「 年間300日は海に出て、20年以上にわたってクジラを記録し続けて...」パトリックとクジラ 6000日の絆 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
年間300日は海に出て、20年以上にわたってクジラを記録し続けて...
年間300日は海に出て、20年以上にわたってクジラを記録し続けてきたカメラマン、パトリック・ダイクストラとマッコウクジラとの交流を描いたドキュメンタリーです。
冒頭、10頭以上のクジラが水面近くで静かに立って眠っている傍に彼が泳ぎ寄る姿を見るだけで「わぁ~」と声が洩れてしまいます。彼は区域のクジラの群れそれぞれを認識し、その一匹一匹を個体識別しています。そして、何年もの時間を掛けてクジラとの距離を詰めようとするのですが、それでも親しく成れたのは15匹程度、手を伸ばせば触れる程に近づき意思が通い合うと思える程になれたのはたった2匹なのだそうです。その経緯を描く映像がとにかく雄大です。
僕自身はクジラに特別な興味はないのですが、本作を観ていると生き物としてのクジラに沸々と興味が湧いて来ます。
「ええっ、こんなに群れるの?」
「クジラにはなぜそれが分かるの?」
と「?」や「!」が次々噴き出て来るのです。
しかし一方で、「いい絵を撮りたい」と人間が欲をかいて近付くと、十年かけて築いたクジラとの信頼関係もたちまち瓦解してしまうというのも非常に示唆的でした。
クジラを追うカメラマンは世界中に多くおられるでしょうが、こんな映画が出ると「やられたなぁ」と嘆息するのではないでしょうか。クジラ好きは勿論、海好き、生き物好きの人は必見の作品です。
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