「どんなホラーよりも恐ろしい」でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男 AZUさんの映画レビュー(感想・評価)
どんなホラーよりも恐ろしい
実際にあった事件なので、結末は知っている状態で見た。
だからこそ、何が目的なのか、なんでこんなことをするのかがわからず、理解できない人を相手にする恐怖感がすごい。
この事件の被害者の方々を思うと、想像を絶するつらさだったんだろうなと、本当に胸が締め付けられるし、自分だったらと思うと怖すぎる。
柴咲コウさん演じる氷室律子側の視点では、氷室律子はごく普通の母親で、綾野剛さん演じる薮下誠一が極悪非道の教師。
しかし薮下誠一視点だと、真逆になる。
この構成は『怪物』と少し似ているなと思った。
しかし『怪物』とは違うのは、早い段階で真実が明らかになる点。そこからはもうずっとスクリーンに釘付けだった。
柴咲コウさんと綾野剛さんの演技合戦が凄まじく、お互いの視点での演じ分けも、見た目が同じなのに全く違う人に見える。
ふたりの迫真の演技も相まって、一層この事件の理不尽さへの憤りや、恐怖感が増した。
そして、この事件はメディアの責任も大きいことを描いている。
『フロントライン』でもメディアのセンセーショナルさだけを追い求め、真実と異なる報道の非道さを描いていたが、こちらの作品はさらに上をいくと思う。
メディアの持っているペンはナイフで、放つ言葉は銃弾だという意識を持って仕事をしてほしい。
また、カスタマーハラスメントやらモンスターペアレンツやらの言葉も市民権を得た昨今、明日は我が身かもしれないので、BtoCビジネスをしている人たちは、クレーム対応の初手がいかに大切かを痛感する作品にもなっていると思う。
そういう点でも気付きが多い作品だった。
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