「新感覚の映画。知らない間に映画の世界観に没入してしまう面白さ」みんな、おしゃべり! はなてんさんの映画レビュー(感想・評価)
新感覚の映画。知らない間に映画の世界観に没入してしまう面白さ
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この映画の見どころは2つあった。
1つ目は「ユーモアセンスの気持ちよさ」。この映画は、ラストでとんでもない展開を迎えるのだが、その場面を観た時に観客が置いてけぼりにならないリアリティラインを構築するため、随所に気持ちの良いユーモアが散りばめられていた。
2つ目は「全ての登場人物に感情移入出来る」という演出力の高さだ。
監督のユーモアセンスを表現する出演者たちのキャラ設定もしっかり練り込まれており、宮崎駿作品のように「端役にも情が湧いてしまう」、そんな上質な作りになっていた。
この映画で一番胸にぐっと来たシーンは、電気屋の主人が息子、駿くんと亡き妻との間で交わされていた交換日記を見る場面だ。
最初の頃は、ちゃんとした言葉で日記を交わしていた2人だが、ろう者の駿くんが絵文字を使い始めたことで、2人はいつしか絵文字だけで日記を綴るようになる。
きっと、想像力を最大限に使いながら「言葉」という枠を超えて自分の気持ちを伝えたり相手の気持ちを思い図ったりする愉しさに2人は気付いたのだろう。
この映画では健常者、障害者、外国人など様々な立場の人達の中で起こるトラブルが描かれる。
そのトラブルの主な原因が「言葉によるコミュニケーションの不足によるものとして描かれていたが、映画を観終わる頃には(言葉を通じて意見を交わすことも大切だが、それよりも大切なのは『相手がそれぞれ胸の中で大切に守っている世界に気付いてあげることなんだ』)という事を気付かせてくれる映画だった。
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