「二つのミラクル、「どこでもドア」の郵便箱と花火」鯨が消えた入り江 詠み人知らずさんの映画レビュー(感想・評価)
二つのミラクル、「どこでもドア」の郵便箱と花火
香港の人気作家ティエンユーは、2020年の新作に盗作疑惑が持ち上がるが、編集者の奔走により、和解に漕ぎ着け、盗作は認められないという契約書にサインする。
その時、相手となった女性の作家から、ジン・ルンファという8歳の少年と、2003年頃、文通したことがあったのではと言われる。女性作家は、その少年を保護し、手紙を見せてもらっていたのだ。ところが、ティエンユーの側から見ると、手紙を受け取ったのは2013年、彼はまだ院生だった。二人は、10年という時間を飛び越えて、香港の家の玄関先においた郵便箱を介して手紙をやりとりしていたことになる。あの郵便箱は「どこでもドア」の郵便箱版だったわけだ。
ティエンユーにとっても手紙をやりとりしたことは大事な思い出だから、読んでいなかった女性作家の小説と彼の作品が似ていても、何の不思議もない。その時、ティエンユーは、少年に台北に引っ越したらとアドバイスしていた。
盗作騒ぎのなか2020年に渡航した台北で、ティエンユーは成長したジン・ルンファと巡り合う。彼はアシャンと呼ばれ、フル・エスコートと言う危ない稼業に身を染めていた。二人は、いつか手紙で語り合った「クジラの消えた入江」を目指すことになる、過去の経緯には全く触れず。二人は、アシャンが関わっている海沿いのペンションにたどり着き、夏の花火大会に出かけることを約束していたが、そこで、事件が起きてしまう。
事件に気づかぬまま、香港に戻ったティエンユーは、アシャンとの再会を心待ちにしながら、新作を準備し、大成功を収める。
3年後、台湾に再渡航して、真相を知ったティエンユーは、あの時の花火大会の海岸で開いた花火を、逆戻りさせたいと思うようになる。これが、第二のミラクル!原題にある’A Balloon’s landing’(奇跡が降りてきた!)なのだろう。
ホールを埋め尽くしていた女性客の様子を見ると、こうした筋書きはともかくとして、イケメン俳優の二人が、豊かな自然の光景の中で、BLのように触れ合うのを楽しむことができれば、それで良いのではと思った。
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