劇場公開日 2025年12月12日

「自由は当たり前にあるものではなく、勝ち取って維持していかなくてはならない」プラハの春 不屈のラジオ報道 furuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 自由は当たり前にあるものではなく、勝ち取って維持していかなくてはならない

2025年12月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

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 本作品の舞台となる1968年には私はまだ産まれておらず、プラハの春とその後のチェコ事件は歴史として学ぶものでしかありません。
 ただ、1989年のビロード革命始めとする東欧民主化は当時高校生だったこともあり、当時のニュースはしっかりと記憶に焼き付いています。
 特にその直後のルーマニアで多くの血が流れ、革命成就後も立ち直りに苦労した一方、チェコとスロヴァキアは大きな血が流れずに民主化に移行でき、その数年後に良好な関係を維持したまま独立できたこと(ビロード離婚)が印象的でした。
 更に私自身、仕事や観光でその後3回プラハを訪れたことで、これら一連の出来事に強い関心を抱くことになりました。

 チェコとスロヴァキア、地政学的に言えば陸続きであり、周囲は大国がひしめき合う、という最悪に近い環境とも言えます。それでも、むしろだからこそ、自分たちの独自性と独立心を失うこと無く、どうあるべきかを模索し続けて来たから今日があるのかもしれません。
 1968年の運動は大国の論理に潰されてしまい、自由を勝ち取るには非効率化と矛盾が顕著となることで共産主義が弱体化した1989年まで待たなくてはなりません。しかも、旧体制を倒せば終わりではなく、その後の社会基盤や体制も新たに作り直す必要があります。幸いなことにチェコは比較的上手く作り直しができたとも言えますが、それはこの映画に登場する人々の意志や理想があってのことかもしれません。

 一方、同じ1989年には天安門事件もありました。こちらは潰されてしまいましたが、2025年の今に至るまで自由は勝ち取れていません。また、ソ連も1991年にロシアになって民主化が進むも、段々と大国化志向となり、再び弾圧が強まって他国への介入を始めています。
 「自由とは、いかにして勝ち取って維持するか」、その意識が無ければいとも簡単に抑圧に甘んじることに陥ってしまうことか。
 本作品と歴史を通じて私たちは学ばなければならない、と感じました。

furu
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