「「嫌い」と思っても家族は家族」兄を持ち運べるサイズに 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
「嫌い」と思っても家族は家族
若々しいヒロインが好みの俺ではあるが、柴咲コウと満島ひかりのダブルヒロインが魅力的だったし、予告編で観る限りオダギリジョーのハマリ役に思えたので、「これは良さそうだ」と公開を楽しみにしていた。
いざ公開週になると、意外に扱いが小さく、上映館が少ないことを知る。経験上、キャスティングの割に上映館が少ない作品は「映画館が手を出さなかったのは正しい判断だった」と思うことが多いので、若干の不安を抱きつつ映画館へ。
【物語】
村井理子(柴咲コウ)はエッセイスト、夫と二人の息子と滋賀県で平穏な暮らしを送っていた。ある晩、遅い時間に電話が掛かる。東北塩釜の警察からで、疎遠になっていた兄(オダギリジョー)の死を知らされ、幼い息子以外に理子しか身内がいないので遺体を引きとるよう求められる。
数日後に迷惑顔で塩釜へ向かう理子。兄には良い思いを持っていなかったのだ。塩釜駅で兄の元妻加奈子(満島ひかり)と兄の実娘満里奈(青山姫乃)と7年ぶりに再会。火葬を済ませた後、兄が暮らしていたアパートを訪れ、ゴミ屋敷と化した部屋に唖然としながら片付けを始める。 理子は幼い頃からマイペースで、大人になってからもウソをついては金銭の援助を何度も求めて来ただらしない兄への愚痴を言い続ける。しかし、同調すると思った加奈子は「もしかしたら、理子ちゃんには、あの人の知らないところがあるのかな」と話す。
【感想】
作品のオープニングは監督の力量が知れる重要な部分だと思っているが、本作のオープニングはわけの分からないものだった。そんな始まりから中盤までは鑑賞前の嫌な予感が当たってしまったかと思いながら観ていた。
「なんか面白くない」
何が期待と違ったかと言えば、もっと笑える作品を期待していたのだが、コメディーパートは空振りだった。というか、宣伝で強調するほど、監督はコメディーを意識していなかったのかも知れない。
ちょっとガッカリ感を持って後半へと観続けたのだが、予想に反して終盤になって大いに泣けた。
人によって人の見方は違う。理子は縁を切りたくても、完全には断ち切ることができない兄弟の絆が足枷になって、兄の悪い印象ばかりが心に残ってしまったのかも知れない。
一方、元妻加奈子は一緒に暮らし続けるのは無理と思った段階できっぱり縁を切ってしまったからこそ、良かった部分の記憶も残ったのかも知れない。
なんで泣けたんだろうと、思い出そうとしても思い出せないほど、大した感動エピソードが有ったわけではない。家族という身近な存在の尊さを改めて嚙み締められたのだと思う。「偉大な家族」「尊敬する家族」でなかったとしても、永く生活を共にした人はやはり何かしら自分に影響を与えているし、良い思い出も有ったはずということかな。自分の家族を思い浮かべたときに涙が止まらくなったのだった。
エンディングはある言葉で締めくくられ、同時にそれでやっとわけの分からなかったオープニングの謎が解ける。
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