「反日映画で日本人を演じることで、リアルに不具合が出ないのか心配になりますね」ハルビン Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
反日映画で日本人を演じることで、リアルに不具合が出ないのか心配になりますね
2025.7.8 字幕 イオンシネマ京都桂川
2024年の韓国映画(114分、G)
安重根による伊藤博文暗殺事件を韓国目線で描いた史実ベースの伝記映画
監督はウ・ミンホ
脚本はキム・キョンチャン&ウ・ミンホ
原題は『하얼빈』、英題は『Harbin』で、暗殺が行われた場所の名前
物語の舞台は、1905年の咸鏡北道のシナ山
大韓義軍の中将・安重根ことアン・ジュングン(ヒョンビン)は、同志のドクスン(パク・ジョンミン)、サンヒョン(チョ・ウジン)、チャンソプ(イ・ドンウク)たちを率いて、日本軍への奇襲作戦を決行していた
作戦は成功し、多くの犠牲者を出すものの、日本軍の少佐・森辰雄(パク・フン)を捉えることに成功する
ジュングンは「万国公法」に基づいて、武装解除して解放させようとするものの、チャンソプは根絶やしにしないと後で不幸が起こると反対した
ジュングンの考えが変わらぬことを悟ったチャンソプは自身の兵を引き連れて別行動に移る
その後、ジュングンは自身の兵を引いていくものの、逃した森辰雄が率いる日本軍の強襲に遭ってしまう
命からがら逃げ切ったものもいたが、大多数はジュングンが食料確保のために離れたいた間に殺されてしまった
映画は、ジュングンが大韓義軍の本部に戻り、チュンソプたちに詰め寄られる様子が描かれていく
ジュングンは伊藤博文(リリーフランキー)の暗殺を宣言し、彼が日韓併合の取りまとめのために訪れる予定地ハルビンでの決行を打診する
総長のジェヒョン(ユ・ジェミョン)はジュングンに託すことを決め、ドクスン、サンヒョンたちと共にハルビンを目指すことになった
向こうに着けば、ウラジオストクで商売をしているコン夫人(チョン・ヨビン)から武器を調達してもらえると言う
だが、彼らの行動は筒抜けで、行く先々で日本兵に先回りをされてしまった
密偵がいるのではないかと疑う中、ジェヒョンはチャンソプを責任者に据え、ジュングンは暗殺部隊の先鋒へとポジションチェンジを余儀なくされてしまうのである
映画は、ジュングンが伊藤博文を暗殺するまでを描いていて、そこで起こったことをベースに構成されている
森辰雄のモデルとなった日本兵がググっても出てこないのだが、おそらくは架空のキャラクターで、日本の悪魔的な部分の象徴のように描かれている
これ以外にも、ジュングンが日本にマークされていたとか、ハルビン駅での銃撃の描写などに足りない部分があったりするし、ラストの字幕では「36年後に韓国は独立した」と、あたかもジュングンの意思を継いだものが日本から独立を勝ち得たと言う印象を与えていた
ぶっちゃけると、韓国の人はそう思ってるのねとか、そう思わせたいのねと言うふうに捉えているので、ある意味期待を裏切らない結末だったと思う
ジュングンを美化している部分は相当あると思うが、韓国人が観たいものを作っていると思うので、内輪で盛り上がるのは仕方がないのではないだろうか
歴史をベースにフィクション要素を入れる作品はたくさんあるが、本作の場合はあからさまに日本憎しを印象付けるために森辰雄と言うキャラを誕生させている
彼を演じたのが韓国人の俳優なのだが、現実と虚構を混同する人というのは一定するいるので大丈夫かな、と心配になってしまう
伊藤博文と憲兵(武田裕光)以外は韓国人俳優が演じているのだが、嫌いな国の軍人を演じる意義をどこに見出しているのかはわからない
だが、間抜けで惨めに死ぬ役と言うのは国民が求めてそうな絵面だと思うので、それはそれで評価されるのかな、と感じた
いずれにせよ、単なるスパイものとして観れば問題ない感じで、どこまでがファンタジーなんだろうと境界線を探すのが楽しみの映画だと思う
森辰雄のモデルって誰だろうねとか、馬賊から爆薬もらった話はガチ?とかを楽しむ映画だった
コン夫人のタフさも凄くて、爆薬ごと馬車で横転して生きているのは凄い
てっきりあそこで死んだと思ったし、その後はハルビン駅にて、森辰雄をナイフで刺していたりするので、このキャラだけで一本の映画を撮れそうに思える
真に受ける映画ではないものの、境界線に疎くて、疑問を持たずに同調する人もいそうなところが厄介かもしれない
国難に対して団結をすると言う伊藤博文の言葉があったが、これは韓国のみならず、アジア圏の民族内団結力は強いと思う
それが多民族で構成された国家とは違う部分であると思うので、そう言った韓国的な美徳を思い出してもらうための映画だとしたら、ここまで改変する意味はあったのかな、と感じた
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