「思い込んでいた兄の嘘が丸裸に。残された優しさに触れて、兄で在ったと今振り返る!」兄を持ち運べるサイズに The silk skyさんの映画レビュー(感想・評価)
思い込んでいた兄の嘘が丸裸に。残された優しさに触れて、兄で在ったと今振り返る!
いつの間にか、心地よかった夏のそよ風が秋風に変わって
今は冷たい寒波に変わってしまい。
蒼く繁った木の葉のような家族の絆も 今では 私だけ。
楽しかった家族の誰もが亡くなって行き、残された者への寂しさ。
疎遠で在った兄の死に立ち会い、 忘却の彼方に消えた思いに触れて行く・・・
今日は、「兄を持ち運べるサイズに」の鑑賞です。
実は全く存じなかった作品で、期待はして居りませんでした。
”兄を持ち運べるサイズに” ⇒ どう言う事なのかと?思っていましたが
つまり 疎遠だった兄の訃報を知らされて、心 気が進まぬままに遺体とご対面。
身寄りと言っても別れた奥さん(義理の姉)と娘と息子と 実の妹の私だけ。
何とか兄を葬儀に出すが、火葬にして遺骨を持って帰る そんなお話です。
最初、このお話は創作かと思ってましたが 実話体験談ベ-スで在りまして、
そこは或る程度リアルだったなと感じました。
前半は 妹から見えてた嫌な兄の姿。 普通に金をせびる兄。出来れば他人の素振りをしたい思い。 それは良く分かります。
しかし離婚した時に子供達姉弟も別々に引き取られてて、何とこんな劣悪な家に息子が居たとは。そして児相に保護されてる。
どうして 兄はこう成ったのか、何故離婚したのか、子供達を離ればなれにさせてしまったのか、兄の嘘と向き合った時 本当の事が見えてきます。
最後まで見て、妹が思い出す 兄との思い出。幼いとき、
両親二人がやってる食堂まで行って 親の顔を見て帰るだけだったけど、
自転車に二人で乗って警官に注意されて、とっさに嘘ついて。
その懐かしさの中に 兄はやっぱり優しい人だったんだと思い返すことが
彼女にとっての幸福なんだと思います。
だから ボロアパ-トを義理の姉と二人で後片付け整理やった時
兄の嘘だった中に、 真実の顔が浮かび上がってきます。
他の人より只上手く生きられなかっただけなんだと・・・
それに気付いたとき、最後の家族は亡くなったわけで。
もっと早く気付いてあげる事が出来たならと、後悔が残ったと思います。
この作品は、私にとって見て良かったです。
大事な事を教えてくれたと 思います。
原作:村井理子氏 (兄の終い)
脚本・監督:中野量太氏
-------MC--------
・村井理子 妹役:柴咲コウさん
・亡くなった兄 役:オダギリジョーさん
・加奈子 別れた妻役:満島ひかりさん
・満里奈 母側に引き取られた長女役:青山姫乃さん
・良一 父側に引き取られた弟役:味元耀大さん
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グッと引き寄せる感覚が所々在るのが
中野監督らしい作品でしょうか。
今作も隅々まで行き渡る視点が在ったかと感じます。
あと久し振りに見る 柴咲コウさんと、 最近大活躍なオダギリジョ-さん。
この兄役に相応しい? やっぱり上手いな~と感じました。
良い感じの兄妹に見えました。
そして、児相に保護された別れた息子と、空白の時間を取り戻すために 母として接していく姿を演じた満島さんがとても良かった。
壮絶なアパ-トの部屋で 寝泊まりする覚悟があった事が後に語られます。
そして、別れ離れに成ったけど もう一度 姉弟(満里奈、良一)に戻れた二人に祝福ですね。時間は掛ったけど こう成れたのもある意味 父のおかげ。
新幹線の座席上で 分骨するとか、最後の想い出に それぞれアパ-トに入るとか
ちょっと蛇足感は在りましたが 総じて良い感じで終えれたと思います。
駅まで迎えに来た理子の夫が足を骨折してて。
”何で 言わなかったのよ~” の言葉に
夫の優しい言葉の返しが(嘘)。
兄の話してた 愛ある嘘と、少し重なって見えました。
ご興味ある方は
是非 劇場へどうぞ!!
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