劇場公開日 2025年12月12日

「命を賭けて闘い続ける“真なるジャーナリズム”」プラハの春 不屈のラジオ報道 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 命を賭けて闘い続ける“真なるジャーナリズム”

2025年12月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

本作は私が生まれる数年前、(当時の)チェコスロバキア社会主義共和国で起こった民主化運動を背景に、身の危険にさらされつつも真実を伝えようと奮起するラジオ局員たちについての実話を基にした物語。歴史モノは基礎知識がないとストーリーについていけなくなるので、今回はほんの少しだけ歴史を調べた上での劇場鑑賞です。
時代は1967年。時のアントニーン・ノヴォトニー政権に対し異を唱え、文学者や知識人、学生などを中心に政府批判の声が上がり始めた一方、それらを抑え込もうとする国家保安部(StB)による監視・検閲の目が厳しくなっていています。両親を亡くし、弟パーヤ(オンドレイ・ストゥプカ)の世話をしながら、極力に波風を立てないよう過ごしているトマーシュ(ボイチェフ・ボドホツキー)ですが、対するパーヤは学生運動に参加をしている様子で気が気でありません。そしてある日、パーヤが国営ラジオ局・国際報道部長ミラン・ヴァイナー(スタニスラフ・マイエル)主催の局員募集に参加しようとしていることを知り、それを止めるべくトマーシュもそのオーディションに潜り込みます。ところが、ひょんな巡り会わせで自分がそのスカウトを受けることとなり、断ろうとするも思いもよらぬ上司からの“事実上の命令”によって報道部で働くことになるのですが…
本作、本質的には報道の自由と使命を貫こうとした象徴的なジャーナリスト・ミラン・ヴァイナーと、彼の同僚たちによる1967年から68年までの「プラハの春」そして「ソ連によるチェコスロヴァキアへの軍事侵攻/チェコ事件」に関する“真実の報道”に拘って闘うストーリー。邦題は『プラハの春 不屈のラジオ報道』とそれらを判りやすく表現して付けられていますが、原題/英題(同意)は『Vlny/Waves』と“民主化への波”と“(ラジオ放送に必要な)電波”を掛けたような題名となっています。そして、具体的に民主化運動そのものについてや、ノヴォトニー辞任とドゥプチェク就任、そしてチェコ事件についての詳細は詳しく語られないため、やはり基礎知識くらいは知った上で観るとより想像力が膨らみ、モスクワ/ブレジネフによる締め付けに対する民衆の自由への渇望が伝わってきます。そして、このことがその後10年余りを経てペレストロイカ、東欧革命、ソ連崩壊へと繋がっていく足掛かりとも言え、また、メディアをプロパガンダに利用されないよう、正に命を賭けて闘い続ける“真なるジャーナリズム”をふんだんに感じ、現代に至っても尚その必要性、重要性を思い知り、真摯に受け止めるべく作品となっています。
と言うことで、平日の本日午前中の回、ヒューマントラストシネマ有楽町はなかなかの客入りでした。勿論、“ロシアによるウクライナ侵攻”の影響で興味を持たれる方も多いのかと思いますが、そこを単純に結びつけて終わるのではなく、むしろ“報道の重要性”について考え直される一本。昨今、ソーシャルメディアにおける主観の押し付けやディープフェイクの垂れ流し状態を見れば、それを受け取る側の我々もその情報の価値をきちんと図ることが出来るようにならなければいけません。地味な作品ではありますが、訴える内容は熱くて胸に響きます。

TWDera
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