「何にせよ配慮が足りない作品。隣国の作品としてもちょっと…」タイヨウのウタ yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
何にせよ配慮が足りない作品。隣国の作品としてもちょっと…
今年127本目(合計1,668本目/今月(2025年5月度)12本目)。
いわゆるXP(色素性乾皮症)を扱う映画・ドラマとしては、日本では同名タイトルがほぼ20年前(2006年)に放映されたほか、それよりも前に実質同趣旨の映画は香港にもあったようです。ほか、アメリカ・フランス等でも、趣旨(展開)は多少違っても、「夜にしか活動できない」という制限を扱うロマンスものだったりドキュメンタリー映画だったりというのは存在しますので、「何をもって最初の作品か」というのははっきりしないところですが、韓国映画であり隣国である日本のそれ(2006年の作品)は意識されていると思います。
ストーリー紹介については…。ちょっとそれに触れている余裕がないので飛ばします。ちょっと気になった点が多々ありすぎてそれらを触れないわけにはいかないし、以下そこそこの長文になります。
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(減点0.1/韓国語字幕の配慮が足りない)
もっとも、日本で視聴する場合、隣国の韓国の「果物売りのトラック」の部分についての話で、隣国である以上、日本で見たことがない果物(フルーツ)は見当たりませんでしたが、配慮は欲しかったところです。
(減点1.1/映画の述べる趣旨について、原作であろう日本のドラマで起きた事情について考慮がされていない)
この点については長文になりますので、章を分けて記載します。
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(減点なし/参考/XP(色素性乾皮症)の当事者と、日本の当時のドラマで起きていたことと、現在(2025年)の韓国リメイクについて)
この作品は公式サイトを見る限り日本のそれを参考にして作られたようです。今から20年前ほど(2006年)になりますね。インターネットはあってもまだ「常時接続」というのも都市部ではあってもモデムも健在だったり、インターネット黎明期とは言わないにせよ、今のように常時接続が当たり前だったころではないですし、ましてツイッターやこのような評価サイトもなかった時代です。
日本でこの同名タイトルのドラマが公開された(それに先立って、同年(2006年)に映画も公開された)とき(2006年)、いわゆる「当事者の会」が、ドラマに対して「実際の症状とは異なる部分も多々あるが、ドラマはドラマとして楽しんでいただければ、映画・ドラマを通じて私たちの存在を知っていただければ」ということをウェブサイトに掲載するなど、かなり「ソフトな」抗議がありました(主だってモメていない)。この映画は大ヒットし、くしくも翌年、2007年には厚労省の難病指定において、当事者が300人ほど(現在、当時。日本では300~500人ほどといわれる。20年ほど前では人口の増減は誤差範囲)であるにも関わらず、50万以上の署名が集まり(他の難病と共に)難病指定されました。これはこのドラマの影響で署名運動等が(ツイッター等ない時代において)自主的に起きたものと言われます。
さて、「当事者の会」がソフトに抗議した点として「付随的に起きる、聴覚・視覚障害、軽度知的障害、嚥下障害(えんげ~/飲み込むときに支障をきたす障害のこと)等が取り上げられていない」ことがテーマになりました。当時のドラマも本作品も大きな筋において「音楽家(ミュージシャン)を目指す主人公」である事情があるので、聴覚障害や視覚障害を真っ向から取り上げることが(2006年の水準として、あるいはドラマの趣旨から)難しかった点はまま理解できます。
ただ、本作品(韓国映画。この映画それ自体)は、隣国である日本でそのような「ソフトな抗議」が起きたことは当事者(少なくとも監督ほか)は知っているはずであり、確かに原作である日本のそれを参考にしたとしても、その当事者の会が指摘した「軽度知的障害、聴覚障害等について触れていない」点について、原作を尊重し、会のいうように趣旨を壊さない程度に変更を加えることは可能であり(例えば、多少国語(韓国語)能力で劣るとか、多少早口だったら聞き返す等のシーン)、一応、韓国にとって隣国は日本であり(北朝鮮の問題はさておき)、この点は知っているはずであり、この点について何ら配慮がない(それこそ、「XPは治療方法が見つかっていない疾患であり…」という、「XP」という語が突然出てくる等)等、隣国である日本で起きたこの「ソフトなトラブル」について参考にして映画に多少入れても良かったのではないのか、というところです(ITや、映画後進国ほかの国の作品であるなら指摘はまだしも、韓国映画といえば今やハリウッドやインド映画と肩を並べる市場でもあり、韓国も人口比で言えば経済力はほぼ互角である先進国であることなど踏まえると、その点について配慮がないのは、配慮不足の指摘のそしりを免れない)。
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