「プラハの春に介入したソ連軍に抵抗した「ラジオ局職員」の物語です。」プラハの春 不屈のラジオ報道 天空住人さんの映画レビュー(感想・評価)
プラハの春に介入したソ連軍に抵抗した「ラジオ局職員」の物語です。
1968年の「プラハの春」の時に、自由化の砦として、最後まで放送を続けた「チェコスロバキア国営放送」の人々を描いた群像劇の映画であり、東ヨーロッパの映画を十分堪能しました。
(※「プラハの春」・・ドプチェクがチェコスロバキアの第一書記に就任して「人間の顔をした社会主義」を標榜して、チェコスロバキアの自由化を進めたが、ソ連を中心にしたワルシャワ条約機構軍が介入して、チェコスロバキアを再び共産主義の国に戻した事件)
・本作はアカデミー賞国際長編映画賞部門チェコ代表作品で、チェコアカデミー賞多数受賞の傑作です。
・主人公としては「トマーシュ」という放送局職員がいますが、様々な放送局職員の連携によって、放送局が占拠された後も、外部拠点からソ連の侵攻の状況を放送し続ける姿勢に熱い気持ちを感じました。
・放送局を守ろうとして押し寄せる民衆に対して、それを排除するソ連軍、殺害された民衆の様子など、1968年当時の状況をよく再現していたと思います。
・またこの映画を通じて「マスコミ」の重要性もよく認識できると思います。ソ連軍が侵攻している時、正しい放送を聞こうとして、ラジオ放送に耳を傾ける様々な人々が映画の中で映し出され、チェコスロバキア国営放送はメディア側としてソ連に対抗しましたが、「プラハの春」が終わった後は、政府寄りの「大本営発表的」な放送局に戻ってしまいます。権力側の規制により「報道の自由」は、どんなに粘っても最後は崩れ去ってしまう現実に、「報道の自由」の大切さを改めて考えさせられました。
・この映画で、自由化が進むチェコスロバキアに対して、「ファシズムだ」と非難してソ連がチェコスロバキアへ軍事侵攻している場面を観て、「ナチス排除」を訴えてウクライナに軍事侵攻しているロシアの現状と重ねて観てしまう感じがして、現代にも通じる内容であり、心痛む思いがしました。
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