でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男のレビュー・感想・評価
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令和版「それでもボクはやってない」
よかったです。
綾野剛さんの、憔悴しきった様子や感情的になったときの演技、柴咲コウさんのサイコパスなモンスターペアレントの表情。
監督さんの強い意向からの演技ということもあったとは思いますが、熱演だったと思います。
また、事実に基づいた映画ということで、実際にあったことだと思うと、ゾッとしました。
もちろん、モンスターな親にもゾッとしましたが、社会が一体となってひとりの人間に「悪人」とレッテルを貼って潰していくことが、本当に怖かったです。
今の世の中でいうと、現状や将来に不安を抱えている人たちがSNSで「悪人」を叩くことによって「アイツよりは常識がある」「アイツよりはマシ」と思って、ひとときの「安心」を手に入れる。
「悪人」を叩いたところで、叩いた本人の現状は何も変わらないのに。
そんなことを思いました。
ただ、映画の脚色についてはちょっと気になりました。
昭和のマスコミのような取材、先生を守らない管理職…
先生を守らない管理職なんて、管理職失格です。
保護者の話を一方的に鵜呑みにして、それを事実と決めつけ、無理矢理認めさせ、謝罪させるなんてハラスメント以外の何物でもありません。
映画化するにあたって脚色するのはわかりますが、関西人風に言うと「話を盛った」という印象を受けました。
特に学校現場を映画でリアルに描くのは、なかなか難しいのでしょうね。
脚色については気になりましたが、全体的にはすごくいい映画でした。
まだ観ていない方はぜひ観てみてください。
オススメです!
嘘つきはモンスターの始まり。
ある小学校で起こった教師による体罰事件。我が子の為に戦う母親に対し教師は全てでっちあげだと反論。どちらが嘘をついているのか。全ては法定で明かされる。
誘導されるがままにテレビやマスコミを信じてしまう世間。そして一人の教師が自分の存在全てを否定されその流れの中に引きずり込まれてゆく様がテンポ良く描かれている。他の人物からの視点があっても良かったかなと思うけど、実話ベースということであくまで教師と母親の視点が軸になっている。その分ドラマ性は少し物足りなく感じたけど、それでも十分見応えのある内容だった。
薮下先生の10年後の姿がとても印象的で、50代という設定にしてはなんとも弱々しく老け込んでいる。たとえ主張が認められたとしても1度貼られたレッテルは一生付いて回る。その重荷は一体誰が背負ってくれるのだろうか。
何でこんな凡庸な嘘がバレなかったの?
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アメリカ嫌いの小学校教師・綾野は混血の生徒を虐めてた。
怪我をさせるレベルの体罰を日常的に与えてたうえに、
最後には自殺を勧める。生徒は自殺未遂しPTSDになる。
生徒の母コウが学校に怒鳴り込んで上記を主張。
でも上記はコウの捏造で、綾野は無実だった。
むしろその生徒が問題児で、綾野は正しく指導してた。
ことなかれ主義の校長は綾野に保護者会での謝罪を指示。
こうして仕方なく謝罪、これがマスコミに漏れ大騒ぎ。
さらにコウが綾野を起訴、裁判が始まる。
綾野は世間から悪人扱いされ、叩かれまくる地獄の日々。
もはや何を言っても、誰も耳を貸そうとしない状態。
そんな中で弁護士の薫が弁護を引き受けてくれる。
綾野が本当はいい先生だったこともあり、
生徒の保護者が陰ながら力になってくれたりもした。
それによりコウの嘘が暴かれて行くことになる。
そもそもコウも少年も、全く混血ではなかった。
コウがアメリカの学校を出たというのも嘘だった。
それに綾野が体罰してる場面を誰も目撃してない。
さらに生徒がPTSDというのもコウの嘘だった。
アホ医者がコウの話を鵜呑みにしてそう診断してた。
ということで綾野はついに無罪を勝ち取った。
ただ学校が一度認めたため、体罰はあったとされた。
それが10年後、ついになかったと認められ終了。
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何の恥じることもしてないのに、
悪意を持つ人間のせいでどん底まで落ちる男の話。
綾野にすっごい共感したし、心から応援したくなった。
やってもない罪を認めろという校長が最悪。
綾野もそんなの認めちゃアカン。自分に正直でいないと。
とは言え、校長に歯向かえない気持ちもよく分かる。
まだ若いし、職を失うのが何より怖いんやろうしね。
おれも同じ年齢で同じ立場なら、同じ選択をしてそう。
やっぱり人の下で働くのは向いてないわおれはw
話としてはめっちゃ面白かったのやが、
これってホンマに実話ベースなの?とも思った。
だってコウの凡庸な嘘が何で裁判までバレてないの?
そもそもこれって完全に刑事事件やと思う。
思いっきり傷害事件やし自殺教唆なんやから。
もし警察や検察が調べればすぐに解明してるはず。
なのに何で民事のみで争われてたのかが不思議。
薫弁護士が特段優れてたとも思えない、
こんなのどんな弁護士でも勝訴してそう。
あと驚くのが、研演じる校長と亀梨演じる記者。
どちらも最後は綾野の味方になるんやと思ってた。
いやまあ単に、演じてる俳優的にやけど。
ところがどちらも最後まで糞野郎なんで驚いたわ。
最後まで自分の都合しか考えてやがらんw
何故…
こんなことになってしまったのか
…はじまりは
その生徒の母親が体罰だと言って
学校に乗り込んでくる
どこか"怪物"を彷彿される
一方的に見ると先生が虐待している
様に見える演出
どうして教師がターゲットに
なってしまったのか
…校長が冷静に教師の話を聞き
子供たちの聞き取り調査を
しっかり取っていたら
教師の人生を狂わすことに
なってなかったと思ったりする
そこにマスコミが一方的に
煽るから裁判まで…
思ってもいない方向に進んで
やっていない事に謝罪したことが
悔やまれる
知らないうちに巻き込まれていく様は
…本当に怖い
マスコミは現在も何ら変わらない
週刊誌も一方からの取材で
真実かどうかわからない
売れる記事だったら
相手が傷づくことも厭わない
ネット社会で生きる私たち
考えさせられる作品です
リラルホラー
今までにも「冤罪」をテーマにした映画はいくつもありましたが、またひとつ、心を震わせる作品に出会いました。
ポイント:
◯ 原告と被告、それぞれの供述に基づく主観の違い描写から始まります。特に自分は、最初これが実話だと知らずミステリー作品だと思って観に行ったので、視点の違いに驚かされ、最初はどちらが本当なのか分かりませんでした。その両面性を見事に演じ分けたキャストの演技、特に主人公が大変素晴らしかったです。
◯ 勝訴しても素直に喜べない、そのリアルさ。弁護士との会話や家族とのやりとりの中にも心に刺さる瞬間が多くありましたが、映画は観客の涙を過剰に誘う演出がなく、ただそのまま物事を語る姿勢が好印象でした。想像を絶する体験を経た人間が、簡単に立ち直れないのは当たり前です。爽快な逆転劇もなく、心の傷も簡単には治れません。ただ、支えてくれる人がそばにいれば、少しずつ前へ進むことができる、ただそれだけです。
◯ 裁判後にも物語が続きがあった。「冤罪」を扱う映画では、被告がその後どうやって社会復帰するかの描写が省かれがちですが、本作では少しとはいえ、その様子が描かれていて良かったです。個人的には、処罰の取り下げで終わっていれば完璧だったとも思いますが、あのラストを加えたことで、さらに考えさせられることがありました。
一応これは民事事件なので、厳密には「冤罪」という言葉は適用されませんが、世論やメディア、さらには虚偽の主張をした保護者団体によって理不尽な断罪を受けたという意味では、まさに「冤罪」と言っても差し支えないでしょう。こうした事件が起きるたびに思うのは、なぜ人間は事実無根の情報に対してこれほどまでに過激に反応してしまうのか。映画には描かれていないが、その教師の奥さんや息子、またほか関係者の方々もきっと大変バッシングを受けたことでしょう。たとえ事実だとしても、他人を攻撃したり、感情的に断罪したりする理由にはなりません。そして、もしまだ事実が明らかでない段階であれば、なおさら冷静さを失わければならないことです。
前半のホラーに震える
同じく教育という場で働く者の端くれとして、前半のホラー味あふれる展開は、ホントにあと少しで退席するかってくらい、気分が悪かった(良い意味で)。
なんとか踏ん張って後半に入ると、ミステリー風の法廷劇に入って、ここからはワクワクしながら見終えることができた。
作中、この事件に至るいろいろな要素が散りばめられて登場するが、それが最終的に全てのウラを明かす方向に繋がっていくワケではなく、違和感のまま終わるのもまたいい味になっているし、これが現実にあった事件をモチーフにしている以上、その方が自然だろうとも思う。
ただ、冒頭柴咲コウ演じる氷室律子の証言のクダリを終えると、そこからは悪役がいかにも悪役然として登場し、最後までやっぱり悪役というのは、観ていてもうひと展開あるかな、と期待してしまった。
所々で是枝監督の「怪物」的な箇所もあったが、ホラーとしては圧倒的にこっちのほうがゾワゾワするし、メリハリが効いていて分かりやすいのも魅力。
後は役者たちが良い。
綾野剛、柴咲コウをはじめ、周りにも実力者が揃ってるし、小林薫の安心感ったら…。
ああいう保護者との対応で苦労した経験のある方には、ホントに胸に来る映画なので、作品自体の印象としては★4.0だが、私の評価は★4.5とさせて頂いた。
もう少し
期待以上でした
子供のついた小さな嘘が一教師の人生を狂わせていく
上司、保護者、教育委員会、そして世間からの疑いの目
殺人教師と週刊紙にかかれ連日ワイドショーなどで報道される
誰でも陥りそうな怖さがある
実話をもとにした話で過剰に演出していないところが良かった
10年後に懲戒処分が取り消されたとはいえ、手放しに喜べないモヤモヤが残る
綾野剛と柴咲コウの被害者の時と加害者の時の表情、特に目の違いが恐ろしく上手い
児童に虐待するときの綾野剛の演技はトラウマになりそう
当たりの方
職人監督による非常によくできたノンフィクション映画
この映画の原作は福田ますみの同名本(2007年)である
といっても原作はあくまでノンフィクション、ルポルタージュであって小説ではない
本映画も名前こそ仮名になっているがあくまでノンフィクションであって、フィクション的展開はないし、ラストも事実通りであってカタルシスを得られるようなものではない
原作を読んでいる者からすると新しい感想は生まれてこないが、逆に言うとこの映画を見れば原作を読む必要はない、それくらいよくできている
今の目で見ると学校やマスコミの対応がひどいと見えるかもしれない
しかし、事件のあった約20年前は教師の体罰や不祥事が問題となる一方、モンスターペアレントなどの考え方はまだほとんどなかった時代である
実際本件は初めて公的に教師によるいじめが認定された事件だ
教師がとんでもないことをしたということで学校はビビり、マスコミは飛びつき、人権派の弁護士が糾弾する
それがすべて保護者の虚言で行われたという恐怖がよく描かれている
こういった事件をいくつか経ることによってモンスターペアレントやカスタマーハラスメントの問題が世間に知られることとなった
そういう意味でも重要な意味を持つ事件である
本作は、同じような題材を扱っている是枝監督の「怪物」と比較すると、芸術性は乏しいかもしれない
しかしノンフィクションとしての重みはある
三池監督の映画職人としての腕前がよく発揮された作品である
綾野剛、柴崎コウら主要キャストが素晴らしいのはもちろんだが、木村文乃、安藤玉恵、光石研など共演者もよい演技をしている
特に木村文乃は事件前はどこにでもいそうなごく普通の夫婦であったのに事件後は最後まで夫を信じ励まし続けた妻を好演しており印象深かった(その意味で最後は残念だった)
生きていくのに大切な事を教えられた
週刊誌には嘘がまぎれてる100%信じるのはやめようと思った映画に出てくる校長や精神科の医師は自分の地位と立場を守る事で精一杯他人を助けようとする気が全くない平気で嘘の証言をしてふりかかった火の粉を払い逃げる事しか考えてない綾野剛演じる先生に優しい家族がいて優秀で良心的な弁護士と出会えて本当良かった10年後先生がヨボヨボしておじいちゃん先生みたいになってた奥さんも亡くなったのかな?柴咲コウさんが怖すぎたあんな死んだ目の人が近寄ってきたら全力で逃げようと思う三池崇史監督作品はエンドロールにながれる音楽が作品にぴったりで最後まで映画楽しめます
あともう一押しで大傑作になったかも惜しい!
自分で見てない限り100%とは言えない
後半は薮下の主張による再現。後半を見て「虚言癖女に人生を壊された教師の話か。可哀想に。」ってなるのはまさにメディアを鵜呑みにしてるのと同じなので、鑑賞後事件の詳細を調べた。私はその場にいなかったから、調べたところで100%こっちが正しいなんて言えないんだけど。
(薮下が白という前提でレビューを書く)
律子は通訳の仕事もしてない一主婦なのに何故500人もの弁護団を結成できたのか?夫が権力者?権力者が律子みたいな貧困家庭育ちの女を相手にするか?など気になることがたくさんある。
子供の嘘で一人の人生を壊してしまうって怖い。劇中でも言ってたけど、子供は平気で嘘をつくのよ。大事なのは大人がそれを鵜呑みにせず、ちゃんと事実確認をして精査すること。でも自分が親になった時それができるだろうか。自分の大事な子供が誰誰にこんな酷いことをされた!と訴えられたら冷静でいられるだろうか。(律子は拓翔を大事に思っていたかは不明だが)
それにしても半年に一回くらいは映画で精神錯乱失禁シーン見るな…。気持ち悪くなるからあんまり見たくないんだけど…。本当に必要な演出なのかね。
モヤモヤ
20年前の事実に基いた
小学校教師が児童への
イジメで保護者から訴えられた話
綾野剛さん、柴咲コウさん
亀梨和也さん、北村一輝さん
木村文乃さん、小林薫さん
皆さん素晴らしい演技でした。
映画に行こうか迷っていたのですが…
レビューが4で安定していたので
観に行くしかないと、思い行きました。
何より
柴咲コウさんの演技!
素晴らしかった。
毒親?モンペ?
大騒ぎして、結果お咎めなし
何故罪に問われないのか…
北村一輝さん
550名弁護士達の代表的立場
裁判の途中から、しまった!!
という表情良かった。
20年前、それ以上から
保護者は我が子可愛さに
ありもしない話を事実のように
言って被害者ぶる方もいる?
お互いが正直になれば
揉め事は減るはず
人間関係が希薄なせいか?
先生は名誉毀損や精神的苦痛等で
訴えられるはずだけど
しなかった様子…
最後の終わり方は
こんなものかと感じました。
それが事実だったから?
周りを巻きこまずに自分自身の力で
平和に生きられないものか
他人に迷惑をかけている事すら
分からない大人。
自分が正義だと、一歩引いて俯瞰し
勘違いせず生きて欲しい
ただそれだけ。
初っぱなから絶望感!
実際にあった事件を元に作られた作品ということであったが当時の事件を敢えて何も目にせず鑑賞。
冒頭の綾野剛はファンである私ですら絶望感と嫌悪感でいきなり胸を掴まれる。
割と初めの方で「でっちあげ」という事が分かった時点ではちょっと展開の速さに疑問が残った事だけがマイナス点。
せっかく異常者を演じる綾野剛にお目にかかれたのですからもう少し「殺人教師」である綾野剛を堪能したかった。
あの手の役を演らせたら右に出るものはいないってくらいの目で周囲を黙らせる柴咲コウの裏の顔や表の顔も個人的にはもう少し堪能したかった。
最もこの事件をよく知ってるいる人からしたら結末は分かっているであろうからそこは知らずに観た私の意見に過ぎない。
ともかくゾクゾク感とイライラ感、もどかしさでいっぱいになりあっという間に終わった。
「毒親」という表現はこの事件をキッカケに出たのかも知れないと思った。
親よりも先生の方が立場が低いのは現在も変わりない気がするが「学校」として何をしなければならないのかが一番の焦点な気がする。
記者である亀梨や弁護士である北村がもっとクローズアップされても良かったかなと思うが、贅沢な役者の使い方としては最高かも。
ともかくこの作品は親と教師、学校と家庭で少しでも歯車が狂えば今の世の中でも簡単にこういう事が起こり得ると思うと本当に怖いなと感じた作品だった。
決して気持ちよく楽しい作品ではないけど引き込まれるには十分過ぎる作品だった。
エンドロールの最後、
「三池崇史監督」と流れて思わずウンウンと頷いてしまったのは言うまでもない
見応えしかない。実力派揃い 子役たちも含め臨場感!!
演技派豪華俳優陣で凄かった。物凄かった。引き込まれ続けた。何となく結末を知りながら見たものの新しい感覚、終わりまで1秒たりとも飽きる隙のない作品でした。
プロモーション(ヴァイオレンスぽい描写、と追い詰められる人間描写のくり抜き)と三池監督の映画とゆうことで嫌煙している方がいたらその想像はいい意味で打ち砕かれます。社会性のメッセージも高い作品。ぜひ見てほしい。
子役の綺羅くんも良かったですね。予告にも映ってましたが綺羅くんの後ろの席クラスメイト役の女の子も綾野剛と綺羅くんのやり取りを“見てはいけない”ような雰囲気があったり教室の異状さが伝わってきて息を呑みました。
緊迫の中、所々面白要素がシレッと入っていた気がしたのは私だけ?
埼玉県では上映時間が少ないのは勿体ない。
なのにパンフレットは売り切れてた(泣)
もう少し違う視点からのプロモーションを上映してる間に作った方が良いんじゃないかと!もう一度じっくり見たい作品になりました。
ノーが言えない人間の末路
生徒に凄惨な体罰を行ったとして、小学校教諭である藪下が懲戒処分となった。しかし、事実はそれと反するものであり、藪下は弁護士や家族と共に法廷で真実を明らかにしていく。
本作は、福岡市で実際に起こった事件を基に作られた作品らしい。そのため、リアリティー性は抜群で、人間関係の生々しさはこの上ない。
はじめに、被害児童の母の視点から供述が行われる。これだけを観た観客は、とんでもない暴力教師だ、今すぐ辞めさせるべきだと感じる。しかし、その考えはストーリーが進行するにつれて、瓦解する。藪下が出廷するシーンが2度あるが、被害者側の供述を聞いた後と、双方の供述を聞いた後で、全く同じシーンがまったく別物に見える。これは、実際にこの事件が起こった当時の見え方そのままなのであろう。
本作の持つメッセージとしては、モンスターペアレンツの登場、責任ばかりが問われ立場が弱くなっていく教師という職業の過酷さ、マスコミなどが流す不確定な情報による印象操作の脅威など、ノンフィクションであるから、感じとることはそれぞれでいいと思う。
私はここで、自身の公務員としての観点から、問題が起こった初期の段階に注目し、藪下がその場しのぎのために、事実と反することに概ね同意してしまったことの重大さに言及したい。
それは、半ば誘導尋問のような最初の保護者説明会である。あのような公の場で安易な回答は控えるべきであった。当然悪いのは、でっちあげた被害者なわけであるが、公務員として職務にあたる上で、このような人物にも対応する必要がある。校長や教頭にしっかりと弁明し、ここで毅然とした態度をとるべきであったのだ。
本作を、こんな悪質な冤罪事件があったんだなくらいに俯瞰できればいいが、世の中にはこのような人物と常に相対さなればならない人が一定数存在する。その人にとっては、本作の持つメッセージは、別のものとなりうるだろう。
ドールハウスより怖ろしい
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冤罪の怖さを見せつける映画でした。
私の近くにも「他人を傷つける真っ赤な嘘を、真顔で確信的に言う人」がいました。また同様なスタイルでセクハラ・パワハラ告発として会社の人事部に訴える人は後を絶ちません。
波風立てないことを最上とする、部下を守ろうともしないいい加減な上司(校長・教頭)、超いい加減な権威者(精神科医の先生)、妄信的に正義感を振りかざす一方的な豪腕者(マスコミ報道者)は、世間に山のようにいます。
常に冷静に事実を見つめる姿勢を保ちたいと心から思いました。
構成・脚本は見事だったと思います、この映画。冒頭の10~15分の映像の後から「教師が悪くない」という展開にどうやって持っていくのか皆目想像できませんでした。
ただラストの10~15分は余計だったと思います。裁判終了から数分で閉める(その後の話はナレーションにする)ほうがあっさり感があって良かったのかもと思いました。
全420件中、101~120件目を表示