「トロイメライの響き」兄を持ち運べるサイズに sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)
トロイメライの響き
現在、引き継いだ祖母の家の整理を進めている自分にとって、ストレートに刺さってくる作品だった。
個人的には年間ベストテン入り確定。
ただし、一緒に観に行った妻は、泣いてる私の隣でポリポリとポップコーンを食べていたようなので、刺さり方は人それぞれかも。
<ここから内容に触れます>
・決して取り戻せない「過去」に対する罪悪感や後悔は、無闇矢鱈に人前には晒さないものだし、自分自身ですら、無意識に原因を「他者」や「運命」に押し付けて、それを否定してかかっている。
・そんな、主人公の中に生き続けている「兄」が、記憶の中のエピソードだけでなく、兄の後始末をしている際にも時々眼前に現れ、挙げ句の果てには会話までできてしまうという作品。
・柴咲コウ、満島ひかり、そしてオダギリジョーの演技が、そうした矛盾や葛藤を違和感なく、かつユーモラスに飲み込ませる。エッセイを映像化する際の、1つの正解の形が今作なのではないかと感じる見事な表現だった。
・とにかく安易な着地を徹底して排除し、地に足をつけた物語にしようという強い意思が、全編にみなぎっている。それは、もともとの原作自体の持ち味なのかもしれないが、今作でその役割を中心的に背負っている満島ひかりが本当に素晴らしい。
・「嘘つき」が、キーワードになっているが、「嘘」ってなんだろうねと問いかけられている気持ちになる。
・「浅田家!」を撮った監督のテーマなのか、今回も震災が大切に描かれている。
・子役の演技にギュッと胸を掴まれる。全員がそれぞれによい。
・あの自転車は原作通りなのか。ストーリーにも映像的にもあまりにピッタリし過ぎて、観ているだけで涙が出た。
・大切なところで流れるトロイメライもいい。
・焼きそば、自分は粉のソースも好きだけど、気持ちはわかるし、小道具としてうまいなぁと思った。
・満島ひかりの山盛りご飯とか、コーラとか、食で語らせるところも好み。
・「支えであり、呪縛ではない。」に救われる。
・公民館、開けっ放しで、遺影も骨つぼも位牌も置きっぱなしじゃまずいでしょと思ったが、あれは記憶の中での出来事という表現と考えたら納得。
・分骨、お弁当の空容器に入れて渡すのかと思ってドキドキしたが、それ以上で驚いたw
僕は
車の中での柴咲コウと真島ひかりの会話のシーン。そしてタバコを吸う真島ひかりに
もう泣けて泣けて仕方なかったです。
ポップコーンの奥様、最強ですね。死んだのが同性なら奥様も落涙なさった筈です。オダギリジョーがすべて悪いンですよ(笑)
でも中野量太は、どの作品でもいつも「弱き男の味方としての映画」を撮る人ですから、ある意味”女の敵“になってしまうのはしょうがないかな?
しかし!笑かしてもらいました。頑張ってください、ご同輩。
こんばんは。
家の整理って大変ですよね。
私のばやいは汚部屋掃除ですが、sow miyaさんの大変さ、分かりますよぉ〜
確かに人によってかなり刺さり方が異なる作品かもしれませんね。
奥様ポップコーン、素敵ですww
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