「持ち運ぶ側になるか運ばれる側になるかどっちもありそう」兄を持ち運べるサイズに たずーさんの映画レビュー(感想・評価)
持ち運ぶ側になるか運ばれる側になるかどっちもありそう
ここのところテンションが落ちていて、映画を観ても感想を上げる気持ちが沸かず。大宮OttOの横浜聡子特集で観た「ちえみちゃんとこっくんぱっちょ」の作品情報が映画.comにないことに失望したからかもしれない。卒業制作の映画に迸る熱量、すごかった。
それでも、「湯を沸かすほどに熱い愛」の中野量太監督の最新作、「兄を持ち運べるサイズに」には、書き残しておきたい気持ちを刺激するものが確かにあったので、重い指先を動かしています。
自分が5人きょうだいの4番目ということもあり、ドキっとするタイトルが公開前から気になってた。今年3作目のジョーさん出演映画。今回もらしさ満点の役どころと演技。ダメ男だけど人間味ある役が本当に合う。「夏の砂の上」では妹だった満島ひかりさんが今回は元嫁。この2人しっくり。主人公は兄の訃報にも心を動かす気配のない文筆家の妹・理子で柴咲コウさん。「でっちあげ」の役柄がオーバーラップして、必要以上に警戒したけど、理子の仕事柄俯瞰した(ネタになるかも!な)感じで捉えてしまうのはわかるんで、モンスターシスターではなかったかな。最終的に、優しかった兄を思い出すことができて良かったね。
兄弟姉妹の関係は千差万別なんだろうけど、うちの場合は、それぞれが独立して家庭を持ってからは、どんどん疎遠になって存在を意識すらしなくなってる。親が亡くなっていれば本当に連絡があるのは死亡通知くらいだろうと思う(うちの場合は母が健在)から、理子と兄の感じはとてもよくわかるケース。この映画のおかげで忘れていないけど、思い出すことがなくなっている姉兄妹のことを考えたし、別にどのきょうだいのことも嫌いじゃないんだけどなって考えることもできた。アラ還のいま、姉兄*2妹の死亡通知が来るのか、自分の死亡通知が他4人に行くことになるのかはわからないけど、前者になってしまった場合の気持ちや行動の準備はしておこうと思う(喪服はせめて持っていかないとですよ)。
離婚後に兄(父)と二人で暮らしていた良一くんがとてもいい子で、その複雑な心情を演じる味元耀大くんがとても良かったなー。久しぶりに会う弟を気遣うお姉ちゃんの距離感の表現も達者だった。実話ベースの話だそうなので、こちらの姉弟の2人は一緒にいる時間は短いかもしれないけど、映画で描かれた先の年月でいい関係を築けてたらいいなって思いました。
と、半分自分語りになってしまった本作は、少し油断していたら上映が午前中や昼早めばかりになっていて、慌てて都合つけてなんとか捕まえられて良かったです。
今度の正月は年明けの挨拶LINEくらい7~8年は会っていない姉兄兄妹に送ろうかなー
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