「ドニー・ブラスコ、フランク・セルピコ」ディープ・カバー 即興潜入捜査 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)
ドニー・ブラスコ、フランク・セルピコ
ドニー・ブラスコ、
フランク・セルピコ、
インファナル・アフェア、
本物が潜入する、オトリになる。
本作はこの既視感のある常識にもう一枚のフィルターを噛ませることで、
新たなコメディにチャレンジしている。
売れない役者が警官の真似をし、
そして潜入するという、一見非現実的な設定だ。
このフィクションと現実が複雑に絡み合うさじ加減こそが、
本作の評価を分けるポイントになるだろう。
主人公の三人組の、
時に滑稽で、時に痛々しい、
その必死さが生み出すズレや不協和音が、
予想もしない展開を生む。
この設定は、舞台劇でも観てみたい。
もし、彼らの息づかい、焦り、
そして何とか演じきろうとする切迫感が生の空気で観客に伝わってくれば、
観客はまさに「息を飲む」ように見守り、
そして大いに笑い、
楽しむことができるはずだ。
虚構を演じる彼らの姿を通して、
私たちは「本物とは何か」「演じるとは何か」といった、
根源的な問いにも触れることになる。
果たしてこのフィクションのさじ加減に、
どれくらいの観客がノることができるだろうか。
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