「3度目の鑑賞」ダンサー・イン・ザ・ダーク erieeさんの映画レビュー(感想・評価)
3度目の鑑賞
試写会で何の予備知識も無いまま仕事帰りに観たのが最初。あれから17年が過ぎた。
揺れる映像に始めは酔い、工場作業中や線路を歩きながらのミュージカル、はたまた法廷や死刑執行に向かう107歩までがミュージカル…
シリアスなシーンはセルマの現実逃避のミュージカルシーン。
移民のセルマ親子は警官のビル夫妻の敷地内にあるトレーラーハウスに暮らしている。
遺伝性の目の病でセルマはやがて失明する。
セルマは息子ジーンの目の手術費を内職をしながらコツコツ貯めていた。
工場では友人キャシーに助けられ何とか働けていたがやがてクビを言い渡される。
ビルは遺産を相続し、裕福な暮らしをしていると思っていたが妻のリンダが浪費家で借金返済も儘なら無い状況だった。
セルマにその秘密を打ち明け金策を頼んでみたがセルマは息子の為のお金だと言い断った。
ビルはセルマが失明した事を知り、セルマのお金を盗んだ。セルマが取り返しに行くとリンダはセルマに夫をそそのかしトレーラーハウスに誘い込んだと怒鳴る。全ての罪をセルマに押し付けるビルの一人芝居に腹がたつ。
ビルはセルマにお金を取り返したければ殺してくれと言う。
目が見えないセルマは無我夢中でお金を取り返した。
そのお金でジーンの手術を頼みに病院へ行った。
セルマは殺人罪で死刑を宣告された。
友人キャシーは弁護士に刑減出来るよう弁護の再依頼をしたがその費用がジーンの手術費だと知りセルマは自らの死刑を選んだ。
ジーンには母親が必要だとキャシーは言うが、セルマは目が必要だと言い張る。
遺伝すると知りながら何故子供を産んだかと聞かれたセルマは、赤ちゃんを抱いてみたかった…この腕で…
だからこそジーンの目の手術にこだわるセルマ、自分の命に代えても我が子の未来をと願う親心。
刑執行の時が来た。
狼狽えるセルマ。
刑務官がセルマを支え励ます。
靴音を立てセルマに現実逃避させる。
絞首刑…
黒い袋…ベルトが付いた板…泣き叫ぶセルマ…
底板が歌の途中でいきなり外れた…
カーテンが閉められた。
衝撃のラスト!
何度見てもショッキング。
確か、あの日も椅子から立ち上がることがしばらく出来ずに呆然としていた。
全てはビルの心の弱さが招いた不幸だ。
誰も救われない最悪なストーリー。