罪人たちのレビュー・感想・評価
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歌と欲と暴力の物語
序盤、ダレてしまいました。
鑑賞前の想像では、まずは「フロム・ダスク・ティル・ドーン」のようなパニックアクションを妄想していました。
事実、物語の導入から恐怖感を植え付ける演出が有ったので、予想通りのパニックやグロさを覚悟して鑑賞したところ……小一時間でダレてしまいました。
導入のサミーの緊張感ある映像から、その本題到達までが……長過ぎた。
前半小一時間の前置き物語も長過ぎました。
それでも、物語の根幹に深く繋がりがあるのかなと、想像して観続けた結果、あの小一時間の前置きは、相当量カットしてもいいのではと思いました。
くどいようですが、導入の「見せ方」からして、多くの人がパニックとアクションを想像せざるを得なかったと思うのですが、小一時間の起句が、普通のロードムービーのような、ある意味安定した緩やかな語りだった。
それ自体は別にいいのだが、本作をバンパイアとのアクションを想像していた限りでは、あの小一時間の導入は、個人的に受け入れられなかった。
途中バンパイアが進攻してくる映像を入れていたため、「戦いはいつ始まるの?」と、ウズウズしてしまった人も少なくないのでは。
結局、本格的なバトルは、なんと終盤の15分程。
これには、ド肝も抜かれた。
この映画は、アクションではなくロードムービーの様な、音楽と人種問題と酒と女の映画に少しホラー要素を盛り込んだ作品でした。
映画のタイトル「罪人たち」には当てはまる描写は多く有った。
主人公の兄弟自体、当時のシカゴから下ってきた有名な悪党だし、青少年の不倫、セックス、酒、暴力、差別、音楽(これも罪として描いていると感じた)、その巣窟に襲いかかる悪の象徴。
KKKとの確執やネタ明かしや争いに関しては、もう、何がなんだかの目線で勢いで見るしかなかった。
バンパイアとの争いとは直接関係ないし、物語の本筋と捉えるには、あまりに中途半端な存在感だった。
この映画、おそらく欲との攻防、差別問題、人間愛、それを紡ぐ音楽(ブルース)を見せたかったのだろうと考察する。
バンパイアは取り入れなくても良かったのでは。
そもそもバンパイアの設定や見せ方自体が中途半端で留まっているし、明らかにアクションやホラー要素は二の次になっている。
途中で度々退散するバンパイアとか、何で家に入れないのかと、また誰でもいいから入室を許可しただけで何で入れるのかとか、何でサミー(音楽)がバンパイアにとって重要な要素なのか、説明がまったくなかった。
バンパイアとの最後の戦いの幕開けも、何とも無理矢理感(中国人女性の我慢が出来ないがための発声。限界を超えた緊張感が伝わらなかった。)が否めなかった。
ラストはあっちこっちに飛んで何とか結末を納めたが、正直、首を傾げる物語でした。映像の見せ方も中途半端と言わざるを得ない。
評価する点は、音楽やブルースの映像は良かった。
マイケル・B・ジョーダンさんの最後の黄昏も悪くはない。
サミーじい様のくだりや、サミー青年のギターソロのくだりも、それだけ切り取って観れば、悪くはない。
各演出や見せ方を個別に切り取って観れば悪くはないのだが、それでは1つの物語として成立しない。
いかんせん物語の結合性が、あまりに無理矢理だった。
バンパイア無しで、ブルースと差別をテーマにしたヒューマンドラマで良かったと思う。
バンパイアの存在に、大きな意味が有ったとしたら、申し訳ないが自分には理解できなかった。
妙なミュージカル性やパラレル性を取り込んだり、制作者は色々と、複雑な全てを表現したい気持ちが強すぎたのかもしれない。
見る人が見ると、また違った見方ができるのかもしれない。
Devil of the Delta Blues Singers. ジャンル全部載せ、灼熱のガンボ・インフェルノ!!
1930年代のアメリカ南部を舞台に、若きブルースマンとその仲間たちが体験する恐怖の一夜を描くミュージカルアクションホラー。
監督/脚本は『クリード チャンプを継ぐ男』や『ブラックパンサー』シリーズの、名匠ライアン・クーグラー。
新たに酒場をオープンした双子のギャング、スモーク&スタック兄弟を一人二役で演じるのは、『クリード』シリーズや「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」のマイケル・B・ジョーダン。
スタックの元恋人、メアリーを演じるのは『はじまりのうた』や『スパイダーマン:スパイダーバース』シリーズのヘイリー・スタインフェルド。
神楽、読経、雅楽、聖歌、ゴスペル、ケチャ、ハカ、レゲエ、ナシード等々、古来より洋の東西を問わず音楽は“異界“との交信の為に用いられて来た。精霊や御霊、神を鎮魂、あるいは礼賛するのが目的なのだが、往々にして彼方の存在は正邪の境界が曖昧になるものである。
従来の西洋的“清きもの“へのカウンターとして生まれたブルースは、「悪魔」と結びつけて語られる事が多い。“史上初のロックスター“とも称される伝説的ブルーズマン、ロバート・ジョンソンは十字路で悪魔と契約を交わし、天才的なギターの腕前と引き換えに自らの命を捧げたという。享年27。この後、天才的な才能を持つミュージシャンが27歳でその命を落とす事例が頻発する。ブライアン・ジョーンズ、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、ジム・モリソン、カート・コバーン、エイミー・ワインハウスなど、悪魔を魅了しその魂を引かれた者たちの事を「27クラブ」という。
ロバート・ジョンソンをはじめとする27クラブのメンバーに限らず、ブルースの世界では傑出したミュージシャンの早逝は珍しい事ではない。
「20世紀前半で最も優れたブルース歌手」リロイ・カーは30歳、「ロックンロールの祖」スリム・ギターは32歳、「キング・オブ・ザ・カントリー・ブルース」ブラインド・レモン・ジェファーソンは36歳、「天才ハーモニカ奏者」リトル・ウォルターは37歳、「三大キング」のひとりフレディ・キングは42歳、「キング・オブ・ザ・スライドギター」エルモア・ジェームスは45歳。作中、プリーチャー・ボーイが持つギターの前の持ち主だとされた「デルタ・ブルースの父」チャーリー・パットンも43歳で亡くなっており、この様に50歳以下で魂を悪魔に奪われたブルーズマンは後を絶たない。
この場合の悪魔とは「病」あるいは「事故」、はたまた「酒」や「ドラッグ」などを指すわけだが、今作ではブルースが文字通り本物の“悪魔“を連れて来てしまう。
前半、アル・カポネの下から金を持ち逃げしてきた双子のギャング、スタック&スモークが仲間を集め、黒人専用の酒場をオープンさせるという件(舞台となる1932年はまだ禁酒法が施行中であり、酒場で酒を提供する事は“罪“とされた)から一変、後半では迫りくる吸血鬼を酒場で迎え撃つアクションホラーが展開される。更に最終的にはKKKとの銃撃戦まで繰り広げられるという、正にジャンル映画の“ガンボ・インフェルノ“である。
怠惰、強欲、色欲、暴食、嫉妬、傲慢、憤怒といった“大罪“を享受する酒場の面々vs吸血鬼という、内容だけ聞くとバカバカしい映画の様だが、天才ライアン・クーグラーがただ騒がしいだけの映画を撮る筈がない。長編デビュー作『フルートベール駅で』(2013)で見られた人種差別への鋭い視線や、『ブラックパンサー』(2018)で描かれた黒人文化へのリスペクトが全編を貫いており、非常に知的で洗練された印象を受ける一本である。
黒人たちを襲撃する、ジャック・オコンネル演じるヴァンパイアにも注目したい。
ブルースに誘われただけあり、彼もまた音楽的な素養に溢れている。彼とその下僕たちの演奏には黒人たちも「悪くないな」と感心してしまうほど。
ここで彼が演奏しているのはアイリッシュ・フォーク。白人音楽であるフォーク・ミュージックは黒人音楽のブルースと交わり、やがて「スキッフル」というジャンルに変化。海を渡ったスキッフルはイギリスで流行し、ブルースの派生系である「ロックンロール」と同化。イギリスで「ロック・ミュージック」として生まれ変わったこのジャンルは祖国アメリカをも席巻した。
この現象は「ブリティッシュ・インヴェイジョン(英国の侵略)」と呼ばれるが、その名が示す通り、黒人音楽のブルースは白人音楽のロックに取り込まれ衰退してしまう。考えてみれば、これは「文化の盗用」と呼ばれるギリギリのラインである。
ジャズの世界ではベニー・グッドマンが「スウィングの王様」、ロックンロールではエルヴィスが「キング・オブ・ロックンロール」、ヒップホップではエミネムが「史上最も影響力のあるラッパー」と、常にブラック・ミュージックは後に出て来た白人アーティストにそのジャンルのお株を奪われて来た。もちろんこれはそのアーティストに天才的な才能があったからこそだが、ただそれだけではないと言う事も頭の隅に置いておく必要があるだろう。
『ブラック・イナフ?!? -アメリカ黒人映画史-』(2022)という、デヴィッド・フィンチャーとスティーヴン・ソダーバーグがプロデュースしたドキュメンタリー映画があるが、これは映画界における白人による黒人搾取=「ブラックスプロイテーション」に着目した作品である。これに描かれている様な黒人の文化が白人に搾取され続けている現状に対する批判的なメッセージを、彼はフォークミュージックを奏でる白人ヴァンパイアという形で暗に示しているのだ。
全米で大ヒットしたというのも頷けるエンタメ的な面白さと、批評家を唸らせたというテーマ性が見事に合致。ジャンル映画的な観点でいうと、ちょっとスマートすぎて下品さが足りないという不満もあるが、まぁここまでの完成度の映画はなかなかお目にかかれない。見事っ👏
本作はクーグラー監督の長編5作目だが、早くもキャリアを総決算するかの様な力作を作り上げてしまった。この後が大変だと思う一方、次にどんな傑作を作るのか興味が尽きない。
今最も注目されている映画監督、ライアン・クーグラー。彼の動向に目が離せませんっ!
※「世界で最もセクシーなアニオタ」ことマイケル・B・ジョーダン。クーグラー監督はデビュー作から一貫して彼を起用し続けている。監督した長編映画5本全てに出演しているどころか、プロデューサーを務めた『スペース・プレイヤーズ』(2021)でも死ぬほどしょうもない使い方で彼を出演させている。今作でももちろん彼を起用しているのだが、まさか2人に分裂させちゃうとは…。どんだけ好きなんだよっ💦💦
何はともあれ、本作を観たトム・クルーズはBジョーダンの演技を絶賛し、「次の映画では絶対彼と共演するっ!」と息巻いているらしい。確かにトムクルとBジョーダンの共演は観てみたい!Bジョーダン、あんた多分近いうちに上空3,000mくらいのところでで格闘スタントやらされるぞ!気をつけなはれやっ!!
前編と後編で全くジャンルの違うミュージカルホラー爆誕!!
鑑賞動機:アメリカでの評判5割、あれもしかしてFDTD系?4割、ヘイリー1割
おや、またジャック・オコンネルと遭遇。
IMAXサイズなのは一部分だけ。確かにそのシーンは驚いたしすごいなとは思った。開店までが長すぎるのと、終盤の乱戦が今ひとつというか、もっと少数で戦える状況を作って欲しかった。でもディープサウスと吸血鬼はやっぱり合う気がする。
対立させるもの
罪人たち(映画の記憶2025/6/27)
南部アメリカ的なノリでお届けする吸血鬼ものという謎テイストに惹かれて観に行ったわけで。フロム・ダスク・ティル・ドーン的な感じかなと思ったが違う感じだった。歌がキーワードだったかな。文化的な意味で黒人さんだいたいこういう雰囲気の映画好きだとは思う。
なので、吸血鬼=きれいな女性の生き血を啜る的な先入観ある方が観ると違和感しかないからお気をつけを。
ブルースがなきゃロッテントマト高評価なかった説。ストーリーの主軸だから外せんけど。内容的にはありきたり感はあるがストーリー的には分かりやすく良かったんじゃない?
ただ納得いかなかったのが最初のくだりよ。再登場あってもいいんじゃないかw?
一見普通なんだがパーティカルワールドの使い方が上手いなと思った技術的なとこ。Trapcode使ってそうでもあったが。光を上手く使うのも相乗効果的にはあったかもね。蛍光灯的な青系光を消して、暖色系に振ってた感じだったし。ジョークもありだが、英語分からん人はポカンとするかもね。実際日本語字幕で笑ってた日本人と英語圏外人さんの笑うタイムラグがある意味面白かったが。
(個人的評価6点/10点中)
設定は素晴らしかったが個人的肝心なシーンがう〜ん…という
大変期待していたのだが、真昼間にも関わらず仕事の疲れが溜まってるのか辛抱効かずうつらうつら眠気が襲う。これは自分の体力の問題かと思ったがいや単純にそんなに面白くないのでは、というのが後半ハッキリする。
設定も狙いもメチャ面白い。ただこれ演出も音楽も違う人で観たかった!という感じ。
南部、悪魔に魂を売ったとなれば、ウォルター・ヒル、ライ・クーダー、ラルフ・マッチオの『クロスロード』なんだけど、同じ座組かジョン・カーペンターでもアラン・パーカーでもいいんだけど、およそ80年代のレジェンドのどちらさんかで観たかった。そのくらいホラーとアクションパートがイマイチで、実は音楽も(これは好み)。。建物の入口で呼ぶの呼ばれるの入れるの入れないこやってるのはまあ笑ってみてたし、南部の暗闇から吸血鬼たちの歌声が聞こえるとかもいいし、最後のKKKにぶっ放して皆殺しというのも胸がすく思いなのだけど脅かしが音のデカさの演出中心でとても残念な感じ。この監督はあまりそっち系が好きではないクレバーなお人なのかと思った。
でもアイデアというか設定はとても面白いのでどなたかリメイクしたら、と思った。
なるほど
話題作ということで観ました。
特殊な時代背景の中で描かれる吸血鬼の物語としては、確かに斬新だし、メッセージ性も強く感じた。
ただ、単純に物語の展開だけを見ると、言うほどどんでん返しがあるわけでもなく、むしろさまざまな要素がうまく噛み合っていないように感じた。
音楽が悪魔を招くような話は何度もあったけど、一番最初に現れた吸血鬼がそれと関係なく、ただ唐突に現れて、どこから来たのも最後まで不明なまま。途中で一人謎の死があったが、それも解明されてない。さらに女性が怒りにまかせて、何の準備もないまま吸血鬼を部屋に入れて共倒れするような展開にも、正直納得できなかった。結局この話にはなぜ吸血鬼が必要なのかよく理解できてないです。
この映画が評価されているのはストーリーではなく、ほかの要素によるものだと思う。
お前も鬼にならないか杏寿郎
2025年劇場鑑賞188本目。
エンドロール後映像有り。
最初の役者だけのクレジットの後にもあって、そこはがっつり本編なのでそれ観ずに帰った人何人かいてあーららという感じでした。
酒場に吸血鬼が襲ってくるという、黒人版フロム・ダスク・ティル・ドーン(未見ですが)なんですが、前振りがなげぇ・・・。いや、全く必要がないことはないんです。後の酒場での人間関係とか、大事なことではあるのですが、結局観たいのそこじゃない・・・。
それはそれとして、吸血鬼のジレンマと勝手に自分の中で名前をつけているのですが、噛まれた人が全員吸血鬼になるのなら全員なってしまったらなってしまったでそれはもう元の人間のコミュニティと同じではないのだろうか、ただそうなるとご飯どうする?という問題が出てくるわけです。鬼滅の刃の鬼は全員を鬼にするわけではなく、食べきって殺してしまうのがほとんどなのが問題なのと、肝心の親玉がちょっと気に入らないとすぐ殺しちゃうので鬼になるメリットがめちゃくちゃ低いのですが、こっちはそこまでアホな親玉でもないみたいなので吸血鬼になったらなったでいい気もしちゃうのが見どころでした。そこら辺のやり取りの方がもっと見たかったなぁ。
NO ジャンル
ライアンクーグラーとマイケルBジョーダンとルドウィグがタッグ組んだら期待値上がるけど、それを超えてきた。
映像もワンカットも綺麗で見やすくて、不気味なとこは怖い。人間くさいこと描いてるのに非常に上質なバンバイア映画に仕上がっている。そしてサントラがすごくいい!!
日本人の私が書くと陳腐な言葉しかでないけど、いろんなこと混ぜてるのに落ち着くとこがすごい
終わってからジワジワ…これは映画館で見て帰り道でいろいろ考えたくなる映画
あ、エンドクレジットでてもまだ帰らないでね!
追記 遅ればせながらサインインやり直したら、今までの履歴が消えてしまった泣 移行トライしてるけど疲れてしまった
招かれざる者とは・・・なんと
1932年、アメリカ南部の田舎町に双子の兄弟スモークとスタックが戻ってきた。2人はシカゴで金を稼ぎ、故郷のこの地で、小屋を買い取り、当時禁止されていた酒や音楽を聴かせる黒人向けダンスホールを開店した。開店初日の夜、多くの客が来店し、熱狂していたが、そこに現れた3人の白人が・・・さてどうなる、という話。
死んだはずの人が生きてたり、空中を飛んだりと、ゾンビ映画だったのかと思ったら、吸血鬼の話だったとは、びっくりした。
泥棒に対して容赦なく銃を向け発砲するなど、驚かされるシーンが多かった。
ブルース、アイリッシュ、など良い音楽は聴きごたえあった。
主人公の双子をマイケル・ジョーダンが1人2役で演じてたので、兄と弟の見分けがつかなかったし、ま、どっちでも良かったけど。
メアリー役のヘイリー・スタインフェルドは可愛かった。
クーグラーの新境地
昨今の映画製作では原作や続編物が多い。もちろん、それらの前提がある物の方が興行的な見通しも立てやすすく、制作会社からしたらリスクが少ないだろう。
本作はライアン・クーグラーによる完全なオリジナルである。この挑戦的な作品を作ろうとしたクーグラーやそれに賭けてみようとしたワーナーには賞賛を送りたい。
これまでにも人種問題を取り上げつつ、エンタメとして成している作品は主にスパイク・リーなどが作ってきた。クーグラーはブラック・パンサーの一作目からその傾向が強かった。
白人の純血以外は認めないというジム・クロウ法をもとに白人=ヴァンパイアという視点やパブの扉を人種の境界としている点、それぞれのミュージックカルチャーであるカントリーとブルースの対比も素晴らしい。
ヴァンパイアが感情共有を共有して苦しむ様はどこかカルト宗教的なものを感じる。
また本作は劇中にほぼ絶え間なく音楽が流れている。
彼らがつらい扱いを受けているときでも歌を口ずさんで乗り越えてきたような文化を象徴とさせる。
クーグラーには続編には向いていないのかもしれない。
ブラックパンサーやクリードも一作目が素晴らしいが続編になるにつれて弱くなっていく。
本作のインタビューではフランチャイズから離れたかったという発言もしている。
フランチャイズで実績を積みつつ、本作の様な作品が今後も観れるのであれば否応なく彼の作品は観続けるだろう。
魂を震わす新時代のFrom Dusk Till Dawn
前半サイコー!後半…?
とにかく前半は文句なしに最高!!
仲間が揃うまでの流れはずっと音楽が鳴り続けていて
どの画面もキマっていてかっこいい!!
特にサミーとスタックとスリム3人の道中で囚人に会った後、
スリムがその囚人の過去の酷い経験を話す所。
絵的には車でスリムが語っているだけだが、その語りの展開に合わせてBGMで争いの声や殴る音が流れてくる。
情景を見せずに音を聞かせる事でこちらの想像を掻き立てられるすごい演出だった。
そして店でのサミーの歌のシーンは文句なしにすごすぎる!!
あのシーンだけで音楽がなぜこんなに心を打つのか、どれだけ素晴らしいものか視覚で伝わってきて
映画でしか表現できないシーンで本当に感動した。
ただ店での歌のシーン以降の後半はなんだか納得がいかない事が多かった。
冒頭で"超常的な力を持った音楽"という設定の説明があった時に、音楽パワーで色んな事が解決するんだと勝手に期待してしまったからかも。
まずは吸血鬼について。
音楽の呪力とは関係ない怪異が急に登場した事で
え、何で急に⁈と色々考えてしまい、集中が途切れてしまった。
そもそも吸血鬼の設定にする必要はあったんだろうか…
(自分の不勉強かもしれないが、何か歴史的な関係があるの?)
歌の呪力が、力を与える代わりに悪いものを作り出すなら
サミーの歌に力を与えた代償にレミックたちが悪者にされてしまい襲ってくる、とか
吸血鬼の設定を無理やりくっつけない方がスッキリする気がしたけど、どうなんだろう?
もうひとつは最終的に敵は吸血鬼なのかKKKなのか、最大の見せ場は何処なのか要点がよく分からなかった所。
吸血鬼と主人公たちはルーツは違うけど、同じように不当な扱いを受けていた同士だから、そこが対立するのは何だか疑問に感じてモヤモヤした。
あと吸血鬼vs主人公勢、スモークvs KKKも普通に物理暴力対決で、
せっかく音楽呪力という唯一無二の設定があるのにそれを使わないのはもったいない気がした。
例えば主人公の酒場に吸血鬼が来たあと
主人公サイドも全員吸血鬼になっちゃって
結果、さまざまな地域の音楽のルーツがごちゃ混ぜになってスゴい音楽ができちゃってそのパワーでKKKをぶっ倒す!
とかくらいファンタジーバトルものに舵を切っちゃっても良かったんじゃ…
音楽をテーマにするには歴史など語らなければいけないことが沢山あるのは分かる。
でもその全てを取り入れた結果、後半は全ての要素が中途半端になってしまっていて
観ている自分の感情も中途半端にしか動かない感じで不完全燃焼。
エンドロール途中や最後までダラダラ続くし。
なら普通に呪力や吸血鬼とか出さずに人間ドラマにした方が良かったのでは…?
ぶっ飛んだ設定で遊ぶには作りが真面目すぎる印象。
とか色々言ったけど
店でのサミーの歌、そのあとの吸血鬼の歌は
本当に素晴らしくてそのためにもう一回観たいくらい。
てか普通にサントラ最高で聴きまくってる!!
だからこそ後半乗れなかったのがなんか悔しい!!
奇妙な、でも心に残る
サミーが、酒場で熱演した場面で、カオス‼️と笑った。エレキギターやら、DJ、様々な民族、ダンスが入り乱れ、心を打つ音楽は、時代も地域もジャンルも越えると表現してるのかなと思った。
その音楽に惹かれて、邪悪な者も引き寄せられる。3人による演奏が軽妙なカントリーで、しかも上手なので吹き出してしまった。本当に奇妙。
入る許可がないと吸血鬼は入られないなんて知らなかった。混乱した女性の一声で入ってきて戦いとなるのだが、ほとんどノープラン。
結局、才能ある若者だけが生き延び、自分の道を進む。KKKが大っぴらに黒人を殺害してた時代。最初に吸血鬼になった夫婦の家の中にも白装束があった。
その親が貸してくれた建物の中で暴行してたのだろうなと冒頭のやり取りを思い出して想像した。
下ネタエロシーンはいらなかったなあ。
奇妙でとっ散らかっているけど音楽は良く、レビューに困る作品。
エンドロールの後に後日談。老年のサミーに吸血鬼の2人が会いにくる。その時に兄から杭を打たない代わりに天寿を全うさせてくれと頼まれたと知る件。苦しい時代を乗り越えてギターで身を立てさせたいとの思いが伝わった。
そしてまた、エンドロールの後のシーン。これは、どういう意味なのかな。あの日の前の演奏の様子。
一作でいくつも味わえる圧巻の映画
1930年代アメリカ南部信仰深い人々が暮らす田舎町に、スモーク&スタック兄弟が帰っ帰郷。他の街で稼いだ血塗られた資金で、酒とダンスのバーを開店。開店初日、店がホールの熱気で盛り上がる中、招かざる者達の来店に人知を超えた夜が始まる。
一人二役のマイケル・B・ジョーダンが良い。優しく厳しく腕っぷし強いの兄、お調子者で優しい弟、彼らの血の絆を熱演している。
舞台のアメリカ南部の田舎町や綿花農場、伏線も色々張られ、設定・演出は見事だ。何かが起こる期待感はばっちりだ。
見所として、物語は中盤に向けて幻想性を高めていく。ブルース曲がホールを熱くしトランス状態に陥るが、そのシーンの昇華の描き方が最高だ。映画史に残る演出と言っても過言ではない。
それでいて、さすがクーグラー。エンタメ性は健在。スリラー要素を、スタイリッシュなアクションで飽きさせない。おそらく、企画はサバイバルスリラー、脚本は黒人文化の遺伝子記憶の中の魂のリズムの存在を描きたかったのでは、と感じた。
一作でいくつも味わえる圧巻の映画です。何といっても全編に流れる音楽が秀逸です。是非映画館の大音響でお楽しみください。
一夜限りの宴!絶望と解放のブルース!
「謝るな、ずっと護ってくれた」
▼感想
映画館で鑑賞!
マイケルBジョーダンとライアン・クーグラー監督のコンビの新作映画!このコンビが大好きだから楽しみにしてた!
今作はスリラー映画。他のクーグラー監督の作品と同じく、黒人の歴史や文化がこの作品に盛り込まれていた。自分が思うこの作品のテーマは「解放と自由」、それが作品全体のテーマとして一貫している。
面白いのが吸血鬼の行動原理にもこのテーマが色濃く出ている。普通は食欲や支配のために襲うが、彼らは解放のために人を襲うのが斬新。人としての人格が残っているのもドラマを生んだ。
主演のマイケルBジョーダンは大好きな俳優!今作では双子役だけど、話し方や雰囲気で双子役を演じ分けていたのはさすがだった!タンクトップ姿での格闘戦や二丁拳銃で敵を撃ち抜く姿はもうめっちゃかっこよかった!アクションだけじゃなく、従兄弟の歌が上手くて笑うシーンなどには彼の魅力的な笑顔が輝いていた。
ホラーとしてはアメリカ映画的なびっくりさせるような怖さで、そんなに怖くなかった。今作のキーとなるブルースは物語を盛り上げ、最後には感動を誘った。
マイケルBジョーダンとクーグラー監督のスリラー映画への初挑戦は大成功だった!このコンビの更なる挑戦に期待!
▼お気に入りのシーン
スモークが最後に戦うシーン!
そのビブラートする指でボタンを。
1930年代、…飲んで歌って踊れるバーを開き儲けようと地元に戻る双子の兄弟スモークとスタックと従兄弟のサミーに起こる話。
ボタンの扱い方をスタックから教わるサミー、…開店準備が整いオープンするが招かれざる客の出現で楽しいムードは一変することに…。
とりあえず事が起こるまでの前置き長い~、ヴァンパイア作品とは知ってて観に行ったけど、それが出て事を起こすのは終盤、もうちょっと早い段階で終盤のアクションを見せて欲しかったかな個人的に。
やたら愛撫ネタがチラホラがありながらも終盤ラストの歳を重ねたサミーの元に現れたスタックとメアリーで上手くまとめたなって印象。
全137件中、41~60件目を表示
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