愚か者の身分

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劇場公開日:2025年10月24日

解説・あらすじ

第2回大藪春彦新人賞を受賞した西尾潤の同名小説を、北村匠海主演、綾野剛と林裕太の共演で映画化。愛を知らずに育った3人の若者たちが闇ビジネスから抜け出そうとする3日間の出来事を、3人それぞれの視点を交差させながら描き出す。

タクヤとマモルはSNSで女性を装い、身寄りのない男たちから言葉巧みに個人情報を引き出して戸籍売買を行っている。劣悪な環境で育ち、気づけば闇バイトを行う組織の手先となっていた彼らだったが、時には馬鹿騒ぎもする普通の若者だった。タクヤは自分が闇ビジネスの世界に入るきっかけとなった兄貴的存在の梶谷の手を借り、マモルとともに裏社会から抜け出そうとするが……。

犯罪に手を染めながらも被害者を気にかける一面も持つ主人公・タクヤを北村、かつてタクヤに戸籍売買の仕事を教えた梶谷を綾野、兄のように慕うタクヤに誘われ、軽い気持ちで裏社会に足を踏み入れてしまったマモルを林がそれぞれ演じ、山下美月、矢本悠馬、木南晴夏が共演。Netflixドラマ「今際の国のアリス」シリーズなどのプロデューサー集団「THE SEVEN」による初の劇場作品で、「Little DJ 小さな恋の物語」の永田琴が監督を務め、「ある男」の向井康介が脚本を手がけた。

2025年製作/130分/PG12/日本
配給:THE SEVEN、ショウゲート
劇場公開日:2025年10月24日

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(C)2025映画「愚か者の身分」製作委員会

映画レビュー

4.0 どんなに身分が違っても、「アジの煮付けの食卓」は普遍の幸せのかたち。

2025年11月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

第2回大藪春彦新人賞を受賞した西尾潤の同名小説を、北村匠海主演、綾野剛と林裕太の共演で映画化。
愛を知らずに育った3人の若者たちが闇ビジネスから抜け出そうとする3日間の出来事を、
それぞれの視点を交差させながら描き出す。

本作品は第30回釜山国際映画祭コンペティション部門に選出され、
主演の北村匠海、共演の林裕太、綾野剛の3名がそろって最優秀俳優賞を受賞。
この快挙だけでも作品への期待が高まるが、
スクリーンが暗転した瞬間、その理由に深く納得した。

3人の演技は圧倒的にリアルで、観客を一瞬で作品の世界へ引きずり込む。そこに描かれるのは、少し痛くて、かなり残酷な現実。
けれど、この映画がただの残酷さで終わらないのは、「誰もが共感できる幸せのかたち」をきちんと描いているからだ。

それを象徴するのが、作品中に何度かでてくる「アジの煮付けの食卓」。
そして、半グレの梶谷(綾野剛)を信じて待ち続ける女・由衣夏(木南晴夏)の存在。彼女の存在は、荒んだ現実の中で“人が人を信じる力”を静かに示していたと感じる。

夏目漱石は言った。
「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず。」

けれど本当に、すべての人が平等なのだろうか?
生まれた環境や境遇の違いが、
そのまま人生の“スタートラインの差”になってしまうこともある。

それでも。
たとえ身分は違っても、みんなで囲むアジの煮付けの食卓は、誰もが望む“普遍の幸せ”の象徴なのだと思う。どんなにヤサグレていても、自分を信じてくれる誰かがひとりでもいれば、人は生きていける。

正しさはひとつじゃない。
答えも、ひとつじゃない。

エンドロールに流れるTuki.の「人生讃歌」もまた素晴らしい。
その歌詞がこの作品の余韻をさらに深めてくれる。

派手な演出はないけれど、
じっくりと役者の演技を味わいたい人、
心に残る物語を求めている人にはぜひ観てほしい。

劇場を出たあと、静かな夜道で、
ふと“自分の幸せのかたち”を考えたくなる——そんな映画です。

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共感した! 13件)
ななやお

4.0 3人の愚か者はただの愚か者だったのか

2025年11月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

ドキドキ

何不自由なく幸せに暮らす人から見た彼らは「愚か者」なんだと思う。
けれど安易に「愚か者」なんて言葉では片付けられないほど、今も八方塞がりの若者を餌食にする環境や愚か者をつくるシステムが蔓延っている。
彼らがその道に行かないようにするためにはどうすればよかったのか。

裏社会ものなので、痛々しいシーンや胸糞悪いシーンもある。苦手な人は目を背けたくなるかもしれない。
私も正直裏社会ものは、理不尽な暴力と、主人公がいくら一生懸命でも悪いことをしてるということが引っかかり、心をどこに置いたら良いかわからなくなる感じがして、あまり好んでみるジャンルではない。けれど、こういうジャンルでしか得られない気付きや感情があるのも確かだ。

今回主要3人を演じた北村匠海さん、綾野剛さん、林裕太さんの演技があまりにも素晴らしく、先日の釜山国際映画祭で3人とも最優秀俳優賞を受賞したというのも納得だった。
構成もそれぞれ3人からの視点で分かれているので、3人のそれぞれの想いや葛藤がクローズアップされていてとても見やすかった。

今日明日を生きるために踏み込んだ世界がここではなかったら、彼らは普通の幸せの中生きられたんだろうか。
闇の中でそれでも友を想い、助け合う姿に胸が苦しくなるが、その中で光る優しい心が眩しく、美味しい手作りご飯を友と一緒に食べるような普通の幸せこそが尊いものだと感じさせてくれる作品だった。

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共感した! 15件)
AZU

4.0 迷うなら劇場で観ることを勧めたい作品!

2025年12月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

綾野剛ゲキ推しの方からめちゃんこ良いから観るべし!と勧められていたにも関わらずタイミング逃して悔やんでいたところ、キノシネマさんが12/12〜上映するとの追加情報まで頂いたので行ってきましたー!
たぶんアタシみたいな人他にも大勢いたのかな?平日の夜で18:05スタートと割と早めなのにかなりの入りで驚いた!!

原作は未読。
若者がそれと知らずに気軽な気持ちで足を踏み入れてしまう世にいう“闇バイト”を描いた映画。怖かったー。ホラーかと思ったよ、途中。でも劇場で観ることをお勧めしたい映画。(強く勧めてくれた綾野剛推しさんに感謝感謝🙏)
今年見た『でっちあげ』で初めて綾野剛の演技が好きだと感じけどそれを余裕で超えてきた!綾野剛っていい役者さんだったんだなー(しみじみ)

林裕太は以前観た『痴人の愛リバース』で“僕まだ結婚できない年齢”というセリフに「いやいやいやいや、さすがにそんなに若くは見えないよ」と突っ込んでたけど、今回のマモル役は本当に幼く見えた。彼自身の演技の幅が広がったってことなのかしら。

北村匠海も凄かった。なんなら出てる人みんなゾワゾワするほど凄かった。

いやー、劇場で観てよかったー

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共感した! 2件)
らまんば

3.5 ストーリーへのツッコミは慎重派ですが

2025年12月14日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
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コメントする 1件)
共感した! 4件)
満天