罪人たちのレビュー・感想・評価
全97件中、1~20件目を表示
ジャンル分け不能の名作。
新感覚
換骨奪胎の傑作
換骨奪胎(かんこつだったい)という言葉がある。
原作のアイディアを取り入れながら、
オリジナル性を加え新しい作品を生み出す、
という道教の言葉なのだが
本作はまさに換骨奪胎の
アプローチによって生まれた作品である。
本作の生みの親クーグラー監督は
影響を受けた作品の一つとして
「フロム・ダスク・ティル・ドーン」(1996年)を
挙げている。
作品が途中で突然、
ヴァンパイア作品にシフトチェンジする、
という唯一無二のような独創性的な構造を用いて
29年の時を超えて
「フロム・ダスク・ティル・ドーン」が
到達できなかった
人間ドラマの高みを見せてくれた本作。
クーグラー監督といえば「ロッキー」(1976)を
「クリード チャンプを継ぐ男」(2015)に進化させた
換骨奪胎のスペシャリストでもある。
今回は、いかにしてB級映画の名作として知られる
「フロム・ダスク・ティル・ドーン」を
換骨奪胎して「罪人たち」を
傑作として作り上げたのか?
その巧みな手腕とアプローチを
紐解いて分析していきたい。
続きはnoteにて。
【note、辻井宏仁】で検索お願いします🔍
音楽に敵も味方も関係ない
ブルースは悪魔の歌
コーラ飲むと骨が溶ける。TVゲームばっかしてると脳が溶ける。の様な俗説(言い掛かり)のひとつにあった「ブルースなんて悪魔の歌やから呪われるぞ」は当時ホントに言われていたらしい。そんな所に着想を得たのかは分からないが、(私の中の)豊作な今年の舶来映画ラインナップ群をブチ抜いて飛び込んで来やがりましたコイツ。まさに悪魔。666点です(5点満点)。
ひとによっては話が転調するまでが冗長に感じる人もいらっしゃるかとは思いますが、エンドロールですから。この映画はエンドロール。何も触れずに打ち震えて欲しいから何も触れないけども、「エンドロールですから!」は力強く伝えたい。
ダンスパートが最高の映画は最高に違いない。そう信じてやまない人間のデカい独り言でございました。観て。
真夏の夜のジャズ大名は死霊の盆踊り⁈70mm
タイトルはテキトーにつけましたw
3本の映画、
気になる人は検索してくださいね
昨晩のIMAXでみた作品は
大コーフンで余韻醒めやらぬまま
迎えた朝にこんなつまらぬレビューを書いております
コロナ禍で皆が疑心暗鬼になっていながら
人と人とのつながりがいつも以上に恋しくなっていた
ヒューマンディスタンス地獄
それを乗り越え、
こんな素敵な、かつてない映画の闇鍋ミクスチャー状態で世に出した
父と息子、兄弟、おじと甥っ子、近所付き合い、幼なじみ、夫婦
腐れ縁の仲間たちを描いて
毎回、生きとし生けるものを
信じて憎んで許してしまう
ライアンクーグラー監督の父性、慈悲に
ますます絆されてしまいました
大傑作です、来年のアカデミー作品賞ノミネート間違いなし!!!ってことで
芸のためなら悪魔に魂を
ホラーは守備範囲外なのでスルー予定だったが、漏れ聞こえてきる評判が良いので急遽鑑賞。いや観ておいて良かった。ホラーでありながら音楽映画、人種差別プロテスト映画、かつ芸能映画というてんこ盛り作品でおナカいっぱい楽しめた。
前半の、酒場のスタッフを集めていくプロセスは七人の侍っぽくもあり、また登場人物たちの関係や背景がさりげなく説明され上手い作り。
中盤からの急展開は、監督が認めるようにタランティーノ&クルーニーのあの怪作リスペクト。熱いジャズに合わせて「呼び寄せられたモノたち」が踊り狂うシーンは白眉。
最悪の夜が明けてお約束のシーンで終わるかと思いきや、さらにそこからひと波乱あり、最後は鬼滅の煉獄さんと鬼の問答みたく終わる余韻の残るエンディングでした。「国宝」にもそんなセリフがあったが芸を志す人間にあの誘いは抗い難い。
ところでラスボス初登場シーンは結構明るかったけどあれはセーフなのか?(煙は出てはいたが)
これぞ映画!映画はこうありたいね
職場の同僚(女性)が激推薦。
彼女曰わく“検索して、あらすじなどをしらべずに、なんの情報もなしに見たほうがいいですよ”
素直な私は、それに従った。ただ、上映館が少なくて、私の住んでいるところでは、上映されないので、船にのって神戸元町まででかけていって鑑賞した。
それだけの価値のある映画だと思います。
とにかく盛沢山。それで、置いてきぼりをくらうわけでなく、ちゃんと楽しめて、ビックリして、腰を抜かし、すばらしい音楽に心が躍るのである。
初めは、タランティーノのジャンゴのような理不尽な白人社会に戦いを挑む不屈の黒人を描いた作品かなと思っていると、途中から、ジャズ・ブルース系のミュージカル的な映画だだわと頭を整理すると、いやいやこれはホラーだ。そして吸血鬼との戦いとなり、そこへ、音楽が、しっかりとまとわりつき、終盤は大混乱スマッシュブラザーズ。これで終わりとおもいきあ、エンドロールのあとまだ続くとは…。
もうおなか一杯です。大満足の2時間あまり。
それにしても、なぜアメリカの黒人がキリスト教徒であるのだろうと思う。自分たちの理不尽なルーツはキリスト教を背景とした白人社会にあるのに…。それでは白人の思う壺ではないだろうか。
やはりスピリチュアルなところと結びついてしまうのだろか。悪魔とか吸血鬼とか、それに対応するために神の存在を欲っして、手直にあったキリスト教ということになるのかな?それとも黒人って基本的にお人好しな人種かもしれない。
アメリカの原住民、インデアンは、白人に従属することを嫌って、ほぼ全滅してしまったのとは対照的すぎると思ってしまう。
いやいや、ただ私の、黒人に対する知識が乏しすぎるのかもしれない。黒人とひとくくりで考えてしまうが、その人種的、民族的構成は究めは複雑で、ひとまとめに考えることがそもそも間違っているのだろうと思い直した。
黄色人種とひとくくりで考えることなどできないことを、私たち黄色人種はよくわかっているのだから。
過剰な解釈癖は控えめに
『フルートベール駅で』『ブラックパンサー』『クリード』と、様々な分野にわたって黒人視点のアメリカを描き続けて来たライアン・クーグラー監督の予想を覆す一作です。1930年代のアメリカ南部の田舎町でブルースを聞かせるバーを開こうとする黒人兄弟を巡る物語です。如何にもクーグラー監督らしい設えです。
今回は珍しくIMAXで観たのですが、ブルースもアイリッシュ・ダンスも映像・音響共に素晴らしく音楽映画としては最高でした。IMAXの価値ありです。
でも、中盤からの予想もしなかった転調で、
「えっ?これはそういう映画なの?」
「ライアン・クーグラー監督なんだからこれは黒人の歴史のメタファーなの?」
と余計な詮索や解釈が挟まってしまい、その当惑の分だけ僕の中で作品に隙間が生じ、物語のスピードが落ちてしまいました。他の監督ならば、もっと気楽に楽しめたのかも知れないなぁ。映画を観る時に、過剰な解釈指向は控えねばならないな。
でも、本作は出来るだけ大きな映画館で観る価値大の作品です。
悪魔も召喚する音楽とは
ホラー映画史に残る傑作
ライアン・クーグラーが吸血鬼映画を撮ったと聞いて、並のホラー映画では終わらないと予想していたが、その予想を超えた傑作ホラー映画が誕生した。アカデミー作品賞ノミネートは確実だろう。
アメリカは多様性を謳いながら、あくまでも白人中心の文化。その中で生きる黒人は虐待されるか、白人文化に取り込まれて生きている。ライアン・クーグラーの作品は黒人としてのルーツやプライドを追求しているが、この作品は更にそれを推し進めている。
吸血鬼というモンスターを通して社会性メッセージが強い映画になっているが、ホラーとしても充分に怖く、純粋なエンターテインメントとして楽しめる作品になっているのが良い。
ただ残酷描写はやや控え目なので見易いのは良いが、エロチックな描写は直接的で多少見る人を選ぶかもしれない。
映画ファン、映画が好きと言う人は見逃してはいけないが、この映画はウルトラパナビジョン70で撮影されてるらしいのに、日本ではその上映設備の映画館がないのは残念です。
最高の1日。
見終わってから映画の内容が忘れられないし、見に行った人たちとどこが素晴らしかったか数時間は喋っていられるレベルの傑作。サントラを聴くと感動が蘇って活力が沸いてくる。
一度書いたレビューが長すぎて誤ってデータが消えて悔しいので、箇条書きで思いつくことを。
1️⃣音楽が最高。ブルースにケルティック、エモすぎる。
2️⃣双子の関係が最高。タバコを分け合うシーン、蛇を殺すシーン、最後のセリフ、どれをとっても双子最高。
3️⃣牧師の息子の声最高。少年のような外見からあの低音。腹に響く。
4️⃣バンパイア最高。いい意味で想像を裏切る。彼は準主役だと思う。不思議なことにバンパイアがこの映画の救いのない世界観の唯一の光になっている。
5️⃣ストーリー構成が最高。前半、後半、ラストの持っていき方がすごい。
6️⃣登場人物が最高。双子の想い人。グロッサリーのクールな店主夫婦。牧師の息子が憧れるシンガー。ブルースの先輩。用心棒。ひとりひとりに背景があり、クールで、ちょうと滑稽で、ひと時しか一緒にいなかったのに忘れられなくなる。
たった1日、されど人生で最高だった1日を堪能できる。
サウンドトラックも素晴らしいサバイバルホラー!
1930年代のアメリカ南部の田舎町を舞台に、ブルースミュージックを軸にしながら、ある一夜の超常的な惨劇を描いているホラー作品。ですが……これは間違いなくメタファー要素が散りばめられた作品だよねー。
キャッチコピーが「悪魔と共に踊り狂い、夜明けまで生き残れ。」ってあるけど、まさかそのままの意味じゃないだろう。
原題も邦題も、共に「罪人(つみびと)たち」となっており、宗教的な意味合いが色濃く、ブルースの成り立ちから鑑みるに、労働搾取、人種差別の暗喩を含んでいるなーと、色々と考えさせられつつも、勉強不足なのでお手上げ。詳しい方のレビューを拝見させていただき、補完しておこう。宿題。
まーメタファーの解釈は傍に置いておいても、純粋にホラー作品として、ずば抜けて面白い作品でした。中盤からは「招くなよー、招いたらあかんよー」とドキドキワクワクしちゃって観るのも正解です。
今年になって初めてサウンドトラックを聴きたいと思った作品。サブスクであるのでオススメ!
社会派ホラーミュージック映画
私なりの持論として「音楽映画(ミュージカルはまた別)にハズレなし」というのがあるのですが、本作品もまさにその例に漏れずの一級品の音楽映画でした。
他の方々のレビューでも皆様書かれておられますが、過去〜未来(現代ですが)の様々なジャンルの音楽が融合して演奏されていくシーンは圧巻の一言です。ブラックミュージック好きな私としては、もう体が震えるぐらい感動もののこれまで見たことのないようなシーンでした。
もちろん、音楽以外の側面でも、例えば人種差別が色濃く残る南部の田舎町を舞台にした歴史的な問題や、そこで成り上がろうとする主人公たちの振る舞いや思いなども、かなり重厚に緊迫感を持って描かれていたと思います。
音楽、歴史問題、人種問題、これだけでも1本の映画として十二分に成立しているのですが、そこへ、これもホラー映画の定番ジャンルである「ヴァンパイア」ものの要素を絡めてくるなど、その着想が素晴らしい。
音楽を奏でるとこの世の物でない(本作品の場合はヴァンパイアですが)者が現れ、人間を襲う、という。音楽って、楽しかったり、癒されたりするものなのに、恐怖を味わわされることになるなど、思いもよりませんもんね。
しかし、ヴァンパイアたちが音楽を奏でて、踊っているのを見ると、なにかしら恐怖も和らぐような気にさせられるのも、やはり音楽の「力」なのでしょうか。
これまで数多く「ヴァンパイア」映画が作られてきているのに、まだまだこのように新機軸を生み出せるジャンルであることにあらためて脱帽ですし、映画作家さんたちにとっても取り組んでみたい「ネタ」なんでしょうかね?
かく言う私自身も正直「またヴァンパイアか」て思いながらも、ついつい見に行ってしまうので、見る側にもヴァンパイアものに反応してしまうなにかしらのDNAでも刷り込まれているのかな?いや、私自身だけか⋯
とにかく、また新たな映画体験をさせてもらってライアン・クーグラー監督には感謝です。
表へ出ろ!か入って来いよ!か
今年イチというかこれまで観たことのない傑作ブルースホラーミュージカルで監督のライアン・クーグラーが悪魔に魂を売ったことはほぼ間違いなくて観なければ映画人生にとって大きな損失であろう、「ババンババンバンバンパイア」を観ている場合では無いのだ。冒頭ちょっと不穏な雰囲気で教会に入って行く牧師の息子サミー(マイルズ・ケイトン)が血みどろでギターのネックを持っており音で驚かせる系の悪しきB級ホラーで始まるのだが、そこから1932年のミシシッピが舞台のめくるめくブルースミュージカルが展開する。サミーがチャーリー・パットンの(と言ってるけれど疑わしい)ドブロ・ギターでご機嫌なブルーズを聞かせてくれおそらくモデルはクロスロードで悪魔と取引したロバート・ジョンソンでもうギターは捨てろという親父の忠告に逆らってシカゴに流れてバディ・ガイになったというのだからたまらない。社会の底辺にいるプランテーションの黒人労働者がアイルランド移民のバンパイアによって救済されるのか?というかなり突っ込んだ悩ましいテーマを扱っており、彼ら(バンパイアチーム)の数が増えていくにつれ、くどくど説教を聞かされるにつれ、「もう噛んでもらって楽になれば?」と思ってしまうのだから恐ろしく、立場の違いは双子のスモーク/スタック兄弟と同様で表裏一体。バンパイア恐怖パニックの頂点で泥酔して吐いた男を間違えて店の外に追い出したり、バンパイアかどうかニンニクを一人づつ順番に齧るテストで笑いを取る姿勢が「カメラを止めるな!」をも彷彿とさせ、後半はKKK団との大戦闘もありサービス満点なのだが、何といってもブルース酒場で1932年と現代の音楽シーンが入り乱れるワンショット風長回しが見事!アーメン。
全97件中、1~20件目を表示
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