迷いに迷った挙句に対抗作品が次々と候補から落ちて、やや消極的に劇場鑑賞を決めた本作。そもそも、この作品に興味を持ったのは「原作・柚木麻子」。正直、彼女については本業の作品は全くの未購読で、むしろ本業以外の活動でご本人による話を聞くことばかり。Audibleのライブラリーにも数冊が積読状態で、最近(1/16)、本作の公開に合わせて原作が追加されたため劇場鑑賞する気持ちに後押しが。ただ、「原作原理主義」とは言わないまでも、原作がある作品の映像化には巧くいっていないものも多いため、ガッカリする気持ちを軽めに抑えるためにも“敢えて”先に映画を鑑賞です。
高校に進級した初日の登校時、中学からの友人たちとのおしゃべりに突如、後ろからその会話に参加するように話しかけてくる声。振り返るとそこには、鮮やかな青一色のワンピースを着た少女が。あっけにとられながらも教室に着くと、なんとそこにあのワンピースの少女がやってくる。それが、希代子(當真あみ)と朱里(中島セナ)の出会いだった。
『かがみの孤城』で初めて知ることとなった當真あみさん。最近はドラマも含め、立て続けに主演作品が発表されていますが、私にとっては『水は海に向かって流れる』以来の出演作。流石にまだ「上手いか下手か」を問うレベルではないかな、とは思いますが、コンスタントに出演作品が続いている今こそ頑張り時だと思います。本作では、序盤こそ引っ込み思案で本心を表に出さないタイプの希代子が、朱里と付き合ううちに突如自我が刺激され、思い切った行動や激しい感情に揺れ動く様を演じています。華奢で童顔なこともあり、しばらくは本作のように「学生役」が続くような気もしますが、容貌から思われがちなイメージを裏切る本作の“希代子”は大変チャレンジングな役でありつつ、しっかり表現できていたように感じます。今後も注目させていただきます。
でもって、、、冒頭で触れた「迷いに迷った」理由は監督・脚本(おそらく編集も)の吉田浩太氏。フィルモグラフィーを確認すると6作品ほど鑑賞記録がありましたが、いずれも“傑作”と言うには程遠く、、そう言った意味ではハードルを下げていたつもりだったのですが。。。全般アップが多く、まるで素人の手持ちカメラのようにガチャガチャした映像、周りの音に埋もれ気味で聞き取りずらい音声、そして、役者の演技に一切浸せるつもりがないような編集などなど、恐らくご本人にとっては大変なこだわりなのかもしれませんが、少なくとも私には良さが解らないというか、ズバリ、全くもって良くない。原作未読のためどのように脚色されているのか判りませんが、本作を観る限りは単に時系列を追った学生時代のダイジェストに見えてしまい、作品やキャラクターたちに対する愛が感じられない仕上がり。少なくともストーリーは理解できるし、ちゃんと雰囲気も感じる。そしてどのキャラクターの気持ちにも寄り添えないことはない。それだけに、若さと言う残酷さで傷を負いながら、逃れようのない“あの頃”を生き延びた3年とその後の対峙に、苦々しく感じながらどっぷり浸かりたかったのに、、
下げたはずのハードルすら越えてこず、吉田監督、もう次はないかな。よし!明日にでも原作を読み始め、作品に対する印象を“洗い替え”するぞ!