「最初の劇場公開時3回鑑賞。「鬼畜」と書いて「トリアー」と読む。」ダンサー・イン・ザ・ダーク なおさんの映画レビュー(感想・評価)
最初の劇場公開時3回鑑賞。「鬼畜」と書いて「トリアー」と読む。
ビョークも鬼畜(トリアー)も当時は全然知らなくて、予告を見て観に行っただけ。本当にただそれだけだったはずなのに。何この観賞後の呪われた感は。あの最低最悪なエンディングに向かって一直線に進んでいく物語を、首に縄つけられて引きずりまわされ見せつけられる感じ。心が捻じ切られすり潰されれ、苦悶のあまりに血の涙を流す。その自罰的な考え方絶対おかしいのに、そうしてしまわずにいられないというのが、感覚的にわかってしまうのがホントにやだやだやだやだ。
友人たちがどんなに頑張ってセルマを助けようとしても、セルマ自身を含め全てがセルマを殺すようにできている物語に蹂躙されるだけ。鬼畜(トリアー)がその鬼畜ぶりを遺憾なく発揮した、最凶ミュージカル。
アルバム全部とサントラとMVDVD買って(まんまとユニバーサルの策略にハマる)、ドキュメンタリーと『ネズの木』観に行って、と一時期ビョーク漬けになるくらいハマった。ミッシェル・ゴンドリーやトム・ヨークの名前も知ったし白鳥ドレスは流石にアレだったが。宣材とか見てもわかるけど、時々幼い子供みたいに見える時があって、劇中で見せる色々な表情にしばしば見入ってしまう。
ドヌーブだけでなくデビッド・モース、ピーター・ストーメア、ちょい役だけどステラン・スカラスゲルドとかウド・キアとか結構な脇役陣なのに、その圧倒的な歌声で堂々と渡り合うビョークにもう言葉もない。
通常パートとミュージカルパートの相互の移行の仕方(特に環境音から曲への繋ぎ)や、撮り方(当時まだあまりなかったデジタルビデオと通常のフィルム撮り)と映像の質感を違えることで、ミュージカルシーン=妄想にすんなり入り込めるようにしてるとか、そういうのホント大好き。
本作は厳密には該当しないものの鬼畜(トリアー)監督が中心的だったという「ドグマ95」に興味が湧いて『キング・イズ・アライブ』観に行ったりした若気の至り。
4Kリマスター観逃す。絶対許さんコロナ。またあのどんよりどよどよな気分になる気まんまんだったのに。
The Northman を楽しみに待つ。劇場公開するよね?→2023/1/20