トリツカレ男のレビュー・感想・評価
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相手の幸せだけを願う「無償の愛」に胸が熱くなる
最初こそ、「個性的」と言うよりは「クセのある」キャラクター・デザインに戸惑いを覚えるが、観ているうちに慣れてきて、段々と「味」に思えてくるから不思議だ。
色々なことに夢中になって、それを極めてしまう男が、1人の女性に夢中になる話だが、「それって、普通に恋なんじゃない?」という疑問も湧いてくる。主人公が、彼女に「取り憑かれた」のなら、ストーカーまがいに彼女を追いかけ回して、猛然とアタックしてもよさそうなのに、ろくに告白することもできない様子を見ていると、なおさら、単なる「恋する男」としか思えないのである。
ところが、彼女が、想いを寄せている教師にしばらく会えていないことを知ると、その教師を探し出そうとしたり、その教師が亡くなっていることを知ると、彼の振りをして彼女に会いに行こうとしたりする主人公の姿を見て、ようやくと「取り憑かれた」ことの意味が分かってくる。主人公は、彼女を自分のものにしたいのではなく、彼女の「本当の笑顔」を取り戻したいのであって、その、相手の幸せだけを願う「無償の愛」の純粋さに、思わず胸が熱くなってしまった。
その上で、彼女が、想いを寄せる教師(すなわち主人公)に、主人公のことを好意的に話す場面では、主人公の努力が報われたような気持ちになってホロリとさせられたし、その教師の霊が、彼女に自分のことを忘れさせるために、自分が主人公に取り憑いたのだと種明かしをする場面では、なるほど、そういうことだったのかと納得することができた。
ただ、それだけに、最後に、彼女が、主人公に対する愛に気付くシーンでは、主人公が、彼女の借金を帳消しにしたり、彼女の母親の喘息を治したり、主人公が教師に扮して会いに来てくれたことを知ったから、彼女が主人公を好きになったかのように描かれていることには、やや違和感を覚えざるを得なかった。
確かに、彼女を幸せにするための主人公の努力を、彼女自身に分かってもらえたことは嬉しかったのだが、愛とは、ギブ・アンド・テイクのビジネスライクな関係ではなく、何かをしてもらったことに対する感謝の気持ちとも違うと思えるのである。その点、一緒にいるだけで幸せを感じられるといった2人の関係性が、もっと強調されても良かったのではないかと思えてならない。
それから、色々なことに夢中になるということは、それだけ飽きっぽいということでもあり、劇中で相棒のネズミも言っていたように、彼女に対する主人公の情熱が、そのうち冷めてしまうのではないかとハラハラしてしまった。ただ、ラストシーンを見た限りでは、教師による「取り憑かれ」が解けて、お互いの想いが「愛」に変わったことが伺われて、ようやく安心することができたのは良かったと思う。
何でも本気で取り組むのは素晴らしい
何かに夢中になると他のことが目に入らなくなってしまうジュゼッペは、街の人々から、トリツカレ男と呼ばれていた。彼がとりつかれるものは、三段跳び、探偵、歌、昆虫、など、普通の人とは違ったものだった。そんなジュゼッペが孤独なネズミのシエロと出会い、話しかけるうちに、ネズミ語をマスターした。ある日、蝶の採集に夢中になっていたジュゼッペは、公園で風船売りをしていたペチカに一目ぼれし、今度は彼女に夢中になった。勇気を出してペチカに話しかけたジュゼッペだったが、彼女は心に悲しみを抱えていた。ジュゼッペは大好きなペチカのため、シエロとともに、これまでとりつかれてきた数々の経験を生かし、彼女の心配事を密かに解決していき・・・そんな話。
取り憑かれた、というと悪霊みたいなのかと思っていたが、熱中すると他のことが見えなくなるくらい集中出来る男の話だった。
これをミュージカル仕立で見せてくれるのだが、好きな女の子の為に、気づかれない様に彼女の悩みを解決していくという、なかなか感動的な素晴らしいストーリーだった。
ジュゼッペの数十ヶ国語を話せる語学力も凄いが、それを発展させネズミ語までマスターするという能力も素晴らしい。昆虫採集の能力が巨額の富につながるところも納得感が有る。
絵は直線基調で手抜きっぽく見え、クレヨンしんちゃんぽい人物なのだが、個性と捉えれば悪くは無い。
ジュゼッペ役の佐野晶哉もペチカ役の上白石萌歌の2人とも声も歌も良かった。
ツイスト親分役が織田裕二のモノマネやってた山本高広とは気づかなかったが、彼の声も歌も良かった。
ベタだが感動出来る素晴らしい作品で面白かった。
時代錯誤なくらい現代のアニメと真逆な方向の手書きの絵で、序盤は子供...
涙うるうる
初日で東京なのに!?キャラクターに問題でしょう
初日に仕事終わりに見てきました。
ここ東京の映画館だよね??ってくらい空席でビックリしました。
そりゃあこんな絵柄では見ようとは思わないでしょう。
感動したとの声が多く、観てみましたが泣く人がいるのも納得な内容です。
ただやっぱりこの絵柄は…と思って避ける人が多いのも納得します。声優も違和感なく歌も良いのに本当にもったいないと思いました。
製作者や高評価の方には申し訳ありませんが観ていくうちに絵柄が受け付けられなくなり目を閉じて聞いていました。
万人受けが難しいこの絵柄でGOサインを出したスタッフはなにが魅力に感じたのでしょうか?
これでは原作を読んでみようとまでたどり着く方が減りかえって逆効果にも思ってしまいます。
みんな何かに!?
すぐに何かに夢中になっちゃう男子とミステリアスな女の子の友情?ラブストーリー 珍しいミュージカルアニメだった 2人とも栄養失調そうで生活基盤が気がかりだったけど、そのようなことはどうでもいいですよ〜🎶といった感じ 意外にもジュゼッペさん完璧主義で頭脳派、(肉体派も兼ねてるが)超有能なんじゃないかと思った そして自分の過去の無駄なトリツカレにも想いを馳せ、何にもなってないよなぁと反省したりした でも報われることなんて構いっこなしなジュゼッペさんのそのパワーには圧倒される マッチ売りの少女みたいだったのでまさかの?と思ったけどラストホッとした クリスマスシーズンにピッタリなお話しではある。
追記:佐野晶哉 熊本のパワースポットでスプーン曲げやってたよ
車が歌っても良かっただろ
東京国際映画祭にて鑑賞。
これ一般発売前に抽選販売やったタイトルなのでそんなに人気あるのかと思いきや劇場はわりと空席があった。
原作小説は20年前、何度も舞台化されている。ということも後から知った。
一昔前の舞台っぽい雰囲気を感じたのは間違いではなかった。
これはこの絵柄にするならもっとトリッキーなアクションにしてもよかったと思う。
たぶん原作も舞台版も意識してあんまり極端なアレンジができなかったのだと思う。そういう生真面目さみたいのを感じた。
頑張って歌うモーションを描くぞ!という気合は感じるが、歌っている場面よりも車が走るシーンの車の動きのほうが活き活きしているように感じた。おそらく歌う動きより車が走るアクションを描くほうが慣れている。だから車が歌うぐらいのことをやっても良かったのではと思った。
ロープウエイもよく動いていたように感じる。事故の悲しさよりもロープウエイよく動くな!と思ってしまった。
「ジュゼッペ 、君は大馬鹿野郎だ!」みたいなことをネズミが頻繁に言うのだが、このネズミがすごく角ばっていて、お前なんでそんなに角ばってんのよと気になってしょうがない。あの針金みたいな尻尾で刺されるんじゃないかと思ったほど。すごい五角形、もしくは六角形な雰囲気で、そういうデザインなんだ!というこだわりは頭で理解できるものの、ストーリーが普通なのにデザインとがってるな!と感じてしまった。
人間の登場人物も妙にこう、目がとがっている、体のラインがくせある感じで、なんでこの絵柄にトリツカレたのだろうと思った。
おそらく「動かしやすい」「表情をつけやすい」みたいな狙いがあったのではないかと思う。
あのネズミもすげえこっそりヒロインの偵察してて、20年くらい前だと、まあこんな話もあるよなと思えただろうが。今の感覚だと、ジュゼッペは小動物を利用する姑息なストーキング野郎な印象もあった。難しいよなあ。
冬にわざわざ変装して窓にはしごかけて語る、という後半の見せ場も、いやおかしいだろと!思ったが!ヒロインのペチカはホッケー先生のタタンにとりかれていて、とりつかれるぐらいだから変装も見破れなくて。というタイトルにかけているのがポイントなんだろう。しかもこの時のジュゼッペはタタンの霊に実際にとりつかれていたのです、というオチまで用意している。
ここらの展開に感動できる人もいると思う。
鬼滅の刃もチェンソーマンも人気ですけどバイオレンスで血が出過ぎて子供に見せたくないんですよ~なにか他にいいのありますか?みたいな要望にこたえられる映画だと思う。
これくらい「エログロバイオレンスには頼りませんよ!」というプライドを持っている作品も昨今では珍しくなってきたような気もするので、これはこれで貴重。作品全体に誠実さのようなものが漂ってはいる。
ただ、やっぱりこの絵柄にするならもっとトリッキーでアクション満載で面白さや奇抜さを重視しても良かったと思う。風船をとるアクションももっとアグレッシブにできた絵柄に感じる。
でないならもっと可愛い絵柄にして完全なるファミリー向けにふるとか、新海誠的な青春映画風に見せる方法もとれたと思う。予算とか動かしやすさとか色々あるんだろうな。
ミュージカルに挑戦した心意気は良かったと思う。音楽ライブアニメはどんどん出てくるが、国産ミュージカルアニメはまだ少ない印象だから。
俺のクソみたいな感想は無視してこういう映画が好きな人は劇場に足を運んでこういう映画を盛り上げて欲しい。
吹雪とADHDの描写
試写会で鑑賞
アニメーションは詳しくないが
独特にデフォルメされた画風
絵本の世界が動いてる~と時を忘れて
見入ってしまいました
当方 北海道在住
吹雪の描写が かつて無いほどのリアリティ。
冬の建築も、空気から凍えてるのがわかる
ツイスト親分がヤクザなのに善人過ぎ
しかも、エンターテイナーだし。
(前日に北村匠が目をえぐられる映画をみた)
悪人が出てこない
東の国から来たペチカの衣装がSybillaっぽい
今 興行収入を上げている作品群と
あまりにも 毛色が違うが、大丈夫か?
直前に逮捕されたジャニーズグループに所属する
メンバーが 主役の声優~ってことで
ジャニオタが 行くだろうが、それでも 数字的に
不安感が残る。
良い作品で私は好きだが子供向けではないし、
せっかくジャニーズをキャスティングしても
このニッチで暗い作風って…
〜公開されたら数字的なものも追っていこうと思う
今時珍しい、真っ直ぐで気持ちいい恋愛アニメ
東京国際映画祭にて鑑賞。
さすがシンエイアニメーション×高橋渉監督。
クレヨンしんちゃんで培ったものを
オリジナル作品(小説原作)でも遺憾なく発揮しており
小さい子供から親御さんまで家族で楽しめそうな、
かといって決して子供騙しではなく
大人も楽しめる見事なまでの恋愛ミュージカル。
キービジュアルを見た時はなかなか攻めてると思ったが
いざ本編を見てみるとそれは絵本のようで
なによりキャラの動かし方がとても魅力的。
昨今は実写、アニメ問わず
縦横無尽にキャラが動き回る『画面が忙しい作品』が
売れることが多く、それはそれで楽しいのだが
先にも記したように『動く絵本』を思わせる
この作品は今時とても貴重で、
その魅力を久方ぶりに記憶に焼き付けてくれる
心に残る一作でした。
新鮮なアニメ映画でした
試写会で鑑賞しました。冒頭から歌うシーンやジュゼッペの面白さに惹かれつつ、中盤からはストーリーに胸を撃たれました。アニメ映画でミュージカル風のお話というのが新鮮で面白かったし、映像もとても綺麗で素敵な世界観を味わえました。また主演お二人をはじめキャストの皆さんの歌声も素敵でした。
試写会で
ファンファーレ
試写会にて鑑賞。
珍しくど真ん中の席をぶち当てました。
特典はポストカードでした。
絵柄のタッチは独特でしたが、そこは老舗のシンエイ動画の技術力でガンガン動かしまくっていて凄かったです。
ストーリーも何かに虜になる発展形で取り憑かれるといった言葉遊びが巧みで良かったですし、そのトリツカレを経験として活かす展開は細かな伏線回収が光っていて見応えがありました。
興味を持った事に突っ走ってしまう通称・トリツカレ男なジュゼッペが街中で出会ったペチカに取り憑かれてしい…といったラブストーリーでした。
割と早い段階で3段跳びに取り憑かれた経験が活きたり、メガネや探偵業に取り憑かれた経験が明かされたりと丁寧に進んでいくので、キャラクターのポジションや考えが伝わってきますし、基本的に良い人ばかりなのでジュゼッペも自由にやれてるなーと微笑ましく観ることができました。
相棒ポジションのネズミのシエロとチューチュー言いながら過ごしていたら言葉が分かってきたというのもめちゃくちゃ良かったです。
前半の取り憑かれ模様とは打って変わって、ペチカの想い人を探しに行こうとする後半ではテイストがかなり変わるので、ここは予想外の展開がきて驚きました。
ペチカがお世話になった人のタタンという人物を探している中、タタンは既に亡くなっていたということが明かされ、そのタタンになり切って何かできないかとタタンのフリをしながらペチカの元へ行くという行動を取り出すのですが、ここで取り憑かれの意味がより深いものになり、タタンそのものになってしまうという依存に近いものになってしまって苦しんでしまうという展開は意外性がありました。
ここでシエロが大活躍してペチカの元へ行ってくれたりするので頼もしいですし、タタンからの言葉がジュゼッペの元へ届いたりしながらというのもじんわりくるものがあって良かったです。
結果的にハッピーエンドではありますが、どこか心残りのある切なさもあったりとで、心情が分からなくなった箇所が何個かありつつも概ねまとまっていて良かったと思います。
佐野くんの声の演技は未知数でしたが、想像以上にジュゼッペにハマっており、尚且つセリフも聞き取りやすくて上手でした。
歌も上手でしたし、声色の変化もうまかったですしで、今後また他のアニメ作品にも出演機会があるんじゃないかなと思いました。
萌歌さんは未来のミライでその実力を確かに感じていたので文句なしにお上手でした。
柿澤さんは最初、下野さんかな?と思うぐらいナチュラルで、ネズミのシエロの豊かな身振り手振りにベストマッチなお声で最高でした。
今作のキャッチコピーにもあるミュージカル要素でしたが、皆々様歌が上手いだけに、ミュージカルパートは不要だったかなという印象です。
どうしても物語が止まってしまいますし、危機迫る状況で歌い出すと腰を折られたような気がして乗るに乗り切れずな展開が何度かあって惜しかったです。
絵柄で観に行こう!となる人を遠ざけてしまっているのがもったいない気もしますが、意外や意外面白い作品ではあったので良い拾い物でした。
鑑賞日 10/16
鑑賞時間 18:30〜20:08
信じること
作画も歌声も舐めてました
全世代に向けた素晴らしい作品でした。予告を見て子供向けアニメ映画(?)と思いながらも、予定が空いていたので試写にて鑑賞。まず開始直後に耳から幸せの予感が訪れ、時間を追うごとにどこを切り取っても絵になる世界にどっぷり浸り、いつのまにか涙していた。日本アニメ映画といえばスピード感溢れる立体的で精密な、キラキラ光る描写!みたいなイメージが植え付けられてきた私の脳内には、なんだかとにかく新鮮でした。予告を見た印象では個性的な絵柄の、ちょっと歌う子ども向けアニメ映画かしらという印象だったのに、本編体験後には新しい映像体験を味わわせていただいたと合掌。完全に油断していました。ラフで独特な平面的な線画に、抑えめの彩度。その中で感情を示すために有効的に使われる光と雪の表情がとても印象的でした。絵本でよく見られる、線が主張する絵柄故に画面の華美さはないけれど、だからこそ言葉が響く。歌唱においても皆様お見事。恋に臆病なジョゼッペ、純粋なペチカ、情に厚いシエロ、声も歌い方もぴっりだったと思います。もうちょっと皆様の歌声を聴きたかったという欲も生まれ、ジョゼッペ、ペチカ、シエロ、そして親分も、歌う役者さん達のファンになりました。 公開後には必ず家族で見に行きます。中高生の娘と息子にこそ、登場人物たちの熱い感情に想いを寄せて欲しいと思います。もちろん小さなお子様にもおすすめ。この作品の面白さは予告やポスターからはなかなか上手く伝わらないと感じたので投稿してみました。まずは映画館に行って欲しいし、こんなアプローチの日本アニメ映画もあるんだと、世界に広まって欲しいな……
ホッコリします
トリツカレ男
ジュゼッペは左利き
全141件中、121~140件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。






