「イスラエル国民はなぜ戦争を支持するのか？」壁の外側と内側　パレスチナ・イスラエル取材記　La Stradaさんの映画レビュー（感想・評価）

　イスラエルとパレスチナを隔てる壁のあちら側とこちら側を往来してそこに住む人々を記録しようとしたドキュメンタリーです。

　本作の様にパレスチナの現状を描こうとするドキュメンタリーは国内外で撮られ続けており、それは大変重要なのですが、全く何も変わらない現状を見ていると、我々がより深く知るべきはイスラエルの事ではと最近思い始めました。本作でも、イスラエルで兵役拒否をする若者や、イスラエル政府の遣り方に疑問を呈する国内の人々が登場するのですが、恐らくそれはかなりの少数派なのでしょう。多くのイスラエル国民は、僕には理不尽と思えるネタニアフを支持しています。

　本作中では、「イスラエル国民は本当の事を知らされていない」と述べられていますが、それは本当でしょうか。現在ならばネットを通じて様々な情報を海外から得る事も出来る筈です。多くのイスラエル国民は現実を知っていながら、知らない振りをしているか重要視していないだけではないのでしょうか。もしそうならば、そうしたイスラエル国民の背後にある思いを僕はもっと詳しく知りたいです。そこを掘り下げた作品を観たいです。さもなくば、もはや彼らとの対話は成立しないと思うからです。