「この作品に出会えなくていいから、ファトマにもっと人生を楽しく過ごさ...」手に魂を込め、歩いてみれば yukarinさんの映画レビュー(感想・評価)
この作品に出会えなくていいから、ファトマにもっと人生を楽しく過ごさ...
この作品に出会えなくていいから、ファトマにもっと人生を楽しく過ごさせてあげたかった
(なにさまな物言いかもしれないけれど…)
ガザを襲う惨状は当然知っていた
SNSで流れてくるガザの人々の声
生命をうばわれるジャーナリストたち
テレビで見ることのできるドキュメンタリー
でも
この作品でまた新たな現実を知る
ファトマの笑顔
どんなに辛い話も笑顔で語ることの多いファトマ
昨日は近所で爆撃があった、2人死んだ、that's normal(普通のこと)
と笑顔で語る
normalではないと言う監督に、
ファトマは自分の住む場所ではこれが日常なのだと
画面が暗転して、爆撃の音が響き渡る
真っ暗闇の中、どこが狙われているのか、次があるのか、
なにも分からない恐怖
実際はもっと爆撃の衝撃が空気を震わせて、鼓膜と身体に響いてくるのだろう
実際にこの日常を彼女たちは生きているのだ
ビデオ通話をしている時は、ファトマの笑顔でうっかりするが、周囲は瓦礫だらけ
食べ物も飲み物もろくにない
平和な場所なら当たり前の日常生活など成り立たない中、ガザの人々は生きているのだ
文字通り、生きている、のだ
世界を見たいと好奇心を見せるが、
でもガザを離れたくない、外に出ても戻りたい
ガザの外に出ることすら出来ないのに、攻撃され続ける日々
それでもファトマはガザを愛していた
どうして世界の誰も、どの国も、これを誰も止められないのか
そして、では、自分ごときになにができるのか
もうファトマはいない
SNSで見かけたジャーナリストたちの多くももういない
沢山の生命が奪われた
それでもまだ生きている人々がいる
終えたと見せて、完全に終わっていないこの殺戮
終わらせることは出来ないのか…
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