっても笑顔でレポート。
ファトマさんの写真は戦場カメラマンそのもの。カメラの勉強がしたいと言っていたが、構図なども割とよく、自力で勉強されてたんだと思った。
彼女はロバート・キャパに通じるレベルにある。
写真と彼女の言葉は人々の心に残るはず、24歳の彼女の言葉がこんなにも刺さるとは、、、
ノー・アザー・ランドでも感じたのとは違う形のリアルホラーがここにある。
(個人的評価7.5点/10点中)

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motorad_kira

4.0ジャーナリスト魂

2025年12月7日
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なんでニコニコ笑ってられるんだ? ああなるほど彼女はジャーナリストだった。時々見せる不安げな表情。心の中では恐怖に怯えてたんだろう。

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あらじん

4.0感想が難しい

2025年12月7日
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鑑賞方法:映画館

戦闘状態にあるガザに生活するファトマと本作の監督のセピデ監督のスマホでのビデオでのやり取りが淡々として、受け止めがむずかしかったか。ニンゲン本当に辛い状況になると、ああやって辛さを少しでも和らげようとするのだろうか。日本人はもっと真正面からぶち当たってしまうような気がしました。

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ドラゴンの父

3.0スマートフォンの向こう側は廃墟と化したガザ。大型爆弾を積んだロケッ...

2025年12月6日
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鑑賞方法:映画館

スマートフォンの向こう側は廃墟と化したガザ。大型爆弾を積んだロケットが毎日の様にガザの上空を飛びかう。
想像を絶する恐怖の毎日を撮影するフォトジャーナリストの彼女が見せてくれる笑顔がなんてステキだろう。24歳の彼女はまるで屈託ない子供みたいな笑顔を見せてくれる。日本人ではきっと誰もできない程の素敵な笑顔でした。悔やまれる。

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与那国 ヨナラ

4.5アオハルを謳歌して欲しかった

2025年12月6日
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悲しい

難しい

ファトマには、カメラを片手に自由を満喫して欲しかった。ヒジャブを被った顔しか判らなかったが、とても表情が豊かだし、好奇心旺盛の20代の女性に見受けられた。
スクリーンに映った彼女のバックミュージックのようにドローンの飛行音が流れていた。これが鳴り止まないなんて…。辛過ぎる。
ユニセフも入国できない今、自分達には何ができるのだろう。

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ちゃ坊主

4.5「惚れてまうやろ」レベルの魅力的すぎるファトマの笑顔

2025年12月6日
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24、5歳でフォトジャーナリストというのはちょっと無理があるけれども、ファトマの笑顔がとにかく魅力的すぎて印象的。不謹慎ながら「惚れてまうやろ」レベルの素敵な笑顔です。

すぐ外では爆弾が落とされていたりしている戦火のなかで、なんでそんな笑顔なの?! そのコントラストが異常。イスラエルの攻撃で家族や友人を殺され、深刻な飢餓状態でも夢を語りなお笑顔を絶やさないファトマ。映画のチラシでこのあとファトマが亡くなることがわかっているだけに心が痛くなる。

一方、監督のセピデは猫が部屋に入れないから待っててとかどうでもいいことで通話を中断したり、いまカナダやイタリアにいるだの、理不尽に自由を奪われたファトマと対照的に自由すぎて腹が立つ。同時に、映画館でそれを鑑賞しているもっと自由な自分自身にも腹が立った。平和な日常を当たり前だと思っている自分。それに比べ、彼女には毎日ご飯を食べることも外出する自由もない。明日を生きることすら。。。 なんなんだこの差は?!

観終わると戦争をする権力者への怒り、憤りがMAXになる映画。映画館からの帰りはずっとモヤモヤ、イライラしました。それでもぜひ多くの人に観てほしい。

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onemu

5.0見なきゃダメでしょ

2025年12月6日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

驚く

爆弾が降り、食料がないガザに暮らすファトマの明るさに驚く。

親戚や近所の人が死んでいくのもノーマル(普通)なことだと言う。

でも、普通のご飯を食べ、普通に散歩ができるノーマル(普通)の生活がしたいとも言う。

政府高官が終戦に向けて会談をするたび、指導者が変わるたび、「希望」をもつのだが、そのつど希望は打ち砕かれてきた。

それをガザの彼女が監督に向かって、「『ショーシャンクの空に』って映画みました?その中で一人の囚人が言うんですよ、「希望は危険だ」と」。

殺人を犯してショーシャンク刑務所にいるレッドにとっての「希望は危険」だってのと、ガザに生まれ、ガザに育っただけの彼女がいう「希望は危険」だってのが同じだとは思えないんだが、彼女にとって希望が手放しに良いものではないらしい。

(監督がショーシャンク見たことないって言ってるのもびっくりしたが)

日本のようにのほほんとした国にいると、ガザのニュースも遠くの話で実感がわかないが、本作をみるだけで、いかに過酷な状況にいるのかがくっきりと伝わってくる。

何万人と死んでいて何万人も家がなくなってるというニュースではなく、一人の人間が命を落とすということのショックをきちんと受けることを可能にしてくれる作品でした。

人間は全員見たほうがいいと思うんだけど、封切り最初の土曜日、東京のシアターで観客6名というのはあまりにも寂しい。

劇場も少なすぎるんで、関係者の方、何とかしてください。東北・四国がゼロってのはないですよ。

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バビ

5.0この作品に出会えなくていいから、ファトマにもっと人生を楽しく過ごさ...

2025年12月6日
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鑑賞方法:映画館

この作品に出会えなくていいから、ファトマにもっと人生を楽しく過ごさせてあげたかった
(なにさまな物言いかもしれないけれど…)

ガザを襲う惨状は当然知っていた

SNSで流れてくるガザの人々の声
生命をうばわれるジャーナリストたち
テレビで見ることのできるドキュメンタリー

でも
この作品でまた新たな現実を知る

ファトマの笑顔
どんなに辛い話も笑顔で語ることの多いファトマ

昨日は近所で爆撃があった、2人死んだ、that's normal(普通のこと)
と笑顔で語る

normalではないと言う監督に、
ファトマは自分の住む場所ではこれが日常なのだと

画面が暗転して、爆撃の音が響き渡る
真っ暗闇の中、どこが狙われているのか、次があるのか、
なにも分からない恐怖
実際はもっと爆撃の衝撃が空気を震わせて、鼓膜と身体に響いてくるのだろう
実際にこの日常を彼女たちは生きているのだ

ビデオ通話をしている時は、ファトマの笑顔でうっかりするが、周囲は瓦礫だらけ
食べ物も飲み物もろくにない
平和な場所なら当たり前の日常生活など成り立たない中、ガザの人々は生きているのだ
文字通り、生きている、のだ

世界を見たいと好奇心を見せるが、
でもガザを離れたくない、外に出ても戻りたい
ガザの外に出ることすら出来ないのに、攻撃され続ける日々
それでもファトマはガザを愛していた

どうして世界の誰も、どの国も、これを誰も止められないのか
そして、では、自分ごときになにができるのか

もうファトマはいない
SNSで見かけたジャーナリストたちの多くももういない
沢山の生命が奪われた
それでもまだ生きている人々がいる
終えたと見せて、完全に終わっていないこの殺戮
終わらせることは出来ないのか…

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yukarin

5.0夕方に観てまだ映画に憑依されているような状態で感想が全然まとまりま...

2025年12月5日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

驚く

夕方に観てまだ映画に憑依されているような状態で感想が全然まとまりませんが、とにかく一人でも多くの人に観に行っていただきたい気持ちを書いておきます。
監督のセピデは、18歳でイランを出て今はパリに暮らして、モントリオールやイタリアなど世界中を飛び回る映画監督。
通話相手のファトマは、生まれてから24年間ガザから出たことがない。彼女が小さい頃からガザはずっと占領されていて、2023年10月から爆撃がずっと続いている。
一体どんな声をかければいいのか、という状況だけれど、2人はすぐに意気投合して、セピデはたくさんの質問を投げかけ、ファトマは時に、誰にも言えなかったであろう本音を画面越しに打ち明ける。
印象に残ったシーンはたくさんある、というかファトマの映る全てのシーンが印象に残っているけれど、特に胸を締め付けられたのは、2人が「部屋」の話題になった時、セピデがヴァージニア・ウルフのエッセイ「自分ひとりの部屋」を持ち出した瞬間だ。ガザの大半の家が爆撃で破壊されていて、毎日死の危険に晒されていて、飢えていて、本人の話だと鬱の状態にあって、そんな時に... と観ていて戸惑ったのですが、ファトマは「読んでみる」と笑顔で言っていた。
劇中で紹介されるファトマの詩が本当に素晴らしい。パンフレットでも紹介されていたけれどできれば全文を掲載して欲しかった。(全文はどこかで読めるのでしょうか?)

何もできなくて申し訳なく思う、と言うセピデに、私たちの話をしてくれてるじゃない、それで十分だ、とファトマは言ってくれた。ガザをめぐる映画を何本か見たが、あんな狭い場所にずっと閉じ込められ攻撃され続けているガザの人たちにとって、「外」の世界とつながること自体がものすごく大事だということだ。
ファトマはもうこの世にいないけど、彼女の映画が日本で公開されて、願わくば1人でも多くの人が観に行くこともガザと繋がることだ。

だから全然感想がまとまらないけど、少しでも注目度が上がればと思って取り急ぎ書かせてもらいました。1日でも早くファトマに会いに行ってください。 追記:「オリーブジャーナル」をご存知ない方がいらしたら、ぜひ検索してみてください。日本からできることをまとめてある、パレスチナ関連アクションが日々更新されているすごいサイトです!

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Mejiro

5.0「メディア」の存在意義を示してくれた大切な作品

2025年12月5日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

怖い

ファトマのことは日本語のネットニュースで「知っていた」つもりだった。
ガザの惨状も「知っている」つもりだった。
でも、実際は何も「知らなかった」。
自分が「全然知らない」ことに気づいていなかった。

まだ20代の若きフォトグラファー、ファトマは激しい攻撃を受け続けるガザに留まり、生まれ故郷の酷い惨状を、そしてそんな死と隣り合わせの〝地獄のような〟街で懸命に生きているガザの住人たちを撮影し、SNSで発信し続けた。
世界にガザの真実を知ってもらいたいという一心で。
いつか平和が訪れることを信じて。

私はファトマを「知っていた」。「知っている」つもりだった。
それは彼女が母国の状況を世界に発信している報道カメラマンであり、爆撃により亡くなったということ。
ガザでは報道メディアが攻撃対象となっているということ、彼女も同様の理由で狙われたのではないかということ。
(映画のテロップでは211名ものメディアクルーが亡くなっていると表示されていた)

今、私たちを囲い込むメディアは「とにかくクリックさせることを最優先」に考えた、デフォルメされたニュース情報を拡散している。

大小限らずほとんどのメディアは、「真実かどうか」というファクトチェックや「メディアとしてどう発信すべきか」という矜持はなく、ただただ〝資本主義原理〟で活動している。
大袈裟な見出しを立て、多くの人が興味をそそる切り口でニュースのごく一部分を強調して「とにかくPVを稼ぐ」ことしか頭にないのは、今やネットメディアだけでなく、テレビでも新聞でも同じだ。

そんな偽りの情報をメディアから得て、私は世界のいろんな出来事を「知っている」つもりで生きてきた。

そんな無知な私の頬を、この映画が思い切りぶっ叩いてくれた。

私たちが東京で窓に映った無表情な顔を眺めながら満員電車に揺られているこの時、パレスチナやウクライナでは、兵士たちだけでなく、私たちと同じ普通の人たちが次々と殺されている。

ファトマは、戦争前は自然や人物を撮影するフォトグラファーで、将来は海外で写真についてもっと学び、美しい祖国を写真に収め、祖国の素晴らしさを遺すことを夢見ていた。

ファトマがモノクロの、時に鮮血が散る恐ろしい事実を被写体にし始めたのは、戦争が起こってから。
もし戦争が起こらなければ、もしかするとファトマは戦争フォトグラファーとして注目されることはなかったかもしれない。
けれど、自然豊かな祖国の素晴らしさを遺す写真家として充実した活動を送っていたはずだ。

映画のほとんどのシーンで、ファトマは満面の笑顔でガザについて、自身の生活について途切れ途切れのスマホ越しに語っていた。
けれど、戦争が長引くと、ファトマの表情が暗くなり、弱音を吐くようになっていく。
そんな戦地で暮らす彼女の変化は、どんなネットニュースからも得られない真実を語っていた。

映画鑑賞後、どうにかしてこの作品をより多くの人に観てもらいたい。
観てもらって、ガザのことはもちろん、自分たちが住んでいる国や街についても、上っ面でなく、リアルな姿に目を向けてほしい。

カタルシスはなく、刺激に弱い人にとっては直視できないシーンもある作品だけど、これぞ「メディア」だと強く感じた素晴らしい映画だった。

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livest!

5.0文句なし!映画鑑賞の範疇を超えた作品

2025年12月5日
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泣ける

悲しい

怖い

文句なし!映画鑑賞の範疇を超えたドキュメント作品である。題名も素晴らしかった。この題名を考えたこの作品の日本配給会社も◎。現在進行形のイスラエル、ガザ問題。監督とパレスチナ人女性ファトマとのスマホ電話でののやり取りを記したドキュメントだが、とにかくやり取りが言葉出ない。ガザのリアルがここまでだったとは想像もつかなかった。今年の5月までやり取りしていた事に驚き。ファトマにぜひカンヌ国際映画祭を見せてあげたかった。今、世界がこのような状況だからこそ考える価値がある。特にサナ活、推し活に燃えている女性はファトマの気持ちになって観てほしい。考えさせられる作品です。おすすめします。

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ナベさん

5.0ファトマの笑顔と言葉を繰り返す

2025年12月5日
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ファトマの言葉のひとつひとつ、彼女が撮影した写真、彼女の歌、彼女の笑顔とユーモア。それを書き出して思うことしかできない:一切れでいいからチョコレート食べたい!そうだなあ、ローマに行ってみたいかなあ。美術館に行ってみたい。ママのお料理、チキンを長いこと食べてない。コロナの頃?幸せだった!通信環境はよかったし、ラップトップで仕事できたし、モールス信号も学んだよ!それにセピテも共感;投獄された時にモールス信号を勉強して隣に入れられている人と壁越しに意志疎通した。

タバコ1本が50ドルもするんだよと笑うファトマ。紙幣の裏に描かれている女の人の顔を見ているんだけど、これはイスラエルのお金、どうしてだろうとファトマは独り言のようにつぶやく。病院も、シェルターの役割も担っていた学校も爆撃された。一日中、夜中もずっと、飛行機音や爆音が聞こえて、そういう状態が日常になって、落ち着いて考えることができなくなった、考えがまとまらない。写真は撮り続ける、私が撮らなくては。みんなに見てもらうために。彼女が写すガザの町、人々、老人、子どもたち、血痕。瓦礫の山と無惨に爆撃を受けた建物、こちらを見つめる子どもの目。ファトマの故郷でファトマにとって世界一大切な居場所、ガザ。

24歳のファトマはスマホの向こうのセピデとビデオ通話をする。ファトマのヒジャブは濃い色、明るい色、小花柄といろいろで美しい。彼女は背が高いので年齢より大人に見えるから、ママに言われて13歳からヒジャブを身につけている、ヒジャブ着用は人それぞれ、家庭によっていろいろだよ、とヒジャブについて質問してきたセピデに説明する。ファトマは、画面越しにセピデの顔を認めるとすぐに太陽のような笑顔を見せる、最初から最後まで。私たちもファトマの笑顔につられて笑顔になる。友達が殺されても、お腹がどんなにすいていても、シェルターの中にいても、セピデに最初に見せるのは太陽の笑顔。自分が生まれ育った町ガザが自分の故郷で一番大事な場所。だからどこかに逃げたいとかは思わない。目がキラキラして笑顔のファトマは、セピデを慕い彼女との会話から知識と励ましと外の世界との繋がりを得てそれを力にしていることを私たちは感じる。ガザとファトマの為に何もできない無力感に襲われるセピデ、彼女はファトムを、彼女とのやりとりを映画にしてみんなに示してくれた。私は何ができるのだろう。(シネ・リーブル池袋で見た)

ショック‼️(2025.12.16.)
シネ・リーブル池袋も閉館になるんですか!怒りと悲しみと呆れしかない。

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talisman