ジムの物語
2024年製作/101分/フランス
原題または英題:Le Roman de Jim
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2024年製作/101分/フランス
原題または英題:Le Roman de Jim
特集上映の拾い物というには失礼な、あまりにも素晴らしい傑作。
101分の短い尺に20年数年に渡る物語を織り込んでいるにもかかわらず、それぞれの出来事に余白となる繊細な映像が加えられていて、観る者の心象に寄り添ってくる。サンクロード、リヨン、サンロマンなどの街と美しい自然、静かな夜の佇まいと月、洋上のクジラの跳躍、ライブ会場の活気、写真etc...
映画のリテラシーを知るクリエイター達の仕事ぶりに唸った。さらに日本の労働環境まで解説してくれる。
登場人物のキャラクターが皆いい。シニカルでカッコいい妹オレリー、ダンスが上手く明るく優しい先生オリヴィア、奥さんのフロランスは私が好きな女優のレティシア・ドッシュが演じているが、今回は横っ面を張り倒したくなった。
そしてなんと言っても主人公エメリック。気が優しすぎ、いつも損な役回り。でも育ての子ジムとの信頼関係は何とか保ちたい。そう、「彼らが取る責任だ」。カリム・ルクルーの神演技。
終盤父子は再会するが、簡単には予定調和で終わらない。エメリックのみならず観客をも絶壁の淵に置き去りにする。「いやいやジム、ちょっと待ってくれ!違うねん」思わず、声に出しそうになる。
そして安堵の涙。
是非配給&公開していただき、多くの方に観てほしい。