ティム・バートンのコープスブライド : インタビュー
ティム・バートンがストップモーション・アニメの世界に戻ってきた。しかも今度は監督として! 原案・製作を担当した「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」から12年。新作「ティム・バートンのコープスブライド」に込めた思いを聞いた。(聞き手:編集部)
ティム・バートン監督インタビュー
「僕にとっては実生活そのものが恐怖だよ(笑)」
──ビクターは、愉快でカラフルな死者たちの国にまったく魅力を感じないのか、色あせた現世へと帰りたがる。どう見てもあの世の方が居心地良さそうに見えるのだけど、どうしてそんなに死者たちの国を嫌うのでしょう?
「『コープスブライド』では、奇妙な三角関係を描きたかった。良質なラブストーリーには、ほろ苦い部分も必要。ビクターがコープスブライドに恋をして、末永く楽しく暮らしましたとさ、というわけにはいかなかったんだよ。ビクトリアへの強い思いがどうしても必要だったんだ」
──ビクター、ビクトリア、コープスブライドの3人以外で、思い入れのあるキャラクターは誰ですか?
「なんといっても犬だね。犬は、僕の人生においてとても重要な存在だ。子どもの頃からずっと一緒だった。彼らは無条件に愛してくれる。『コープスブライド』に出てくる“スクラップス”は、ガラクタっていう意味なんだけど、寄せ集めのイメージなんだ。バラバラの骨が集まって動き出すというデザインが決まったら、名前もすんなり決まったよ」
──処女短編「ヴィンセント」の主人公、根暗なオタク少年ヴィンセントの成長した姿がビクターですよね。ということは、ビクターもあなたの分身なの?
「もちろんそういう側面もあるよ。キャラクターにはいつも僕自身が反映される。ビクターのぎこちなさや優柔不断なところは僕と同じだな。ただし、ビクターはピアノが弾けるけど、僕はまったくダメ。クラリネットやサックスを吹いたこともあるんだが、ひどいものだったよ」
──じゃあ、あなたも、死者たちの国よりこの世の方が好き?
「うーん、そうとは言い切れないな。僕にとっては実生活そのものが恐怖だから(笑)」