「新スタジオのPVとしては悪くないが」この本を盗む者は　khgjさんの映画レビュー（感想・評価）

新アニメスタジオの1作目らしいとだけ知っての鑑賞。原作は未読。
正直な話、あまり入り込める内容ではなかった。小説原作のアニメは沢山あるが、そのなかでも中の下といった具合。
様々なジャンルの小説の世界に迷い込むという内容なので、様々なアニメーションが楽しめるが、それは良く言った場合の話で、実際にはメリハリがなくとっ散らかっている印象の方が強い。そのとっ散らかりも一応は意味を持っているのだが、それならそれでそれっぽく伏線を散りばめておかないとただの違和感で終わってしまう。
何より悩ましかったのはキャラクターで、話がさっさと進むのでキャラクターの掘り下げがまったくない。そのため感情移入する暇がなく、薄ぼんやりした印象のまま終盤になりいつの間にか終わっていた。序盤でキャラクターについてもう少し好印象を持たせる場面を入れておいたほうがよかっただろう。
様々なアニメーションが作れる、という新スタジオのPVとしての印象が強く出ていたように思う。原作がどうであるのかはあまり重要視しない。アニメになった時点ですでに原作とは媒体が違うのでアニメーションとしての完成度が求められる。PVとしての出来栄えは悪くないが、総合的なバランスはかなり悪い。