「「レビュー」書けない」手に魂を込め、歩いてみれば talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
「レビュー」書けない
ファトマの言葉のひとつひとつ、彼女が撮影した写真、彼女の歌、彼女の笑顔とユーモア。それを書き出して思うことしかできない:一切れでいいからチョコレート食べたい!そうだなあ、ローマに行ってみたいかなあ。美術館に行ってみたい。ママのお料理、チキンを長いこと食べてない。コロナの頃?幸せだった!通信環境はよかったし、ラップトップで仕事できたし、モールス信号も学んだよ!それにセピテも共感;投獄された時にモールス信号を勉強して隣に入れられている人と壁越しに意志疎通した。
タバコ1本が50ドルもするんだよと笑うファトマ。紙幣の裏に描かれている女の人の顔をめているんだけど、これはイスラエルのお金、どうしてだろうとファトマは独り言のようにつぶやく。病院も、シェルターでもあった受けた。一日中、夜中もずっと、飛行機音や爆音が聞こえて、そういう状態が日常になって、落ち着いて考えることができなくなった、考えがまとまらない。でも写真は撮り続ける、私が撮らなくては。みんなに見てもらうために。彼女が写すガザの町、人々、老人、子どもたち、血痕。瓦礫の山と無惨に爆撃を受けた建物、こちらを見つめる子どもの目。ファトマの故郷でファトマにとって世界一大切な居場所、ガザ。
24歳のファトマはスマホの向こうのセピデとビデオ通話をする。ファトマのヒジャブは濃い色、明るい色、小花柄といろいろで美しい。彼女は背が高いので年齢より大人に見えるから、ママに言われて13歳からヒジャブを身につけている、ヒジャブ着用は人それぞれ、家庭によっていろいろだよ、とヒジャブについて質問してきたセピデに説明する。ファトマは、画面越しにセピデの顔を認めるとすぐに太陽のような笑顔を見せる、最初から最後まで。私たちもファトマの笑顔につられて笑顔になる。友達が殺されても、お腹がどんなにすいていても、シェルターの中にいても、セピデに最初に見せるのは太陽の笑顔。自分が生まれ育った町ガザが自分の故郷で一番大事な場所。だからどこかに逃げたいとかは思わない。目がキラキラして笑顔のファトマは、セピデを慕い彼女との会話から知識と励ましと外の世界との繋がりを得てそれを力にしていることを私たちは感じる。ガザとファトマの為に何もできない無力感に襲われるセピデ、彼女はファトムを、彼女とのやりとりを映画にしてみんなに示してくれた。私は何ができるのだろう、
