「人生で最良の日」罪人たち ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
人生で最良の日
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アフリカ系アメリカ人とアイルランドから来たヴァンパイア。
1930年代当時、お互い苦難が多かった者同士、
ブルースとフォークの対比も面白く、
単純に人間vsヴァンパイアというよりも、
そこに至らしめている背景なんかも考えながら観ていた。
特に前半では、黒人が迫害されている時代背景がわかるような
描写(白人専用トイレなど)があり、
スモーク&スタックの原動力の根底にある怒りを感じた。
それから、酒場での音楽(現在〜未来にかけての描写など)も秀逸で
劇伴というよりも、酒場でかかる音楽がありながら、
物語が進行していくスタイルにも斬新さを感じたし、
なんとも言えない高揚感があった。
もちろん、この場に限らず、スタックとサミーが乗った車での
サミーの弾き語りシーンもラストに繋がっていて、グッとくるものがあった。
ラストのスモークによるかたのつけ方や妻と子の幻想を見ながら
この世を去っていくスモークの姿からは、
彼なりの幸せを感じた瞬間だった。
ラストのラストで、
年老いたサミーとスタック&メアリーの会話シーンにおいて、
「太陽が暮れるまでのあの1日が、人生で最良の日だった」と
サミーが話し、スタックも賛同する、このシーンで終うのが
鑑賞後感の良さにつながっていると思った。
意外性のあるエンタメとしても楽しめるし、
当時の時代背景に思いを馳せつつ見ることで、空気感なんかも
感じ取ることができる秀逸な作品。
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