狂おしいマインド

解説・あらすじ
「イタリア映画祭2025」(2024年5月1~6日=東京・有楽町朝日ホール/5月10、11日=大阪・ABCホール)上映作品。
2025年製作/97分/イタリア
原題または英題:Follemente
「イタリア映画祭2025」(2024年5月1~6日=東京・有楽町朝日ホール/5月10、11日=大阪・ABCホール)上映作品。
2025年製作/97分/イタリア
原題または英題:Follemente
初めての自宅でのデートであの機会を期待する男女の心の中を恋愛気質、慎重居士、感傷家など複数の脳内人格の対話にした脚本が巧み。大人のデートでの鑑賞に堪える、機知溢れた会話満載の映画。外見の俳優も、脳内人格の俳優たちも味があり素敵。イタリアでも一番人気だったことがうなづける。イタリア映画祭で見たが、これは早晩、劇場公開になるのではないかな。イタリアの著名なフェミニスト、カルラ・ロンツィの名前が話のネタとしてではあるが出てきた。
こんな楽しい時間、他にあるだろうか。知り合ったばかりの男女が向き合い、気持ちを探り合う。もちろん遊びではなく、本気が大原則なのだが。
邪魔は入るものの2人は近づいていく。男女それぞれ4人の外野が見守り、ツッコミ。2人の脳内の別人格なのか、我々のような観客なのか。わからない。
行きつ戻りつしながら最後は無事にくっつく。探り合いから始まり、なあんだ、2人ともその気だったんだという安らぎへの急降下。実に快い。ほとんどの観客が経験したことのある、おなじみの感情。イタリアでヒットも納得の完成度なのだが、監督さんの話では難しい作業だったとのこと。
大の大人が必死になる。仕事だって、雑事だって、うまくこなしている大の大人が。だから面白い。新鮮でワクワクする。いくつもの恋と別れを経験してきて、今また付き合いの始まった2人がうらやましい。
日本人よりイタリア人のほうが恋愛経験豊富な人が多そうだ。一人の人に落ち着く決め手は何なのだろう。
恋愛体質の人は、かけがえのない相手を願うが、それはないものねだりなのかもしれない。
すごく笑えて幸せな気持ちになれるコメディー映画!本音をなかなか言えない、相手によく思われたい、失言してしまう、相手の発言・反応・行動にちょっとびっくり・がっかりする、言ってから後悔する、適切な言葉が浮かばない~!が日常茶飯事なのはイタリア人も同じなんだ❗️
「はたらく細胞」の恋愛脳内version。知り合ってまもない(キスもしていない)二人、彼女に自宅での夕食を招待されて初めて訪ねる彼。二人の脳内の葛藤と探り合いバトルが賑やか!彼の脳内はちょっとおじさんの4名チーム、彼女の脳内チームは経験豊富な女性から若い女性合わせて同じく4名。フェミニズム、ジェンダー、マンスプレイニングなど昔にはなかった概念と昔からある男女の駆け引き、この二つの視点がサラリと描かれている脚本が素晴らしい。アクチュアルなシチュエーション・コメディーで誰もが笑えて楽しめる映画だ。
テンポよい会話、インテリア、服、料理、美しいベッドリネン、そしてみんなが好きなクイーンの音楽も楽しめる!
ジェノベーゼ監督の大ヒット作「おとなの事情」同様、今作も各国でリメイクされる予感がします。日本バージョンを素敵に作って欲しいです。(イタリア映画祭2025)