「時空間省略が光る映画内映画」これらが全てFantasyだったあの頃。 くらさんさんの映画レビュー(感想・評価)
時空間省略が光る映画内映画
女優である主人公の追想と創作に苦しむ脚本家男性の物語が交互に描かれるダブルプロット作品。互いの物語は互いの世界に影響を及ぼし合い、様々な形の違和感となって常識を歪ませる。
映画における時空間の省略が非常に上手い。通常の劇映画であれば当然描かれる日常の風景を映像表現・音響表現に間接的に落とし込み、さらに登場人物はほとんど感情を露わにしないにも関わらず、彼ら彼女らの苦しみが画面からしっかりと伝わってくる秀逸な構成。
終盤、最悪の事態の予感があっさりと回避される瞬間は、快感さえ覚えるほど鮮やかな裏切りだった。
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