劇場公開日 2006年2月11日

クラッシュ(2005)のレビュー・感想・評価

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4.0人は、傷付け合う生き物だから…。

2008年9月18日

悲しい

知的

難しい

非常に地味な、群像劇です。でも、この映画がアカデミー賞を獲ったっていうのは、まだハリウッドも、捨てたモンじゃないって感じがしますね…。

 サンドラ・ブロック、ドン・チードル、マット・ディロン、ブレンダン・フレイザー、テレンス・ハワード、サンディ・ニュートン、ライアン・フィリップetc…と、たくさんの俳優たちがキャスティングされていますが、ハッキリ言って地味です。“コレ!”といった目立った俳優がおりません。でも皆それぞれが、そんなに長くない登場時間の中で、印象に残る演技を見せてくれます。

 この映画、“差別”“偏見”“蔑み”といった人間の“負の感情”を主題に、人間と人間とがぶつかり、絡まる様を描いていますので、もおとにかく『これでもか!』と言わんばかりの悪循環(作品のクオリティのことを、指しているのではございません)なストーリーのオン・パレードなんですね。その昔『♪“変”と”変”を集めて、もっと“変”にしましょ~♪』てな歌がございましたが、これはまさに『“良くないこと”と“良くないこと”を集めて、もっと“悪く”しましょ~』てな感じの映画でございます。ですから観始めてからず~っと、何かもお胸がギュ~っと締め付けられるような感じがしてまして、それが時間を追うごとに、どんどん強くなっていくんですね。『もお、何でこんなに悪い方へばかり、話が進んじゃうのかな。ああ、やりきれんな~』て感じですね。で、中盤あたりで[ネタバレ!]子供が銃で撃たれてしまうシーンがあるのですが、その銃声が映画館に鳴り響いた瞬間、吾輩の感情も弾けてしまい、思わず『何するねんな!何てコトを…!!』と小声でつぶやいてしまいました。もお、抑えきれませんでした、ハイ…。

 でも、各エピソードにそれぞれ小さな“救い”がキチンと描かれているので、最後は何か“ホッ”とした気分になれます。人間生きていく上で、色んな考えを持ち、色んな人とぶつかるけれど、そうやって生きていくのが人間なのだな~と、この映画は教えてくれます。誰にも差別や偏見の根は存在するのです。そこから目をそらさずに、むしろ正面からぶつかり合っていくのが、人間本来の姿であり、悲しき性(さが)なのですね。

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