カーテンコールの灯のレビュー・感想・評価
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他の誰かになるチャンスを欲しがっているように見えるとは?
映画の出だしから、どうしたの娘さん(Katherine Mallen Kupferer)、悪態ついて、こんな言葉を使っているなんて。カトリックのセント・メリーという学校に行ってるけど、過去にも悪行があったようだし、今回も先生に手をあげた?からね。うまくいけば、2週間の停学。お母さん(Tara Mallen )とお父さん(Keith Kupferer)も問題がありそうね。特にお父さんはアンガーマネージメントのクラスをとらなきゃ。なんて言う感じで「どうしたの」と思いながらこの映画を見ていた。なぜ家族がメチャメチャなのか?それが徐々に演劇を媒介にして解明されてくる。ロミオとジュリエットの劇にそれぞれが介入することで自分たちを癒していってるんだね。それも監督はこの映画をロミオとジュリエットのストーリーに関連させてあるしね。演劇の場は初めはお父さんにとっての逃げ場であったけど。そして自殺した息子のブライアンのゴーストが終幕 ライトの向こうで見ていて、ロミオ役のお父さんはライトの向こうにほのかに映る息子ブライアンを片目をうっすら開けながら確認できたんだね。きっと息子のブライアンもこの劇を向こうの世界から見ていたんだね。ブライアンにも認められたんだねきっと。
箇条書きにして心に残っているところを感想に:
1)これはこれは苗字が同じなので調べてみたら、この家族三人は本物の家族なんだね。
2)イリノイ州の小さな町に住んでいるミュラー家。お父さん、ダンは建設業で、お母さん、シャロンは学校の先生で娘、デイジーは高校生。娘さんはコメディ調で面白い。お母さんの学校の放課後のドラマクラブの公演を体育館に見にいってる時、生徒たちのことを『誰一人光ってる子はいない』とか声に出していうんだけど、笑っちゃうね。むすめさんはオクラホマという学校のミュージカルに出ていたんだね。それに、ロミオとジュリエットの台詞も暗記してあって、演技も舞台向きで上手だしね。数々の発言も単刀直入だし賢いね。マルチタスクだし、今の高校生っていう感じが十分出ている。
3)ぶっきらぼうのお父さんのダンが助っ人に入らされた、町のコミュニティー演劇グループはダンだけではなく家族ごと救ってくれたね。最初、助っ人に入らされた一日目にダンはみんなの演技を呆れた(両家の争いのシーン)ようにみていたけど、まるでダンの家庭や職場での攻撃的な態度と同じだね。ダンはれに気付いてなく、そうとは思ってはいないようだけど。
4)deposition(裁判に入る前の準備ミーティング)が始まる前に、pre-meeting(depositionに入る前のミーティング)というのがあり、初めは娘さんの学校での態度が問題になっているのかと思ったけど、いやいや違う。お母さんが「困難な状態である。前の家族関係に戻れたら」とかいうから明らかに、お母さんも苦しんでいるから家族全体の問題なんだね。しかし、お父さんはまた逃げる。今度はトイレに。でも、ここで、クリスティーンの名前が出てきて、お兄さんのブライアンとは恋人どうしだったとわかるが、ブライアンはどこにいる??徐々に徐々に皮が剥がれて行って、中核に迫るのは最後のdepositionになる。
5)特に、強烈なシーンは次のpre-meetingで、娘のデイジーが『家に悲しさを表現する安全な場所はない。お父さんが怒鳴り散らすから』と。もちろんお父さんはまた逃げる。困難に直面できないんだね。だから、家族三人でお兄さんのことを話しいたわりあう環境がないんだね。その後、ダンは演劇グループに行って、そこで、「ロミオとジュリエット」の最後のシーンをかえるように頼むが、これはジェークスピアの劇だから変えられないと言われる。ダンはまた怒鳴り散らす。でも、ここで、初めて逃げずに、自分の息子が自殺したという事実を演劇仲間に細々と語る。だから、この演劇の自殺のシーンは彼にとって堪えられなかったんだね。彼にとって、安全で自分の悲しさを表現できる場はここだったんだね。この演劇のグループの場での経験があって本当によかった。このシーンが好きだ。誰にも安心して、自分の気持ちを表現できる場があれば救われるんだよ。リスクテイキングのできない社会は大変だけどここにあったんだね。どこでもいいんだよね。でもさ、本当に自分を吐き出せるところがないとキツイよね。
6)あと最後に、演劇仲間、ディレクター、リタ(Dolly de Leon )の役割はこの家族にとって、また人にとって大きいと思う。リタはプロだったが、片田舎の町に引っ越ししてきて好きな演劇活動を始めたようだ。彼女の言葉から察すると、演劇業界の甘いも酸っぱいも経験しているようだ。だからかもしれないが、舞台を退職したというデイジーに再び、舞台に立つことの喜びを与えたり、自信も持たせてあげたりした。お父さんやお母さんからもらえない復活だ。それに、リタがダンに与えた影響はもっと大きい。なぜ、ダンに声をかけたかというと「It seemed like you might want a chance of being somebody else for while.」と。ダンはしばらくは他の誰かになるチャンスを欲しがっているように見えたということだが、彼女の観察力も然り、私たちの人生において、そう思えることがあるだろうか。よっぽど、辛辣な経験をした時だろうが、たいては、映画や読書という媒体を通じてその「世界に入る」という受け身でしばらく現実を忘れたいと思う。ここでは演ずるという一つの自分から起こす行動を通じて能動的になるである。そして、この行動がイニシアティブになって人間を変えていくことができるということだ。
ブラボー !!!!!! Break a leg
『Ghostlight』なんて言うもんだから、てっきりホラー映画と思ってしまった、おバカなあたし。その意味は...
映画とは関係ないけど...
通勤でバイクを使う
その道は普通の道路でも信号が少なく、スロットルを全開近くまで上げることができる... って、捕まれば即免停ね... なんてね!?
そんなこんなで
その道路は、何故か? 1ヵ月ほど前からある市の区間だけ道路工事をしている。だから、道路工事者の彼らには何の責任はないけどね、本作のように作業者に対して悪態も付きたくもなるって、映画の導入としたら最高ねってか? ちなみに大きな湖を横目で見ながらの片道55キロってか?
40分過ぎに思わす拍手を送っちゃった... ほんとに拍手... 年を召された女性を馬鹿にするな!!!!! 少し興奮しちゃいました。(o^^o)エヘッ💕
ドラマセラピー
とある悲しみで心がバラバラになっていた家族の父親が、ひょんなことからシェークスピア劇の『ロミオとジュリエット』に出る事となり…
演劇やドラマを用いて心の問題や精神的ストレスを解決する治療法「ドラマセラピー」が裏テーマ。そもそも脚本を担当したケリー・オサリバンが、2020年の新型コロナウィルスによるロックダウンで演技活動がストップしてしまった際に観たミュージカル『ロミオとジュリエット』の予告編に想を得たとの事で、彼女の体験がそのまま活かされている。
家族に起こった悲しみの真相と、『ロミオとジュリエット』のリンクが上手い。有名な俳優は出ておらず、製作体制も小規模なインディペンデント作品だが、掘り出し物の一本。
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