「見なきゃダメでしょ」手に魂を込め、歩いてみれば バビさんの映画レビュー(感想・評価)
見なきゃダメでしょ
爆弾が降り、食料がないガザに暮らすファトマの明るさに驚く。
親戚や近所の人が死んでいくのもノーマル(普通)なことだと言う。
でも、普通のご飯を食べ、普通に散歩ができるノーマル(普通)の生活がしたいとも言う。
政府高官が終戦に向けて会談をするたび、指導者が変わるたび、「希望」をもつのだが、そのつど希望は打ち砕かれてきた。
それをガザの彼女が監督に向かって、「『ショーシャンクの空に』って映画みました?その中で一人の囚人が言うんですよ、「希望は危険だ」と」。
殺人を犯してショーシャンク刑務所にいるレッドにとっての「希望は危険」だってのと、ガザに生まれ、ガザに育っただけの彼女がいう「希望は危険」だってのが同じだとは思えないんだが、彼女にとって希望が手放しに良いものではないらしい。
(監督がショーシャンク見たことないって言ってるのもびっくりしたが)
日本のようにのほほんとした国にいると、ガザのニュースも遠くの話で実感がわかないが、本作をみるだけで、いかに過酷な状況にいるのかがくっきりと伝わってくる。
何万人と死んでいて何万人も家がなくなってるというニュースではなく、一人の人間が命を落とすということのショックをきちんと受けることを可能にしてくれる作品でした。
人間は全員見たほうがいいと思うんだけど、封切り最初の土曜日、東京のシアターで観客6名というのはあまりにも寂しい。
劇場も少なすぎるんで、関係者の方、何とかしてください。東北・四国がゼロってのはないですよ。
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