「15歳、だと?」WIND BREAKER ウィンドブレイカー Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
15歳、だと?
2025.12.9 イオンシネマ久御山
2025年の日本映画(122分、G)
原作はにいさとるの同名漫画
てっぺんになりたい高校1年生を描いたアクション映画
監督は萩原健太郎
脚本は政池洋佑
物語は、とある街にある「東風商店街」を訪れる高校1年生の桜遥(水上恒司)が描かれて始まる
その街はかつては無法地帯のような場所だったが、ある日を境に劇的に変貌を遂げていた
それは、地元の風鈴高校の生徒たちが街を守るようになったことで、治安の維持の他にも住民の御用聞きなどをして交流を深めていた
桜は、その商店街にある喫茶店「ポトス」の店員・ことは(八木莉可子)を助けた縁があって、街を守る防風鈴のメンバーや商店街の人々に一目置かれるようになっていった
防風鈴の総代・梅宮(上杉柊平)は無駄な戦いはしないタイプで、交戦的な桜を宥め続けていく
それでも、防風鈴を手に入れたい獅子頭連の総代・丁子(山下幸輝)は、幾度となく防風鈴を挑発していくのである
映画は、たい焼き泥棒を追って境界線を超えたことで戦いが勃発する様子が描かれていく
そこからはキャラの紹介のための回想が何度も挿入されるようになっていて、それでもキャラの内面はほとんどわからない
因縁のある相手というのも個々に描かれるものの、彼らの持つ価値観というものはあまりにもさらっとし過ぎているように思えた
基本的にはキャストのファンムービーであり、原作の再現度を楽しみ映画だと思うので、ストーリー重視とか、暴力描写の限界を観たいという人にとっては何も刺さらないだろう
ひたすらに「手に入れたい」を繰り返す丁子ですら、その渇望の根幹というものは見えてこない
これではただの精神年齢の低いワガママ小僧のような感じなのだが、そこは原作準拠なのかな、と思った
この手の作品にストーリー性とかテーマ性を求めるのはナンセンスなのだが、それでも「非暴力」を貫く価値観というものは色濃く描くべきだろう
桜がてっぺんを取りたい理由も曖昧で、言語化されていない理由が、彼らが幼い(高校生)からなのか、そこまで考えられてないのかは微妙なように思えた
いずれにせよ、スケールのかなり小さな作品となっていて、街を守る=商店街だけ?みたいなところがあって、アクションの規模も小さいものだった
因縁めいた柊(中沢元紀)と佐狐(曽田陵介)との対決、杉下(JUNON)と桜のいざこざというのも一過性のようなものに過ぎない
トラブルメイカーがただの自信過剰なだけで、スキルも何もないところが微妙だった
彼が強くなる過程というのも描かれず、本気になるためのモードチェンジもイマイチだったので、もっと工夫をすればカタルシスも生まれるのになあと思ってしまった
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