「ヤンキーガンダムが時代を映す」特別編集版 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ ウルズハント 小さな挑戦者の軌跡 PJLBNさんの映画レビュー(感想・評価)
ヤンキーガンダムが時代を映す
鉄血のオルフェンズが10年前とは、時が経つのは早い。
言ってしまえばSFのダークファンタジーだが、このような没理想のリアル重視の物語は、80年代の好景気時にヤンキー文化が花開いたように、90年代以降の新自由主義的な進化や発展についていけない一定層の不平不満や反骨精神が反映されて根強い人気がある。
21世紀のヤンキー文化はワンピースに代表されるように、夢探しと仲間探しがテーマである。もちろんこの構図は、高度経済成長時の70年代のスポ根アニメとそう変わらない。(ちなみにウルズハントは、オルフェンズのワンピースと言ってよいほど、本編のような悲惨な結末や絶望感を差し引いた王道冒険譚で、ガンダムが主人公を救う悪魔の実として活躍している。)
ガンダムではあまり語られなかったタイプの物語だが、夢を求めながら敗れる若者たちの悲惨さを描くのは、戦争で死ぬよりもある意味リアリティがある。ファンタジーの貴族や軍人ではなく、ヤクザや奴隷、人身売買を盛り込んだオルフェンズは、そのタイトルからしてまるで梶原一騎原作の作品のようだ。
そんな現実の悲惨さは、今の時代の不幸の鏡でもある。人はアニメやフィクションでのみ、ヤンキーたちの感情的な叫びに共感して憂さ晴らしする。オルフェンズのキャラクターの人間味が響くのはきっとそのせいである。
コメントする
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
