「ホラー寄りのかなり社会派なエンタメ」でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男 ゆり。さんの映画レビュー(感想・評価)
ホラー寄りのかなり社会派なエンタメ
鑑賞日6月29日。正確でない所があるかもしれません。
本サイトの解説を読んで、これは裁判で冤罪になった事件なのかなと思い、気が滅入りそうなので観るかどうか迷いました。
事件の事は何となく記憶してますが、結果どうなったのか覚えてなくて、観て良かったです。
子供が担任に暴力を振るわれたと騒ぐ両親の剣幕に押されて、取り敢えず謝罪してやり過ごそうとする校長でしたが、一度認めてしまうとその方向へ事態が悪化していき、世間から非難されて孤立する教師。
薮下と子供の両親のどちらが本当の事を言っているのか。
母親の話す事は突飛すぎるので薮下の言い分が正しいのだろう、しかし全てを信じていいのか、とも思ってしまいます。
綾野剛さんの実際の辛い経験と重ねて観てしまうから薮下に同情しましたが、この事件の詳細をウィキペディアで確認しました。原作はかなり丁寧に取材して書かれていると思いました。
母親は注目を集めたくて嘘をつく人で、自らを正当化する為に嘘を重ね、その為に利用しやすい薮下がターゲットになったと思います。
父親はたぶん家庭にそれ程関心は無いが、面子にこだわるタイプに見えました。そして二人とも、金も取れるなら出来るだけ取ってやろうと考えたでしょう。請求額を大幅に釣り上げています。
この事件は両親、校長、教育委員会、マスコミ、無関係なのに薮下を攻撃した世間も含めて非常に腹立たしく感じる事件で、特に多くのマスコミの無責任な報道が一人の教師の人生を狂わせました。私が結果を覚えてなかったのはきちんとした謝罪がされてないからかも。
本件をそのまま描くとかなり重苦しい話になるのですが、柴咲コウさんをサイコパス的なキャラにし、ホラー寄りのエンタメにしているので観易くなったのではないでしょうか。
判決後に両親は悔しがった筈ですが、本作ではあまり見せなかったので、柴咲さんのサイコパス度が際立ちました。
共感をありがとうございます。
「注目を集めたくて嘘をつく人」いますよね、こういう人。
そういう母を描いていると尺が足りなくなるのでサイコパス的にしたんでしょうね。嘘つきはそれを隠すためにさらに嘘をつく。周囲には母がそういう人だと知っている人はいたはずなのに表に出てこない。彼女の言い分だけが信じられて教師の声は抹殺された。母の人となりを語る人の声も抹殺されたか、または声を上げられなかったか。映画にも出てきましたが、疑問を投げかける他の児童の父母に圧力をかけて声を封じる、こんな感じだったんだろうな、と思います。
そんなこんなをきちんと織り込んだ脚本が良かったのと、職人な監督の手腕が光った映画と思いました。
負の連鎖は感じましたね。育児放棄されて育つと自分も育児放棄する率が高いと…律子が拓翔を本当に愛していたのかは怪しかったです。
律子の闇をあまり深掘りしない辺りが、ホラー寄りと感じました。
共感ありがとうございます!
柴咲コウの育てられた環境に、もう少し説明的要素があったら分かりやすかったと思いますが、いわゆる「毒親」だったことは明白で、負の連鎖が不幸な冤罪を生んでしまった事実が怖いですね。
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