劇場公開日 2025年6月20日

「音楽の圧倒的パワーに打ちのめされる」罪人たち 荒川ラリーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5音楽の圧倒的パワーに打ちのめされる

2025年6月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

驚く

舞台は19世紀初めごろのアメリカ南部…この時代のアメリカと言えば人種差別の根強いイメージがあります。なので予告を見た段階では、人ならざる者を白人に象徴させ、それを黒人がバンバンぶっ倒していく、いわゆるブラックスプロイテーション映画を想像していました。本作も確かにそういう要素はあります。しかし、そうした人種間の諍いによって引き起こるバイオレンスはそこまで量多くは描写されていません。むしろ、心や人種や時代の隔たりを軽々と飛び越えてしまう音楽の圧倒的な生命力のほとばしりの方に、私はこの映画の真価を見た気がします。反面、そうした隔たりのない世界を音楽という創造によって乗り越えるということが、ある種の残酷な結末を招くところに、本作のひねくれた魅力があって、まさに一筋縄ではいかないストーリー展開が、見る者の心を揺さぶります。美しい映像とパワフルな音楽で彩られた本作は、今年公開の映画のなかでは出色の出来の傑作だと思いました。本当に面白かった。

荒川ラリー
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