「言葉を越えたクジラの感情が見える映画」パトリックとクジラ 6000日の絆 sokenbiteaさんの映画レビュー(感想・評価)
言葉を越えたクジラの感情が見える映画
クジラ愛に溢れた、濃密なクジラ映画でした。
て、そんなのはタイトル見りゃわかる話だと思いますが笑
息を呑むような、圧倒的な映像、それはもう当然のごとくあります。
人生をかけてクジラを追いかけて、触れるくらいの近さに普通に来れてしまう、そこまで既に到達してる人が撮ってるので、「貴重な映像撮れました」なんてレベルはとっくに超えてしまってる、もの凄い絵の連続です。
そんな凄い映像を、撮り手であるパトリックさん(ご本人がクジラと接触するとこは当然別の人が撮ってると思いますが)の語りを交えて映して行く、それだけの、、まあシンプルな映画です。
それがしかしまあ、濃密で。
そしてなんかこう、感情に訴えかけてくるところがあるのです。
ものすごく。
ネイチャーものって、映像見て凄いなーと思っても、結局のところ結論がよくわからんというか、「こんなにも素晴らしい自然を大切にしましょう」「私たち人間も同じ地球の仲間なんだからかけがえのない地球を守りましょう」とかいうのもどうも嘘くさいし、この映像見て感動してる感情の置き場がよくわかんないとこあると思います。
、、ないですかね?
まあ自分の見方がひねくれてるだけかもしれないですが(笑)。
この映画を見て、初めて、ああこれは大事なことなんだ、と心の底から思えたかもしれないです。
映画の中では、啓発的なことや、押し付けがましいメッセージとか、一切言ってないです。
それでも、この人たちがこれだけクジラに魅了されて映像に残している意味が、おためごかしでなくそれが人間自身にとっても本当に意味があるとなのだと、それが理屈を超えて自分の価値観の中に落とし込まれたような気がしました。
ほんとに理屈でなく、感情で伝わってくるんですよね。
見てもらったらわかるんじゃないかと思います。
こういうことを感じる能力を持った人間という存在が、文明を築いて科学を発展させ、歴史を積み重ねて、今このクジラたちの不思議な世界の入り口に触れることができている。
そんな映像を今目の前に見ることができている今日の自分の幸運を思いました。