「イデオロギー不在の暴走」エディントンへようこそ てんぞーさんの映画レビュー(感想・評価)
イデオロギー不在の暴走
今作が初アスター。
見る前から嫌な映画職人というイメージがあったが、実際見た感想としては全くそのとおりで非常に満足した。
予告ではジョー保安官(ホアキン・フェニックス)とテッド市長(ペドロ・パスカル)が市長選を戦う話かと思っていたが、あまりそういう雰囲気ではなかった。
物語の軸は陰謀論やSNSに振り回される人々で、コロナ禍のマスク付ける/付けない論争から最終的にテロリスト襲撃までなだれ込む展開は大胆でけっこう好き。
お気に入りはテッド市長と終盤のテロリスト。
テッド市長は悪人ではないが、外面の良さに比べて息子への当たりが妙に強いなど端々の言動で何となく嫌な奴に見える。特に選挙CMのいけ好かない感じは絶品で、PR映像としてはパーフェクトなのに全く応援したい気持ちが湧いてこなくて感動する。これは本当に凄い。
色々あってエディントンに乗り込んでくるテロリスト達は断片的な背景や思想しか見えなくて不気味だが、飛行機の中で「やってやるぜ〜」的にアップをしている場面が妙に可愛くて微笑ましい。
終盤、テロリストの仕掛けた爆弾が、こんなに!?というくらい迫真の大爆発を起こすので、思わず笑ってしまう。
この爆発を契機に一気にラストまで駆け抜けるので、ここから先はメチャクチャやるぞ!という意思表示ではなかろうか。
エンディングの着地は、こんなに嫌な終わり方があるのかと絶句を一周してうめき声が出た。
総じて「嫌なもの見たな」と「結局なにを見せられたんだろう?」という思いは否めない。
しかし「パンデミックはあるが、それはこの町とは関係の無い事件だ」と言うジョーの言葉には、けっこう牽制されるものがあった。
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