「タイトルだけだとよくわからんが、近作では飛び抜けてとっつきやすいのでは?」ザ・ザ・コルダのフェニキア計画 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルだけだとよくわからんが、近作では飛び抜けてとっつきやすいのでは?
もはやコマ撮りアニメであろうが実写映画であろうが、外に出てロケ撮影するのではなく撮影スタジオにセットを建てて一分の隙もなく映像をコントロールするようになったウェス・アンダーソン。箱庭的な美意識は揺らぐことはなく、観ていて息が詰まるような感覚に陥ることもあったが、本作はいささかネジの外れた親子の絆と冒険のお話という一本筋が通っているせいか、よりリラックスして楽しめた。妙な寄り道ばかりしているように見えるのも、人によっては退屈かも知れないが、そういうディテールにこそ神が、いやアンダーソンが宿っていたりするし、Netflixの短編以降、そういうムダなディティールに遊び心が戻ってきたように感じていて、本作の寄り道もいちいち愉快。まあこの辺の印象は観る側がアンダーソンに何を求めているかで大きく変わるとは思いますが。でもベニシオ・デル・トロ演じるザ・ザ・コルダが無茶苦茶だけど飛び抜けて魅力的なキャラであることは誰もが賛成してくれるのはないか。娘リーズル役のミア・スレアプレトンももともとウェス・アンダーソンの大ファンというだけあってどんなテンションの演技が必要なのか完璧にコントロールしていてみごと。
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