劇場公開日 2025年9月5日

「知性を感じた」銃弾と正義 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 知性を感じた

2025年9月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

『ムトゥ 踊るマハラジャ』『ダラパティ 踊るゴッドファーザー』『ロボット』などで有名なラジニカーント主演作。
始まると同時に、いつもの「SUPER STAR Rajini」ロゴ連打からスタート。

御年74歳の後期高齢者はアクションシーンは難しそうでした。
6年前の『ロボット2.0』でも、ほとんど動けてなかったですから。
しかし、「狩人」のあだ名の強い凶悪犯罪捜査刑事であるアディヤン警視を演じているので、彼自身は立って腕振ってるだけとか、歩くだけで、周りが吹き飛んでいく超能力みたいな現象が多々発生していました。
ただ、スーパースターの存在感を、そういった暴力的強さではなく、精神的強さや知能的強さを軸に演出していたように思います。

贈収賄など汚職の多いインドで、警察官のその場の判断で容疑者を射殺できる「特例射殺(エンカウンター)」を行うと、冤罪の可能性も高く、かつてのカースト下位に相当する貧困層に罪を擦(なす)り付けて犯罪を逃れる富裕層という構図も実際にあるんじゃないか?という疑問を提示するようなストーリー展開で。
インドにおいて問題提起と、人権意識を含めた社会的変容を促すような、立派な内容でありました。

"踊って暴れておしまい"みたいなありがちインド映画ではなくなり、社会性や知性を楽しませるようなジャンルの幅の広がりや、意味合いの深さが増していて、そんな制作意図・傾向まで含めて面白かったです。

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コージィ日本犬