「ただの恋愛映画ではない」恋に至る病 くーちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
ただの恋愛映画ではない
タイトルだけ見たら「高校生の恋愛映画」と思われそうですが、サブタイトルのとおり「これは純愛か洗脳か」見終わってどっち???となりました。
友人や家族など複数人で観て、鑑賞後考察をお勧めします。
1人で観たため考察相手がおらず、?の持って行き場に困っています。
主演の2人が原作の持つ含み部分を表情や眼、声のトーンで表現していて、観る側に解釈を委ねてきます。でも、彼らはストーリーの中で、それぞれの役をしっかり生きていて、考察だけを投げかけてくる。長尾くんも杏奈ちゃんも、巧い。役者と廣木マジックが、はまった映画だと思いました。
ストーリーは、どこにでもいそうな高校生の日常生活に起きた事件ですが、事件はエッセンスで、観客に主人公2人の心理を魅せ考えさせることが主テーマだと思います。廣木監督の技法(遠景やワンカット長回しなど)あってこその作品ではないでしょうか。
(その後2回観ての追加感想)
最後のシーンの伏線回収となるところで「純愛か?」と思ったのですが、もう少し深読みすると、それすらも景が意図し、宮峯は、景がいなくなっても心理的に景から離れられなくさせられているのかもしれないと思い始めました。
全体を通じて、必ず蝶が関係しています。景が惹かれるのは世界3大美蝶のブルーモルフォ。一方、宮峯はアゲハ蝶になる前の幼虫を飼っている。
ブルーモルフォ蝶の羽は、視覚的にブルーに見えるだけで本来の羽は色を持たない蝶だとか。
内気な宮峯が飼う現実の幼虫は、サナギから羽化してアゲハになると手の届かないものになる。
そのアゲハ蝶の中でもさらに手が届かず幻想的な蝶がブルーモルフォであり、景。
宮峯が景に翻弄される様が、重なりました。
ラストシーン、宮峯は景のいない状況を受け入れ現実に戻ったかのように見えて、実は目の前にはいない景にまだ翻弄されている?とも見えてきて、杏奈ちゃんも長尾くんも、この含みを十分に残した演技だったことに、改めて若いのに巧いと思いました。
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