罪人たちのレビュー・感想・評価
全119件中、41~60件目を表示
社会派ホラーミュージック映画
私なりの持論として「音楽映画(ミュージカルはまた別)にハズレなし」というのがあるのですが、本作品もまさにその例に漏れずの一級品の音楽映画でした。
他の方々のレビューでも皆様書かれておられますが、過去〜未来(現代ですが)の様々なジャンルの音楽が融合して演奏されていくシーンは圧巻の一言です。ブラックミュージック好きな私としては、もう体が震えるぐらい感動もののこれまで見たことのないようなシーンでした。
もちろん、音楽以外の側面でも、例えば人種差別が色濃く残る南部の田舎町を舞台にした歴史的な問題や、そこで成り上がろうとする主人公たちの振る舞いや思いなども、かなり重厚に緊迫感を持って描かれていたと思います。
音楽、歴史問題、人種問題、これだけでも1本の映画として十二分に成立しているのですが、そこへ、これもホラー映画の定番ジャンルである「ヴァンパイア」ものの要素を絡めてくるなど、その着想が素晴らしい。
音楽を奏でるとこの世の物でない(本作品の場合はヴァンパイアですが)者が現れ、人間を襲う、という。音楽って、楽しかったり、癒されたりするものなのに、恐怖を味わわされることになるなど、思いもよりませんもんね。
しかし、ヴァンパイアたちが音楽を奏でて、踊っているのを見ると、なにかしら恐怖も和らぐような気にさせられるのも、やはり音楽の「力」なのでしょうか。
これまで数多く「ヴァンパイア」映画が作られてきているのに、まだまだこのように新機軸を生み出せるジャンルであることにあらためて脱帽ですし、映画作家さんたちにとっても取り組んでみたい「ネタ」なんでしょうかね?
かく言う私自身も正直「またヴァンパイアか」て思いながらも、ついつい見に行ってしまうので、見る側にもヴァンパイアものに反応してしまうなにかしらのDNAでも刷り込まれているのかな?いや、私自身だけか⋯
とにかく、また新たな映画体験をさせてもらってライアン・クーグラー監督には感謝です。
表へ出ろ!か入って来いよ!か
今年イチというかこれまで観たことのない傑作ブルースホラーミュージカルで監督のライアン・クーグラーが悪魔に魂を売ったことはほぼ間違いなくて観なければ映画人生にとって大きな損失であろう、「ババンババンバンバンパイア」を観ている場合では無いのだ。冒頭ちょっと不穏な雰囲気で教会に入って行く牧師の息子サミー(マイルズ・ケイトン)が血みどろでギターのネックを持っており音で驚かせる系の悪しきB級ホラーで始まるのだが、そこから1932年のミシシッピが舞台のめくるめくブルースミュージカルが展開する。サミーがチャーリー・パットンの(と言ってるけれど疑わしい)ドブロ・ギターでご機嫌なブルーズを聞かせてくれおそらくモデルはクロスロードで悪魔と取引したロバート・ジョンソンでもうギターは捨てろという親父の忠告に逆らってシカゴに流れてバディ・ガイになったというのだからたまらない。社会の底辺にいるプランテーションの黒人労働者がアイルランド移民のバンパイアによって救済されるのか?というかなり突っ込んだ悩ましいテーマを扱っており、彼ら(バンパイアチーム)の数が増えていくにつれ、くどくど説教を聞かされるにつれ、「もう噛んでもらって楽になれば?」と思ってしまうのだから恐ろしく、立場の違いは双子のスモーク/スタック兄弟と同様で表裏一体。バンパイア恐怖パニックの頂点で泥酔して吐いた男を間違えて店の外に追い出したり、バンパイアかどうかニンニクを一人づつ順番に齧るテストで笑いを取る姿勢が「カメラを止めるな!」をも彷彿とさせ、後半はKKK団との大戦闘もありサービス満点なのだが、何といってもブルース酒場で1932年と現代の音楽シーンが入り乱れるワンショット風長回しが見事!アーメン。
面白かったよ。
でも事前に聞いてたような『こんなホラー観たことない!』とか『ホラー映画の新形態!!』とか『音楽が素晴らしすぎる!!!』には些か🤔🤔🤔といった感じ。
ホラーはしっかりホラーだったし、なんならジャンプスケア多めだった気がする。ホラー苦手マンとしてはやめてもらいたい限り。特に音で聴かせたいという明確な目的があるならなおさらお耳をふさぎたくなる時間はやめてほしい……
新形態!と言ってた人のその理由が思い出せないから何ともだけどアメリカ発祥のゾンビでなくバンパイアを選んだから?とか??
自分にとって唯一目新しかったのはセックスシーンを音楽と合わせるとこんなにも素敵な表現になるのかー、ということ。(音楽なしではちょっと下衆い感じもした)
途中に時空が飛んで現代のクラブだかパーリーナイな描写があったけど、最後までそれがなんでかわからなったー💦とゎいぇ、配信でお家観賞することはないだろうから、そういった意味では劇場かつIMAXで観られたのは良き経験☺
余韻に浸る映画
"悪魔と共に踊り狂い、夜明けまで生き残れ。"
がコピーの本作。
「ヴァンパイアもの」であることに少し懸念はありつつもIMAXでブルース聴ければ良いかなというのが主目的で鑑賞。海外での評価がすごく高いことは知っていたが、ジム・ジャームッシュの描いたゾンビ作品のようななんとも言えない作品なのかなとあまり期待もせずに観れたからか、いい意味で「やられた!」と感じた作品。
前半の綿花プランテーションやKKKの描写で「あぁ、この作品は1900年代前半のアメリカにおける黒人差別とその中で教会や音楽を拠り所として黒人たちが生きる姿を題材とした社会風刺的な作品なんだ」と気づき、「ブルースが生まれた背景」も仄かに想像させる。そうした硬派なイメージから一転、中盤の酒場での狂瀾シーンは時代もジャンルも超えた音楽と踊りの大融合が大迫力で描かれ、そこにヴァンパイアも加わり、監督のイマジネーションの世界を堪能。もちろん、奏でられるブルースもカッコよく、思わず足で奏でてしまう。
社会風刺的な要素と
奥深い
様々な側面を持つ豊かな映画で感想がたくさん溢れてくる。
そんな感想を垂れ流すとまとまりがないので無理矢理テーマを絞るとすると、
二重化がキーワードの作品なのではないかと思う。
劇中に出てくる、ある招かれざる客。彼らが画面に現れるとき、客をもてなすべきホストという登場人物の視点があり、ホストと客を眺める映画の観客としての俯瞰した立場がある。この二つの視点によって、招かれざる客というものを立体的に見ることが可能になるーーこれは一例だが、この作品はそのような二重化をいくつも駆使しているのではないか。二重化された世界の中では観客はどちらの側にも移動して見ても良い、そのような自由さを自分は観ていて感じることができた。
虐げられた人々の音楽が時空を超えてユナイトするあのパーティシーンが...
超常音楽合戦
前半のドラマ部分がとてもきめ細かく丁寧に描かれています。
シカゴで一旗上げて(実は犯罪に手を染めて)帰郷した双子のブラザーフッド、地元での酒場開業準備の高揚感、追いかけてきた恋人や愛する妻との恋の行方、二人を慕う従兄弟サミーの成長譚、根深い人種差別、キリスト教的宗教感や南部独特の風習などなど。
そして、ブルースを始めとする音楽シーンの素晴らしさ!特にサミーのギター演奏を皮切りに、時空やジャンルを超越した音とダンスのセッションが、想像を軽やかに裏切っていきます。このシーンは圧巻。
さてさて後半のホラーセクションです。確かに付け足し感は否めず、減点対象になってしまいますが、バンパイアルールの律儀な踏襲など、これはこれで工夫はされていたと思います。まあ前後半セットで本作の混濁した魅力と言えるのではないでょうか。
「トゥルー・グリット」のヘイリー・スタインフェルド、成長してすっかりイイ女になりましたね。
変な映画
端的に言って「変な映画」。
ホラーだし音楽映画だし人種差別を描いた映画なんだけど、それが一本に融合し切れてない。
お湯と水の蛇口をひねったのに、出てくるのはぬるま湯じゃなく、熱いお湯と冷たい水がそれぞれ別々に主張してるみたいな。
でも、それが逆に「味」になっていて、この映画の「なんか見たことない」という感覚に繋がっていく。
だから、これをあまり面白いないと感じる人の気持ちはすごく理解できる。
そんな、ギリギリのバランスにある作品だった。
私はそのバランスの不安定さが楽しかった。
まだまだ南部にはプランテーション農場の小作人という奴隷同然の生活が残っており、アフリカ系アメリカ人たちは劣悪な環境で暮らしている時代。
彼らに自由はなく、お金だって農場関係者の間でしか使えない、木でできたコインを持ち歩く生活。
やって来たパンパイアたちは彼らに「俺たちの仲間になれ。こっちの世界の方が楽しいぞ」とうそぶくが、それは決して間違ってはいないのが現実だ。
主人公のスモークとスタックは、シカゴのマフィアから金と酒と武器をせしめてこの故郷に戻り、苦しい生活を送る仲間たちの憩いの場所を作ってビジネスをしようと考える。
しかし、自分たちの自由になる金なんて与えられていない小作人達の窮状によって、彼らの商売もままならないことを知る。
しかし、酒場には音楽と踊りが溢れ、サミーの歌声は時空を超越して、過去や未來から世界中の音楽パフォーマンスを呼び込むまでの力を発揮する。
エンドロールで、ブルースシンガーとして高齢ながらもステージに立ち続ける主人公サミーの将来が描かれ、そこにバンパイアとなって永遠の命を手に入れたスタックとメアリーが当時と変わらぬ姿で登場。
何十年も前、人間としての命を失ったあの惨劇の夜を振り返って、スタックは
「あの夜までの数時間、間違いなく俺たちは幸せだった。そこには兄貴もいたし、何より自由があった。」と邂逅する。
危険を覚悟し、それでも自分たちや故郷の仲間のために新たな一歩を踏み出そうとしたスモークとスタックの姿を見て、サミーのシンガーとしての姿がある。
あの日、真っ青な空の下、綿花畑の中を進む彼らの車の前には、どこまでもまっすぐの道が続いていた。
その希望に満ちた車中でサミーが披露したギターと歌声を見初めて、スタックは彼の背中を押したんだ。
そんな、劇中にちりばめられた過去の彼らの苦しみや喜びが、音楽と一緒にフラッシュバックする。
私のレビューも、この映画だけを観ての、というよりは、その後いろいろな識者の記事や評論を聞いて補完した後の受け売りだったりするワケで、偉そうに言える立場ではないが、予備知識はできるだけ入れず、スクリーン上に次々と巻き起こる展開に振り回される楽しさを味わって欲しい。
ネタバレを何処かで見てしまったので予想通りの展開ではありましたが、...
前編と後編で全くジャンルの違うミュージカルホラー爆誕!!
対立させるもの
罪人たち(映画の記憶2025/6/27)
南部アメリカ的なノリでお届けする吸血鬼ものという謎テイストに惹かれて観に行ったわけで。フロム・ダスク・ティル・ドーン的な感じかなと思ったが違う感じだった。歌がキーワードだったかな。文化的な意味で黒人さんだいたいこういう雰囲気の映画好きだとは思う。
なので、吸血鬼=きれいな女性の生き血を啜る的な先入観ある方が観ると違和感しかないからお気をつけを。
ブルースがなきゃロッテントマト高評価なかった説。ストーリーの主軸だから外せんけど。内容的にはありきたり感はあるがストーリー的には分かりやすく良かったんじゃない?
ただ納得いかなかったのが最初のくだりよ。再登場あってもいいんじゃないかw?
一見普通なんだがパーティカルワールドの使い方が上手いなと思った技術的なとこ。Trapcode使ってそうでもあったが。光を上手く使うのも相乗効果的にはあったかもね。蛍光灯的な青系光を消して、暖色系に振ってた感じだったし。ジョークもありだが、英語分からん人はポカンとするかもね。実際日本語字幕で笑ってた日本人と英語圏外人さんの笑うタイムラグがある意味面白かったが。
(個人的評価6点/10点中)
設定は素晴らしかったが個人的肝心なシーンがう〜ん…という
大変期待していたのだが、真昼間にも関わらず仕事の疲れが溜まってるのか辛抱効かずうつらうつら眠気が襲う。これは自分の体力の問題かと思ったがいや単純にそんなに面白くないのでは、というのが後半ハッキリする。
設定も狙いもメチャ面白い。ただこれ演出も音楽も違う人で観たかった!という感じ。
南部、悪魔に魂を売ったとなれば、ウォルター・ヒル、ライ・クーダー、ラルフ・マッチオの『クロスロード』なんだけど、同じ座組かジョン・カーペンターでもアラン・パーカーでもいいんだけど、およそ80年代のレジェンドのどちらさんかで観たかった。そのくらいホラーとアクションパートがイマイチで、実は音楽も(これは好み)。。建物の入口で呼ぶの呼ばれるの入れるの入れないこやってるのはまあ笑ってみてたし、南部の暗闇から吸血鬼たちの歌声が聞こえるとかもいいし、最後のKKKにぶっ放して皆殺しというのも胸がすく思いなのだけど脅かしが音のデカさの演出中心でとても残念な感じ。この監督はあまりそっち系が好きではないクレバーなお人なのかと思った。
でもアイデアというか設定はとても面白いのでどなたかリメイクしたら、と思った。
お前も鬼にならないか杏寿郎
2025年劇場鑑賞188本目。
エンドロール後映像有り。
最初の役者だけのクレジットの後にもあって、そこはがっつり本編なのでそれ観ずに帰った人何人かいてあーららという感じでした。
酒場に吸血鬼が襲ってくるという、黒人版フロム・ダスク・ティル・ドーン(未見ですが)なんですが、前振りがなげぇ・・・。いや、全く必要がないことはないんです。後の酒場での人間関係とか、大事なことではあるのですが、結局観たいのそこじゃない・・・。
それはそれとして、吸血鬼のジレンマと勝手に自分の中で名前をつけているのですが、噛まれた人が全員吸血鬼になるのなら全員なってしまったらなってしまったでそれはもう元の人間のコミュニティと同じではないのだろうか、ただそうなるとご飯どうする?という問題が出てくるわけです。鬼滅の刃の鬼は全員を鬼にするわけではなく、食べきって殺してしまうのがほとんどなのが問題なのと、肝心の親玉がちょっと気に入らないとすぐ殺しちゃうので鬼になるメリットがめちゃくちゃ低いのですが、こっちはそこまでアホな親玉でもないみたいなので吸血鬼になったらなったでいい気もしちゃうのが見どころでした。そこら辺のやり取りの方がもっと見たかったなぁ。
招かれざる者とは・・・なんと
1932年、アメリカ南部の田舎町に双子の兄弟スモークとスタックが戻ってきた。2人はシカゴで金を稼ぎ、故郷のこの地で、小屋を買い取り、当時禁止されていた酒や音楽を聴かせる黒人向けダンスホールを開店した。開店初日の夜、多くの客が来店し、熱狂していたが、そこに現れた3人の白人が・・・さてどうなる、という話。
死んだはずの人が生きてたり、空中を飛んだりと、ゾンビ映画だったのかと思ったら、吸血鬼の話だったとは、びっくりした。
泥棒に対して容赦なく銃を向け発砲するなど、驚かされるシーンが多かった。
ブルース、アイリッシュ、など良い音楽は聴きごたえあった。
主人公の双子をマイケル・ジョーダンが1人2役で演じてたので、兄と弟の見分けがつかなかったし、ま、どっちでも良かったけど。
メアリー役のヘイリー・スタインフェルドは可愛かった。
全119件中、41~60件目を表示















