九月と七月の姉妹のレビュー・感想・評価
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Do you remember?
題名は伏せるが、15年ぐらい前のサイコ映画で、実は統合失調症患者の見た世界でした、というオチのがあって、その原作を含めて反則だと叩かれたのだけれども、見ようによってはこの作品も同様で、怒る人いるだろうなあ。
子供の頃に支配的だった人物の呪縛から、成長後も該当人物の死後さえも逃れられないのは個人的体験とも重なるし、音響効果が絶大なのと相まって実にインパクトの強い映画体験であった。
よびかたぁぁぁ~!
10ヶ月違いで生まれた姉妹・姉セプテンバーと妹ジュライ、10ヶ月遅れて生まれたことで姉の支配下にあるジュライ…そんな姉妹の話。
学校では変人扱いで「姉が言ったことに従う」で生活するなか、クラスメイトの男子を気になってしまったジュライ、その気になる男子とLINEでのやり取り、酔った勢いで服を脱いで動画メッセージを送ったところ学校で拡散されて事は起こる…。
冒頭で見せる被写体モデルとなりはしゃぐ姉妹、ふと上げた腕から魅せたセプテンバーのわき毛に釘付け…めっちゃフサフサやん、ここまでフサフサはレア、レアケース。
中盤前後バスタブのなかで剃る足毛、なぜわき毛は剃らん!?の脳内ツッコミ!あ~ハイハイ学校で変人扱いされて可哀想と思うもののホント変人だ、奇声、ミミズ飼育、男の尻を見てはムラついて(笑)
越した先の1階で動画を観て踊りの練習をする姉妹、2階に響く音楽に反応し踊る母にインドの血?!で何か笑え、その勢いで行ったバーで男を持ち帰り…で何で口と手のみ?!(笑)
本作観る前は寝落ちしそうな作品だろうなと思い観に行ったけど、変人家族、変わった世界観、姉妹のわき毛に引き込まれ最後までちゃんと観れた。
繰り返すおこない。
自我が強い姉・セプテンバーと、ぼんやりしていて後先を考えない妹(自分がからかわれている、騙されているのに気付かず好きな人とのメールにテンションが上がりヌード動画を送る)・ジュライ。
ただこの好きな人であるライアンはジュライを気にしていないというか、友人たちに「(からかうのは)やめとけ、不憫だろ」なんて言うし、おそらくこのメールを送ったのも友人たち。後述の復讐時にライアンはいないし。
で、セプテンバーはそんなジュライをからかう・バカにする輩から主に暴力で守るんだけど、「セプテンバーは言う。○○をして」とジュライを支配したり、「妹の世話が得意」と言ったり。
ジュライも特に嫌がらない。力関係がはっきりしている。
中盤、ちょっと衝撃的な展開に。
ジュライのヌード動画は拡散され、セプテンバーが憤怒し、いじめっ子たちにナイフを持ち出す。その後退学(セプテンバーは1年で4回停学になっている)or引っ越し。
その後セプテンバーの支配(「マヨネーズ全部食べて」「首を傷つけて」とか)、度が強くなる。
気付かなかったね、セプテンバーが上記の復讐時に一人死んだとは。つまり引っ越し後のセプテンバーはジュライの幻覚です。
引っ越し先で出会った男の子から、夜のビーチパーティ誘いを受けた際、2人が異なる返答をした際に「ん?」となったものの…。
しかしこの男の子!可哀想!
おそらくジュライに惚れて、愛の言葉を紡いだり頬へ軽くキスなどジャブした後、海辺での性行為の後日。
チョコケーキを持って挨拶へ来たら『テラリウム(ミミズ農場)』を見ちゃうは、「お互い初体験だね」って言ったらジュライにその瞬間何故か「海辺での性行為は姉としたんでしょ」と言われてテラリウムをぶつけられるは…。
ちなみにビーチパーティにてジュライ(か、ジュライの妄想のセプテンバー)は「美人」と言われていたので、学校では『変人姉妹』と言われていたけど顔は良かったのかも。性格は変わっていますがね。
そして結局、ジュライが妄想のセプテンバーに「腹に穴を開けて私の場所を作って」と言われ実行しようとするも、母に見つかり止められる。
母は母で直前にスーパーでとある家族にすれ違いざま『アバズレ』と言われていたので精神高揚状態。
そもそもカウンセリング受けてたみたいだし、元々少し弱い部分があったのかも。
で、ここね。母が「セプテンバーのように話さなくていい」なんて素敵なことを言ってる…と思ったら、今度はセプテンバーのようにジュライを支配するようなセリフを吐くんだよね。
「私のブランドであなたのために服を作る」「友達も彼氏と作って…いや彼氏は駄目、あなたの父はクズよ」「大学に行って成功させる」などなど。
で、それを言われているときのジュライ、満更でもなさそうなんだよね…。
そして外出時。
車に乗ろうとしないジュライを、セプテンバーがしていたように口笛で呼ぶ母。
車内で突如口から液体が垂れたジュライに、慌ててウェットティッシュを取るべく車を停めてトランクを開ける母。
ふらりと外に出て崖の上に行くジュライ。
するとセプテンバーの後頭部が見え、あの口笛が。それにビクッと震えるジュライ……END。
はたしてジュライはセプテンバーに呼ばれるように海に落ちたのか(鏡の中のセプテンバーに「私の代わりに死ぬって約束したのに」と言われていたので、ジュライとしてはセプテンバーが死ぬことになったことに後悔してそう)、
それともジュライはセプテンバーの幻覚から逃げられらないのか…。
大きな感情の動きや揺さぶりはなく、いい意味でぼんやりと眺めるように観る映画だったかなと。
その割には母がバーで知り合った男を連れ込んで口淫される&手淫するシーンが長く、母の心の声もしっかりで焦ったけどな!!
これは家族で観ると気まずい。『クリ……』とがっつり5文字言ってるし、男の射精時、股間は映ってないけど男の顔まで精液飛ぶし。
あと驚いたのは、車椅子に乗っている女の子がいじめの主犯になっているところ。
その子は可愛いし男の子が周りにいて、姫みたいな感じ。
車椅子に乗る子って、いじめ主犯格にならないと思っていたので驚きでした。
思っていた雰囲気とは違ったものの、のんびり観られる映画という感じ。
え、いつから...
え、いつから...と途中から脳みそフル回転になる。
支配された者は支配していた者がいなくなったあとも、支配され続ける。
九月に生まれ、七月にまた生まれ、母親から受け継いだ業に苦しむ子ども。
近しい女同士は特に自他の区別が曖昧になりやすく、一体何が問題なのか、誰が問題なのかあやふやになりやすい。
それは姉妹にも母子にも起こり得る現象だ。
「本当はあなたが...」
この言葉が指しているのは明確にどの場面か、誰もが理解できるように映画は作成されている。
でも、この言葉が適用される場面は、きっと数限りなくあったに違いない。
だからこそ、支配被支配の関係性が生まれたに違いない。
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