配信開始日 2025年6月5日

「奇人変人の主人公が天才的能力を発揮する意外性の面白さを忘れた駄作」ザ・コンサルタント2 徒然草枕さんの映画レビュー(感想・評価)

1.0 奇人変人の主人公が天才的能力を発揮する意外性の面白さを忘れた駄作

2025年6月10日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

サヴァン症候群の天才的会計士兼天才的殺人テクニックの持ち主が、クライアントの不正をあっという間に発見してしまい、逆に殺されかかったり、しかし、派遣された殺し屋をあっという間にあの世に送ったり…という意外性が面白かった前作。
それが好評だったのか、続編が作られて、突然アマプラで見られるようになっていたので、ただちに見た。結論としては、ガッカリのひと言だった。

何故、ダメダメ作になってしまったのか。

第一に、主人公が始まってすぐ、お見合いパーティーに参加するのがダメ。女性たちとの会話がまるで成立しないことで、主人公の奇人変人ぶりとか滑稽さを醸し出すのが狙いなんだろうが、そもそも女性と付き合いたいとか、結婚したいとかと無縁のクールさが消えてしまった。
中盤のバーのシーンでも、カウボーイの恰好で踊るカントリーダンスをして喜んだり、女性をめぐって酔客と大喧嘩を演じたりするが、同様に主人公の個性を帳消しにしてしまった。

第二に、弟が早々に登場し、何やら兄弟愛を深め合うのがダメ。この二人は別に、表面的な仲の良さなんかいらない。むしろ全然話が通じなくて、好みも生き方も全然違う。けれど、最後の最も重要な点で理解し合っている…そこに兄弟愛を感じるのが面白いのに、ごく普通の兄弟が協力するバディ映画になってしまった。

第三に、財務省幹部の依頼で殺人事件の犯人を捜索するのがダメ。主人公は裏社会の人間で、社会の表に出て来られないところがいいのだ。

第四に、主人公のアシスタントに多数の天才児たちのアシスタントが付き、ネットのハッキング技術を駆使して、どんな人物も居場所や経歴も突き止めてしまうのがダメ。主人公があまりに無敵になりすぎた。

第五に、不法入国者ブローカーたちとやたらドンパチやって、弟は何発も銃弾を喰らったりして、危機一髪となるのがダメ。普通のギャング映画と同じではないか。

ベン・アフレックはプロデューサーもやってるのに、この会計士モノの良さが「奇人変人のの天才性」という意外性にあることを忘れてしまったのだろうか? これではもう、次回作が作られることはないだろう。

徒然草枕
ふぅさんのコメント
2025年6月13日

私も全く同感です。一番がっかりしたのは前作ラストの「意外な人物の正体」がただのスパイ映画の有能アシスタント(しかも美人)に書き換えられてしまったこと。あの驚きと感動はどこへ……。

ふぅ