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先行試写会にて鑑賞。
クリープハイプの主題歌が良すぎてすでに傑作の匂いがしていたんですがその予感はバチコリ的中。
大傑作でした。
歌舞伎町で酔っ払ってた由嘉里が、助けてくれたキャバ嬢のライとの共同生活をスタートしてからの日常を描くという作品です。
最初は遠慮しがちにしていた由嘉里がゴミ屋敷を見た瞬間に肩の荷をおろしてユキと距離が近づいていき、そしてユキと仲の良いホストのアサヒが合流し、バーのマスターのオシンやユキさんとも交流が生まれていくという、一つの出会いがどんどん広がっていくっていうシチュエーションが素敵で尚且つ羨ましかったです。
腐女子である事を気にしながらの生活、同じ腐女子たちが結婚をきっかけに少しずつ離れていってしまってる事を気にしており、由嘉里も婚活をスタートさせるも頓挫しまくりというところがなんとも言えないリアルな感じがしました。
かくいう自分もゴリッゴリのオタクなので、自分の趣味に突っ走ってしまう気持ちは分かりますし、結婚とかの将来とかどうなるんだろうとも考えたりもします。
でも由嘉里のように、自分の推し作品で強烈にエモいシーンがあったら悶え倒してしまう気持ちの分かりみが深すぎました。
だからこそ腐女子だということを告白するシーンって相当大変だったろうなと共感しっぱなしでした。
夜の仕事にはどうしても偏見を持って見てしまう事が正直あるんですが、今作ではキャバ嬢もホストも普段は何気なく生活しているし、あれだけ盛り上げていても何もない時はおとなしかったりと、この人たちも人間なんだなーと思わされる描写が盛り込まれていたのも印象的でした。
作品内の「ミート・イズ・マイン」の作り込みも素晴らしく、少しではありますがアニメーションもあったり、ガッツリ声優さんが命を吹き込んでくれていたり、なんなら二次創作でのカップリングも生まれていたりアニソンまであったりと、一つの作品内で何個も作品が派生して生まれていってるのでイカついな〜と思いました。
後半ではライがスッとどこかへ消えてしまい、ライを探すために動き出す由嘉里が描かれますが、その道中でライの恋人の存在を突き詰めたり、同僚との関係の変化だったり、親との繋がりだったりと多く盛り込まれており、フフッと笑えるシーンもあれば、思わずウルッときてしまうシーンもあったりとで大変でした。
今作は食事シーンがとても印象的で、たくさん食べるシーンが出てきますし、それぞれの食への向き合い方や生き方が食べ方に反映されているらしく、モリモリ食べる由嘉里に対して、細く丁寧に食べるライの対比は面白かったですし、日課になったチョコフラペチーノを嗜む由嘉里とアサヒの様子はザ・友達って感じがして好きですし、300万円の使い道の一つとして高級焼肉を自宅でジュージューするってのも良いですし、オシンやユキさんと一緒にラーメン啜って泣きじゃくってる由嘉里を励ますってところも生きているな〜って感じがするシーンが多くて微笑ましかったです。
終わり方も切ないながらにどこか吹っ切れている感じのシーンがあり、由嘉里の心境の変化が目線から伝わってきたり、SNSとのふれあい方も変わっていたりとで成長とはまた違う変化というものが感じ取れて良かったです。
役者陣はもう皆々様素晴らしく、杉咲花さんのがむしゃらな感じ、南琴奈さんの気だるげな透明感、板垣李光人くんの活発な感じ、蒼井優さんの不思議な魅力、渋川兄貴の頼もしいオネエ感とどこを切り取っても印象的で最高でした。
アドリブも効きまくっていたみたいで空気感も最高でした。
音楽めちゃくちゃ好きだなーと思って観ていましたが、クリープハイプが作っているというところで納得いきましたし、主題歌も切なさの中にある優しさだったり前向きさだったりが反映されていて超好きでした。
松居監督のティーチインも行われ、撮影中の裏話だったりが多く聞けてとても良かったです。
「ミート・イズ・マイン」のアニメ制作から二次創作の制作までやっていて、それがほとんど映ってないという監督の苦労がヒシヒシと伝わってきました。
本当にご苦労様です。
自己肯定をし続けてくれるって点だけでも救いになりますが、どんな人も普通な生活を目指して暮らしているんだなーと思うとほっこりもさせられました。
色々と考えることが多い時期にこの作品を観れて元気づけられました。
また本公開したら観に行こうと思います。
今年ベスト候補です。
鑑賞日 9/29
鑑賞時間 18:00〜20:08
鑑賞方法 試写会にて