日記 愛する人たちへ

劇場公開日:2025年11月14日

解説・あらすじ

ハンガリーを代表する女性監督メーサーロシュ・マールタによる自伝的映画「日記」3部作の第2部。モスクワ留学から1956年のハンガリー動乱前夜までを描き、1987年・第37回ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した。

養母マグダのもとを離れ織物工場に勤めるユリは、映画監督を志して、モスクワの大学で映画制作を学び始める。スターリン死去後、ユリは卒業制作として労働者の実情をとらえたドキュメンタリー映画を完成させるが、反社会主義リアリズム的な内容とみなされ再編集を命じられてしまう。そんな中、ユリは父がすでに亡くなっていたことを知らされる。

メーサーロシュ監督の義理の息子ヤンチョー・ニカが撮影を担当。日本では「メーサーロシュ・マールタ監督特集 第2章」(2025年11月14日~、新宿シネマカリテほか全国順次公開)にて劇場初公開。

1987年製作/132分/G/ハンガリー
原題または英題:Napló szerelmeimnek
配給:東映ビデオ
劇場公開日:2025年11月14日

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映画レビュー

3.5 ユリの成長とハンガリーの命運が重なる、愛すべき第二章

2025年12月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

モノクロからカラーになり、ビジュアルが映える。

ソ連の同盟国として翻弄されるハンガリーの歴史をなぞりながら、主人公ユリの成長を重ねていく。
社会科の教科書でサラッと記述されていた東欧の戦後史が、庶民レベルでよりリアルに追体験できる。
ユリの射抜くような眼差しは前作から変わらないが、キリリとした表情に逞しさが加わる。

そして史実やエピソードだけでなく、微妙な心の描写も忘れていない。
例えばユリとヤーノシュと息子のアンドラーシュの微妙な関係性。ユリがヤーノシュにファザコン的感情を抱いているのは間違いないが、ヤーノシュの不在時には歳の近いアンドラーシュともいい仲だった。
ヤーノシュが釈放されて戻ってきた時、この思慕の情、若者同士の恋情、そして親子の愛が三様に複雑に描かれる。繊細で素晴らしい場面である。

ユリはハンガリーとソ連を何度も行き来するが、最後に滞在中のソ連から出国出来なくなる。1956年のハンガリー動乱だ!そして終章への流れ込む怒涛のこの切り方。「ロード・オブ・ザ・リング」ばりのラストシーンである。

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