「映っていないのに確かに見える」手に魂を込め、歩いてみれば La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
映っていないのに確かに見える
イスラエルからの無法な爆撃を逃れてガザのあちこちを逃げ惑うフォトジャーナリスト志望の女性ファトマ・ハッスーナと、フランスに住むイラン人映画監督ピデ・ファルシがスマホを通して交わした会話を記録したドキュメンタリーです。
全編の殆どが、ガザの窮状をスマホ越しに訴えるファトマの顔ばかりなのに、彼女の背後で爆撃で崩れる建物や無惨に死んでいく人々の姿が我々の目にははっきり見えるのです。すぐ傍にミサイルが炸裂し、親しい友人が亡くなって行きます。それにもかかわらず、ピデのスマホ画面に映る彼女はいつも溢れる様な笑顔なのです。
なぜなのだろうと不思議だったのですが、スマホを切った時、彼女はどんな表情になるのかなと想像すると急に胸が潰れる様な思いがしました。彼女に写真の勉強をさせて上げたかった。発表の場を上げたかった。
もう、戦争も、戦争に繋がる勇ましい言辞やヘイトは沢山だ。国防と言う名の戦争準備も沢山だ。気持ち悪い作り笑顔の政治家も沢山だ。
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